光合成の質問2013年

このページには、寄せられた質問への回答が新しい順に掲載されています。特定の知りたい情報がある場合は、光合成の「よくある質問」(FAQ)のページに分野別に質問を整理してありますので、そちらをご覧下さい。


Q:二次元クロロフィル蛍光イメージング装置のしくみと使用方法を教えていただきたいです。(2013.10.27)

A:クロロフィル蛍光の測定方法を高校レベルで全て教えるというのは、ちょっと難しい仕事ですね。「光合成とクロロフィル蛍光」のページからリンクを張られている光合成研究法の解説をまずは読んでもらって、わからない部分を質問してもらう方がよいように思います。通常のクロロフィル蛍光の原理が理解できたうえで、次に二次元イメージングの話になります。クロロフィルが出す蛍光は、赤い光ですから普通のカメラでとらえることができます。ただし、一回だけの測定では、情報量が少ないので、僕が使っている機械の場合は、パソコンのソフトから40ミリ秒ごとにシャッターを切るようになっています。結果として、カメラで捉えた2次元の画像が時系列で蓄積されますから、3次元のデータがとれます。これを解析することによって、特定の部位からの蛍光の時間変化を調べることができるのです。(2013.10.27)


Q:ブルーバックスの「大学生物学の教科書—1」を読んでいます。p.297の図5−19Aに、「C3植物の維管束鞘細胞は葉緑体を少数しか持たずルビスコを持たない」とあります。ルビスコを持たない葉緑体って、あるのでしょうか?P.300の表5−1に、「C4植物は2種類の葉緑体がある」とあります。葉肉細胞でC4サイクル、維管束鞘細胞でカルヴィンサイクルをする、葉緑体の2種類のことでしょうか?頭の中が未整理の状態で、申し訳ありません。(2013.10.17)

A:ルビスコを持たない葉緑体なんてないと思いましたが、念のためにC3/C4植物の光合成の違いなどにお詳しい名古屋大学の谷口光隆先生に伺ってみました。やはりC3植物のイネでも、維管束鞘細胞の葉緑体にルビスコが存在するそうです。抗体を使った免疫電顕という手法で確認されているそうです。C4植物の2種類の葉緑体というのは、ご推察の通り、葉肉細胞の葉緑体と、維管束鞘細胞の葉緑体のことでしょう。二種類の葉緑体は、二酸化炭素固定の仕組みが異なるだけでなく、光化学系の量比などにも違いがあります。この教科書は悪い教科書ではないのですが、5人の著者の中で植物の研究者は一人だけしかおらず、それも植物ホルモンの研究者で光合成の専門家はいません。光合成については、記述に不正確な点が見られます。(2013.10.18)


Q:はじめまして。こんにちは。クロロフィルの励光について質問させてください。シロツメクサと粉末シリカゲルをすりつぶしたものにジエチルエーテルを加え、遠心分離した後の上澄みに横から強い光を当てました。その光源側から上澄みを見た時と、光源の反対側から上澄みを見た時には、蛍光の色が違うということは知っていますが、具体的に何色と何色に見えるのですか?(2013.10.5)

A:「質問のコツ」は読みましたか?タイプ2の質問のように思えますが。また、おそらく実験について誤解があると思います。「蛍光の色が違う」ということはありません。実験条件によって見え方は異なると思いますが、クロロフィルの蛍光自体は赤い色で一定です。見る方向によって蛍光の色が変わるわけではありません。なお、クロロフィルは赤の領域の光と青の領域の光を吸収するので、葉を透過した光が緑色に見えることは知っていると思います。(2013.10.5)


Q:PEPカルボキシラーゼの最適pHと最適温度を教えてください。お願いします。(2013.9.29)

A:残念ながら知りません。PEPカルボキシラーゼはアロステリック酵素で、エフェクターの種類などは、生物種によって異なるそうですから、最適反応条件は生き物によってもかなり違う可能性があります。特に、pHについては、具体的な反応条件がわからないとPEPカルボキシラーゼの専門家でも答えづらいのではないでしょうか。PEPカルボキシラーゼの基質は炭酸水素イオンですから、基質の濃度はpHによって大きく影響を受けます。酵素自体の活性のpH依存性のほかに、炭酸水素イオンの濃度変化の影響をも考える必要がありますから。(2013.9.30)


Q:光合成の波長と効率についての質問です。同一エネルギーの単一波長と連続分布した波長ではエネルギー変換効率に差が生じるのでしょうか。例えば、同一光量子束密度の660nmレーザー光と630〜680nmのLED光では変換効率はどうなるのでしょうか。クロロフィルの吸収曲線に従うのでしょうか。(2013.9.25)

A:光量子束密度をそろえた場合は、一般的には吸収のスペクトルに従います。ただし、この場合の吸収スペクトルは、陸上植物の葉の場合は、有機溶媒中の色素の吸収スペクトルとは大きく異なる点に注意する必要があります。また、特定の波長領域、例えば700-730 nmなどでは、2つの光化学系のうち一方の光化学系のみが吸収を持ちますから、そのような吸収領域では光は吸収されても、全体として光合成を駆動できず、吸収と光合成が食い違うことになります。(2013.9.26)


Q:「トコトンやさしい光合成の本」、楽しく読ませていただきました。質問をさせていただきます。私はクロロフィル蛍光を測定する自作装置(青色光照射)を作成し、教材化の実験をしています。ピーマンやコリウス、スイカなどでは蛍光が強く表れ、赤ピーマンやトマト(赤)では蛍光はほとんど検出されませんでした。光条件なども影響すると思いますが、「蛍光の検出」→「クロロフィルの存在」→「光合成能を持つ」と考えてよいでしょうか。
 また、先生のお書きになった論文「果実の光合成」の中に、『(ナスは)一般に若い実ではクロロフィルを持って光合成をしているが、成熟に伴って光合成活性は失われるようである』という記述があり、興味があってこの装置で測定してみました。ナスの果皮表面をカッターで削ったものを使ったところ、つき始めの若い果実(紫)では果皮表面から照射した時に蛍光は検出され、大きくなった熟した果実(紫)では蛍光はほとんど検出されませんでした。しかし、熟した果実も裏から照射してみると若い果実の半分くらいの蛍光が検出できました。削った果皮は裏面は緑色をしていました。これは、登熟に伴いナスニンが多くなって、そこで光が吸収されることで、クロロフィルまで届く光がほとんどなくなるためでしょうか。裏からの照射で蛍光が見られたのは、先にクロロフィルに当たった光により蛍光(赤〜遠赤色)が出て、その色の光はナスニンがあまり吸収しないからでしょうか。大変長くなり申し訳ございません。よろしくお願いいたします。(2013.9.23)

A:まず、一般論としては「蛍光の検出」→「クロロフィルの存在」→「光合成能を持つ」と考えてよいと思います。ただし、厳密には2つの点を考慮する必要があります。1つはクロロフィル以外の蛍光色素の存在の可能性です。そのような色素はあったとしても、クロロフィルに比べてその量は無視できると思いますが、もともとクロロフィルがほとんどないような植物材料で蛍光がもし検出されたら注意する必要があります。一般的には波長の短い光で励起した場合ほど、他の物質が蛍光を出す可能性が高まるので、もし、可能であれば、オレンジから赤にかけての光で励起した方が厳密性は増します。2点目は、クロロフィルが存在しても光合成をしない場合です。一番端的な例はホウレンソウのおひたしです。ゆでてもクロロフィルは完全には分解しませんが、光合成活性は失われます。従って、ホウレンソウのおひたしでは、「クロロフィルの存在」→「光合成能を持つ」という部分は成り立ちません。厳密には、クロロフィル蛍光の収率が光照射に伴って変化をするかどうかをチェックする必要があります。
 ナスの蛍光については、ご指摘の通りなのではないかと思います。ナスニンの可視光の吸収は大きいのですが、赤外光についてはそれほどではないと思います。裏から光を照射して、クロロフィルが励起されさえすれば、蛍光の方はナスニンの層をある程度透過すると思います。(2013.9.23)


Q:一般に植物は夜にどのようなメカニズムで孔辺細胞からカリウムイオンを放出し、気孔を閉じるのでしょうか。また、そのことについて書かれている文献なども紹介していただけるとありがたいです。(2013.9.11)

A:実は、このメカニズムはかなり複雑で、一連の多くのステップから成り立っています。カリウムイオンの放出に直接かかわるステップだけでも、カリウムイオンの取り込みチャンネル(イオンを通す役割を果たす膜に埋まったタンパク質)の阻害と遊離チャンネルの活性化が共に関わっています。さらにそのチャンネルの変化は、膜の表面の電荷の状態変化が引き金となっていますし、その状態変化を引き起こすのは陰イオンチャンネルの活性化であり、さらにさかのぼると水素イオンの輸送体の活性や、カルシウムイオンの濃度変化が引き金となっています。光環境の感知には、青い光を検知するフォトトロピンという光受容体が働いていることがわかっています。文献としては、一般的な大学レベルの植物生理学の教科書がよいと思います。「植物生理学概論」などいくつかの本が2008年から2009年にかけて出版されています。(2013.9.11)


Q:光合成色素についての質問です。ほうれん草の光合成色素を抽出して薄層クロマトグラフィーを用いて分離させ、ブラックライトでカロテン、クロロフィルa,クロロフィルb,ルテインの蛍光を観察しましたが、カロテン以外は赤く蛍光したのですが、カロテンは蛍光しませんでした。どうしてカロテンはほかの色素と異なって蛍光しないのかおしえていただけないでしょうか?(2013.9.6)

A:カロテンといってもいろいろありますが、β-カロテンのことでしょうね。紫外線で励起した時のβ-カロテンの蛍光の発光効率は、他の光合成色素に比べて非常に低いということないように思います。クロロフィルは量も多いので、これと比べると発光が弱いように見える可能性は十分にありますが、ルテインは光ったのですよね?とすると、ぱっと原因が思いつきません。強いて言うと、LEDタイプの紫外線照射装置だと、波長範囲が狭いので、色素の吸収の位置によっては、蛍光が弱くなることがあるかもしれません。(2013.9.7)


Q:原子力発電に替わる火力発電所のことを考えています。問題は燃焼後のCO2ガスをどのように始末するかですが最近、海中に溶かせば良いのではと思いつきました。そうしたときにCO2の濃い海中で太古より続いてきた光合成が正常に起こるかどうか。この点をお伺いしたいおもいます。ただ今の海中のCO2濃度は259PPM。許容濃度は1450PPM。ちなみに空中濃度はいま300PPMです。海中で石油や炭水化物を作ることをを夢見ています。海水中で光合成が実現すると火力発電所のCO2ガスの発生量を非常に少なくすろことに最近気がつき、ブログとホームページに載せたばかりです。ご存知のように海中での光合成反応は太古からおこなわれています。ただ、石油や炭水化物が実現していないと思つていました。 原子力発電に替わる技術を調査していますがご指導いただければ幸いです。(2013.9.1)

A:海洋の光合成は、現在でも、見積もりによっては陸上生態系の光合成に匹敵する二酸化炭素を固定しているとされています。ただし、海洋の光合成を律速しているのは、大洋の表層では鉄、沿岸部の表層では窒素やリン、より深い部分では光である場合が多く、いずれの場合も二酸化炭素ではありません。例えば鉄を海洋に散布することにより、光合成を上げようとする研究なども行なわれていますが、基本的に加えた物質は生物に取り込まれた後、沈降して表層部から失われるため、継続的に光合成を高い状態に保つことができません。従って、現状で、二酸化炭素を海洋中に溶解させた場合には、加えた部分が光合成により固定されることはあまり期待できず、海洋中の二酸化炭素濃度が上昇するものと予想されます。
 次に、海洋中の二酸化炭素濃度が上がった場合の影響を考えてみます。中学校でよくやるpH指示薬のBTBを使った実験はご存知なのではないかと思います。水に二酸化炭素を吹き込むとpHは酸性になります。海水は若干の緩衝作用を持っていますが、非常に大きいものではありません。海水の場合でも二酸化炭素が大量に溶け込むとpHは酸性になることが予想されます。また、やはり中学ぐらいで、石灰水に息を吹き込んで二酸化炭素の有無を調べる実験がありますが、息を吹き込み続けると、一度白濁した液が、再び透明になります。このことを考えれば、サンゴの骨格や貝殻の主成分である炭酸カルシウムは、海洋中の二酸化炭素濃度がある程度以上になると溶解してしまうことが理解できると思います。ほとんどの生物にとってpHは、その生育を左右する重要な要因ですし、炭酸カルシウムを骨格として用いている生物は、海洋生態系の中で重要な位置を占めています。従って、大量の二酸化炭素が海に溶け込んだ場合には、現存の海洋生物は極めて大きなダメージを受けることが予想されます。
 一方で、そのような環境に適応した生物は、おそらく過去の地球にはいたのでしょうし、そのような生物が、今後進化する可能性はあると思います。ただし、生物の進化のためには、時間的な余裕が必要です。百年、千年では全く足りません。もし、短期的な方策として海洋への二酸化炭素の大量溶解を考えているのでしたら、おそらく、海洋生態系の壊滅とそれに引き続く地球規模での環境変動の方がはるかに先に起こると思います。(2013.9.1)


Q:初めて質問させていただきます。私は高校で生物の教員をしております。先日、光合成の反応を教えていた時に、「カルビン・ベンソン回路を明所から暗所に切り替えて起こすと、明反応で作られたATPやNADPHの合成ができなくなり、RuBPがPGAへ変換される」と説明しました。そのとき、資料集などを見て、なぜPGAがその後減少するのかという質問を受けました。明反応ができない以上、ATPなどがないはずなのに、PGAが減るのは、他の系へ転用されるからなのでしょうか。もしそうであるならば、何に転用されるのでしょうか。逆に、CO2の濃度を低濃度にすると、PGAから回りまわってRuBPが一時的に増加します。しかしその後減少に転じるのは、光呼吸が生じるからなのでしょうか。NADPHをNADPの電子受容体に戻したり、ADPに戻るができずに、NADPHやATPの合成が止まれば、RuBPが高止まりしたとしても、減少する理由にはならないと思います。このときの反応がどのようになっているのか、併せてご教示願います。勉強不足で稚拙な質問ですがよろしくお願いいたします。(2013.8.24)

A:代謝産物の変動は、生理的な条件によって大きく左右されますから、一概に結論するのは難しいと思います。減少したり増加したりする、というのは資料集に載っているデータがそうだった、ということしょうか。資料集のデータの場合、実測値ではなく、概念を理解させるために理論的に予想されるデータを作って載せている場合もあるので、さらに厄介です。本当は、元の学術論文に当たることができるとよいのですが。
 カルビン回路は炭水化物を合成するのが主な目的ですから、単にくるくる回っているだけでは役に立ちません。途中のグリセルアルデヒド3-リン酸などが葉緑体の外に運ばれてショ糖の合成に使われ、あるいは葉緑体内でデンプンの合成に使われますから、そのような形でカルビン回路の基質は減少していきます。CO2濃度を下げたときには光呼吸が促進されますから、光呼吸によってRuBPが消費されることは十分に考えられます。あと、余計なことかもしれませんが、「明反応で作られたATPやNADPHの合成ができなくなり、RuBPがPGAへ変換される」というのがわかりませんでした。カルビン回路の逆反応でRuBPがPGAへ変換されるということでしょうか。植物のカルビン回路は暗所では動きませんから、逆反応もそれほど起こらないと思いますが。それが、以前使われていた「明反応」「暗反応」という言葉が現在は使われなくなっている原因の一つです。「明反応」「暗反応」については、「光合成の言葉」をご覧ください。(2013.8.24)


Q:はじめまして。クロロフィラーゼについて質問があります。クロロフィラーゼはクロロフィルからフィトールを切り離す役割があると学びました。この反応は不可逆の反応なのでしょうか、それとも可逆なのでしょうか?クロロフィル合成経路においてクロロフィラーゼは名前にないようでありますが、是非ご教示いただきたく。またもし文献などもお知りでしたら、後学のためにタイトルを教えていただきたく存じます。以上どうぞ宜しくお願いいたします。(2013.8.18)

A:生理的な条件下でクロロフィラーゼがフィトールをくっつけてクロロフィルを合成する反応を触媒しているのか、という意味でしたら、おそらくしないのではないかと思います。ただし、ただ酵素の反応として逆反応を触媒しないのか、と聞かれるとわかりません。クロロフィラーゼについては、1970年代にEllsworthたちがPhotosyntheticaに、Studies on chlorophyllaseという論文をいくつも書いていますから、そのあたりを調べてみたらどうでしょう。(2013.8.19)


Q:小6です。光合成とは違うかもしれませんが、花弁にある気孔について教えてください。今自由研究で、色水を使って白い花に色を付ける実験をしています。いろいろな花(バラ、テッポウユリ、トルコキキョウ、等々)で、条件を同じにして(葉を取り除く、茎の長さを10cmにそろえる)、実験をしました。いずれも花弁の先まで道管に色水が入ってきれいに染まりましたが、花によって、色水の吸い上げにとても時間差がありました。ダントツに早かったのはバラで、次にテッポウユリ、・・・という順番でした。そもそも葉を全て取り除いても水を吸い上げられる理由もわからなかったので調べたら、花弁にも多少気孔があり蒸散することで水を吸い上げられるということと、吸い上げが2番目に早かったテッポウユリは花弁に気孔が多いらしい、ということはネットや本を調べてわかりました。でも一番吸い上げが早かった「バラ」の花弁の気孔についてはどこを調べてもわかりません。バラの花弁にも気孔が多いのでしょうか。そして、花弁からの蒸散は多いと考えてもいいのでしょうか。よろしくお願いいたします。(2013.8.16)

A:結論から言いますと、バラの花弁には気孔が存在しないという複数の報告があります。従って、バラの場合は、気孔が多いから蒸散が多いとは言えないことになります。その場合、考えられる原因は、1)茎の通導性が高い、2)花弁の表面積が大きい、3)気孔以外の部分からの蒸散が多い、という3つでしょう。花弁の数を減らしてみる、あるいは花弁にワセリンを塗って見る、などといった実験をしてみれば、原因がわかるかもしれませんね。(2013.8.16)


Q:光合成色素はクロロフィル、カロテノイド、フィコビリンの三つが代表的なものとなっていますが、フラボノイドは光合成には関係ないのでしょうか?それとも三つの分類どれかに入るのでしょうか?後、白色の花を光にあまり当てないで育てると色がクリーム色になったり逆に強い光で光阻害になっても黄色が強く残っているように思いますが。カロテノイドを分解出来ないでいると解釈してもいいでしょうか?最後に緑色の花は光合成しますか?変な質問ですみませんがよろしくお願いします。(2013.7.18)

A:フラボノイドは光合成色素ではありませんし、構造も光合成色素とは異なります。白色の花がクリーム色になる仕組みはよく知りませんが、カロテノイドが分解できない可能性のほかに、光を吸収はせずに散乱するフラボノイド(白く見えます)の合成が不十分になる可能性もあるかもしれません。最後に花でも緑色のものは、ちゃんと光合成をすることが知られています。(2013.7.18)


Q:デンプンはよう緑体でどのようにできているのか。なぜよう緑体でできるのか。なぜよう緑体じゃないとできなくて光合成をするときできるのか。自由研究でやってるのでくわしくおねがいします。中一
緑から赤にかれた葉はよう緑体をもっていて光合成をするのか?でんぷんをつくているのか? なぜ赤やきいろになるのか?どんな物質が赤やきいろにしているのか。はやめにくわしくおねがいします!(2013.7.17)

A:この「光合成の森」では、よく寄せられる質問については「よくある質問」(FAQ)のページに分野別に質問を整理してありますし、「光合成の教室」の中では、光合成の仕組みについていろいろな点から説明しています。さらに、赤い葉っぱが光合成をするかどうかについては、「光合成の実験室」の中にそのものずばりの実験が紹介されています。まずは、それらの情報を見てもらえれば、質問に対する答えは大方見つかると思います。それでも、わからない点があったら、改めてご質問ください。(2013.7.18)


Q:キクを夏の暑い条件下で栽培する場合について質問させてください。キクは夜温が高い時期は花芽分化などが遅れて,正常開花しない傾向がありますが,夕方,キクのほ場に水をかけて夜間に微風を当てると高温障害が減るという話(農家の話)を聞きました。キクは夜は光合成をしないので積極的に気孔を開かないと思いますが,土壌に十分な水分があって,風を当てて葉の周辺の湿度が低下すると気孔を開き,蒸散が促進されるのでしょうか?。キクの花芽分化など生理生体反応には葉温が影響すると考えられ,蒸散作用により葉温が下がる(適温に近づく)ことで,正常な生育(花芽分化など)をすると考えてよいのでしょうか。(2013.7.16)

A:個別の植物の栽培の専門家ではありませんので、一般的な知識からの類推になりますがご容赦ください。夜間の蒸散はそれほど大きくありませんし、圃場に水をかけても、根からの給水速度がそれほど劇的に変わるようには思えません。とすると、むしろ植物体の表面がぬれたこと、あるいは地表面が湿ったことによる、表面からの蒸発が影響している可能性があります。以前、植物体を濡らす実験を行なったときの経験では、土壌を濡らさない場合でも葉温の低下がみられました。花芽分化などが温度によって影響を受けることは十分に考えられます。植物体表面からの水の蒸発により気化熱が奪われて植物体の温度が低下することにより、花芽分化が正常になった可能性が強いのではないかと思います。(2013.7.16)


Q:光合成とは少し違いますが、タネの発芽に光が必要であると言い切ってよいものでしょうか?光を感じることによって発芽するタイプのものと、暗い条件下で発芽するタイプのものがあるようですので、「必要なものもある」という表現ではないかと思うのです。どういうタネが光を必要とし、またどの程度必要とするかなどについて調べるに際して、何か参考になる本などありましたらお知らせください。よろしくお願いします。(2013.6.20)

A:その通りだと思います。種子の発芽に光は「必要なものもある」というのが正しい表現でしょう。光発芽種子として有名なレタスでも、品種によって光発芽の性質を失っているものもあります。参考書についてですが、植物生理学の教科書(オーム社、培風館、化学同人などからいくつか出ています)には共通するメカニズムについての記述があります。ただ「どの植物はどう」という個別の情報が必要な場合には、むしろ農学的な教科書を探さないといけないかもしれません。(2013.6.20)


Q:初歩的なことをお聞きします。よろしくお願いいたします。果樹の場合です。内部に光を入れるために枝を剪定します。剪定すると葉が減るので、光合成の総量が減ると思います。ですので、剪定をしない方が光合成的には有利だと思うのですが、実際にはどうなのでしょうか?また、日当りが悪いような所だと、光合成も不利になると思いますので、こういう環境では、葉の数が日当りの悪さをカバーするとも考えているのですが、どうなのでしょうか?よろしくお願いいたします。(2013.6.10)

A:植物の個体の光合成と生育だけを考えた場合、剪定をしない方がよい場合があるということは十分に考えられます。ただ、果樹の場合、種類にもよるでしょうけれども、木の大きさや樹形を作業しやすい状態に保つため、一枚の葉あたりに当たる光を増やした方が果実がつきやすいため、あるいは、剪定したあとに出る新しい枝に果実がつきやすいため、といった理由から剪定が必要になることは十分に考えられます。(2013.6.10)


Q:スプレー菊の生産農家をしています。私は、できるだけ茎を太くて、重量感のある菊を生産したいと思っていますが、そのための一つの手段として以下の温度管理に気を配っています。【朝はできるだけ早くハウスを開けることで、高温にしない。(14度くらいがいいかも?)】菊の生育のためには20度での管理がいいと教わりましたが、朝は14度くらいで低温にしたほうが茎が太くなるような気がしています。20度で管理すると茎が細くて背丈も伸びるすぎるような気もします。そこで、質問なのですが、茎を太くするために、朝を理想温度の20度より14度くらいの低めの温度で管理するのが良いと感じているのは、気のせいでしょうか?それとも、なにか裏づけできる理由があるでしょうか?アホな質問で申し訳ないです。少しでも菊のことを理解してあげたいと思い質問させていただきました。返事をしていただけたら、幸いです。(2013.6.3)

Q:特に変な質問ではないと思いますが、光合成とは直接関係がないように思います。植物の背の高さや茎の太さが温度によって変化することはよくあります。ただ、どの程度の高さ・太さをもっともよいと感じるかは人によるのではないでしょうか。また、「重量感」を求めると栽培期間は長くなる、といった関係があれば、実際の栽培条件の選択に当たってはそのような点についての考慮も必要になると思います。いずれにせよ、栽培者が納得できる植物が育つ条件が、一番よい条件だと言えるのではないでしょうか。(2013.6.4)


Q:光合成の量を調べるために、ヨウ素液でデンプンの量を調べたいのですが、デンプンの量が増えると青紫色も濃くなるのですか?また、光合成の量を調べるためには、酸素の量を調べたいけれど、方法がわからないので、その方法と、他に光合成の量を調べる方法があれば教えてください。(2013.5.30)

A:ヨウ素デンプン反応では、デンプンの量が増えると色も濃くなります。ただ、色合いは変わりますので、濃くなると青紫色というよりは真黒に見えます。「ヨウ素デンプン反応の実際」に載せている写真でも、黒っぽい濃淡がついているのがわかると思いますが、この濃淡はデンプン量をある程度反映していると考えられます。酸素の量を調べるのに普通使われるのは水を満たしたペットボトルの中で光合成をさせるもので、オオカナダモなどの水草では非常にうまくいきます。植物を入れたペットボトルに光をあてると、酸素が泡となって出てくるので、例えば、その気体の量から光合成の程度を知ることができます。この場合、葉っぱでも不可能ではありませんが、もともと普通の葉っぱは水の中で光合成するようにできていませんから、きれいな結果を出すのは大変でしょう。光合成を測定するには、他に二酸化炭素濃度の変化を調べる方法があります。水草の場合は、二酸化炭素が水に溶けて炭酸になると酸性を示すので、溶液の酸性度(pH)をpH指示薬で調べることによって光合成を見積もることができます。普通の葉っぱの場合は、気体の中の二酸化炭素濃度を気体検知管で測定するのが普通ですが、これには専用の器具が必要になります。(2013.5.31)


Q:ポトスは何型光合成ですか。調べてもわからなかったので教えてください。また光合成とは少し違いますが、よく植物はホルムアルデヒドなどの化学物質(汚染物質)を取り込んで無害化させるとありますが、それはどんな意味なのですか。教えてください。(2013.5.26)

A:ポトスはC3植物です。植物は光合成のために気孔を開けて空気のやり取りをしますから、その際に空気中のガスが細胞に溶け込むことは十分に考えられます。また、そのガスが植物にとって有害物質であった場合、細胞の中でより無害な物質に変える働きを持っている可能性はあります。積極的に「取り込む」というイメージではないように思いますが、そのような作用を指しているのではないかと思います。(2013.5.26)


Q:初めまして。こんにちは。早速ですが質問に移らせていただきます。先日、生物学実験で藻類の色素分離を薄層クロマトグラフ法で行いました。試料とした藻類は「アオサ(緑藻)」「ヒロメ(褐藻)」「ニセフサノリ(紅藻)」の3種類です。試料を粉末状にし、シリカゲルを加え更にすり潰し、その後遠心分離させ上澄みを抽出しました。抽出溶媒にはジエチルエーテルを用いました。各試料をTLCシートに濃くスポットし、展開溶媒(石油エーテル:アセトン=3:2の混合液)につけました。その結果、ヒロメとニセフサノリはうまく分離したのですが、アオサのみ伸びが悪く、一番下に表れるはずのネオキサンチンが観察できませんでした。また、Rf値を算出したところ他2種とは大きく違いました。自分なりに以下の原因を考えてみたのですが、初めての実験で知識も少なく、これ!とはっきり言えません。
1・試料が十分にすり潰せておらず、色素が抽出できていなかった
2・スポットが甘かった
3・展開溶媒につける際にシートが斜めになっていた
 他2種の試料は、共通して存在するカロチンとクロロフィルaのRf値が近かったので、3なのかな…と考えています。再度実験を行えば1、2が原因か否かは分かったと思うのですが…時間等の関係で一度しか行っていません。長々と失礼しました。ご回答、よろしくお願いします。(2013.5.24)

A:うまくいかなかった実験の原因は説明からだけではわからないと思います。一応、参考までに、考えられた上の3つ以外の原因について挙げておきます。比較的ありがちなのが抽出時の水による妨害です。アセトンなどの水に混ざる溶媒の場合は、多少水があってもそれほど問題になりませんが、ジエチルエーテルは極性が低いので水により抽出が妨害される可能性があります。従って、試料の量に対してシリカゲルが少ないと抽出がうまくいかないことがあります。後は試料自体の問題でしょうか。アオサは褐藻に比べると、一般的には扱いやすいのですが、古くなった試料では変性などによりうまくいかないことはあります。(2013.5.24)


Q:紫外線で光合成をしたいのですが、回答をよろしくお願いいたします。ほとんどのホームページで、紫外線は植物の成長阻害をすると書いてあり、そこで、どうすれば、人間にも植物にも有害な紫外線をうまく活用して光合成ができるのかを考えています。〔紫外線で光合成が出来ない理由〕と〔どうやれば紫外線で光合成が出来るのかのヒント〕を教えて下さい。自分で、紫外線で光合成をやってみようと思います。それが成功するか、しないかで、どうやったら効率がいいのか、又は出来るのかを論文にしたいと思っています。紫外線装置の光を当てて実験したいと思うのですが、〔市販で購入出来そうなもの〕があるならば教えて下さい。(2013.5.6)

A:まず、光合成の色素であるクロロフィルは、紫外線よりも可視光線をよく吸収しますから、紫外線ではどうしても光合成の効率が悪くなります。これを無視したとしても、紫外線は、生き物の遺伝情報を担うDNAに吸収されて、DNAを破壊してしまいます。たとえ一時的に光合成ができたとしても、DNAが破壊された生物は長く生き延びることはできないでしょう。それだけなら、紫外線を吸収して光合成をできる装置を外側に配置して、内側にDNAを置けばよいかもしれませんが、光合成の仕組みだけを見ても、水を分解して酸素を発生する部分に含まれているマンガンの原子が紫外線を吸収して破壊されてしまいます。紫外線を利用できない理由がこれだけ重なっていると、紫外線で光合成をするのは難しいように思います。逆にいえば、これらを全て解決できれば、紫外線で光合成をできるかもしれません。紫外線ランプは、「ブラックライト」として市販されていると思います。(2013.5.6)


Q:初めて質問をします。ご存知かは分かりませんが、農地の上でソーラー発電をしながら、農作物を作るという「ソーラーシェアリング」という手法があります。私もこの手法での農業を実践したいと考えています。そこで、作物ごとの光飽和点をネット上で検索し一覧表を作成しましたが、具体的にどの作物を作るのがベターかを判断できません。またすべての作物についての資料はみつかりませんでした。設置にあたっての条件で、農水省の指針には「2割以上の減収をしないこと」という項目があります。発電パネルによる遮光率と光飽和点と栽培時期などの関係で下記について教えて下さい。(ソーラーシェアリングの発電設備は鋼製パイプで藤棚をつくり発電パネルを間隔を開けて設置する方法です。その面積は30〜35%程度です。)
Q1.具体的に作付を検討している作物はソバ、小麦、サツマイモです。これらについて光飽和点など調べる方法を教えて下さい。(光飽和点を調べ確認できる参考先、又は問い合わせ可能な団体などを教えて下さい。)
Q2.栽培場所や栽培時期により光の強さが異なると思います。長野県上田市で各作物の季節ごとの光飽和点以下にならないような遮光率を算定する方法と参考にできる文献などを教えて下さい。
Q3.作物収穫量で2割以上の減収とならない為の光の量は光飽和点の光量から算定できるのでしょうか。(収穫量の減収については同年の周辺地域の平均収穫量と比較してのことになります。)(2013.5.3)

A:まず、光-光合成曲線について簡単に説明します。光の明るさを変えて、光合成速度をグラフにしたものが光-光合成曲線です。真っ暗では光合成は行なわれずに呼吸だけが起こりますから、光合成速度は見掛け上マイナスになります。少し光を強くしていくと、光合成と呼吸がちょうど釣り合う光の明るさがあり、ここが光補償点です。光が弱いうちは光を明るくするにつれて直線的に光合成速度が上がっていきますが、光が強くなると、光合成速度の値は徐々に頭打ちになってきます。光の明るさを変えても、光合成速度が変わらなくなる理論上の点が光飽和点です。ただし、光補償点が比較的きちんと求まる値であるのに対して、光飽和点というのは、実際上はそれほど意味のある値ではありません。徐々に頭打ちになる光合成速度がどこで「一定に」なるかを実際に決めようとしても、その近辺では、光合成速度がほぼ「平らに」なっているわけですから、わずかな光合成速度の違いは、対応する光の明るさの非常に大きい差を生みだしてしまいます。同じグラフを見せて、どこが光飽和点かを読みとらせるテストをしたら、人によって全く異なる結果になるでしょう。というわけで
Q1.光飽和点を比較することにはそもそもあまり意味がありません。光合成の光の利用効率を比較するのであれば、光-光合成曲線の光が弱い所での傾きを比較するか、あるいは、最大光合成速度の半分(あるいは例えば8割)の光合成速度を与える光の明るさを比較する、といった方法が必要でしょう。また、光合成の効率は、同じ種類の植物でも生育環境によって大きく左右されますから、文献値からだけで議論することができるのは、稲や普通の野菜などのC3植物に比較するとトウモロコシのようなC4植物は強光でも光合成が飽和しにくい、などと言った大きな差のある種類の間での比較の時に限られるでしょう。
Q2.当たり前ですが、太陽の光はお昼に強く、朝晩に弱くなります。従って、正午の光で光合成が飽和していたとしても、朝晩には必ず光合成は飽和しなくなります。植物工場で人工的な光を当てているのでない限り、「光飽和を下回らないようにする」ということは不可能です。もちろん、正午の最大の明るさの光が光飽和を下回らないようにする遮光率を計算することは、(Q1の問題点を除けば)可能ですが、そのことと、1日を通して植物がどの程度の光合成をするかとは、直接関係しないのです。 Q3.上で説明したことから明らかだと思いますが、光飽和点を基準に、収量を予測することはできません。実際の畑での試行錯誤が必要になると思います。光合成の測定からこれを予測しようとする場合には、当該の植物の(光飽和点といった1点の情報ではなく)光-光合成曲線全体のデータと当該の畑での光の明るさの(一定期間の、あるいは最低一日の)頻度分布のデータが必要になります。(2013.5.4)


Q:光合成が盛んになると根からの水や肥料の吸収も旺盛になるとききましたが本当でしょうか。それはどんな仕組みなのですか。(2013.4.26)

A:根から水を吸い上げる力は、根の働きも少しはありますが、ほとんどは葉から水が蒸発するのに伴って上から引っ張られる力が働くことによる部分が大きいのです。ですから、葉の気孔が開くと根から水が吸い上げる力も大きくなります。光合成を盛んにする時には、光合成の原料である二酸化炭素を葉の気孔から取り込む必要がありますから、当然気孔は開いています。結果として光合成と水の吸収は、気孔を通して一蓮托生の関係になります。ですから、水不足で困っている時には植物は気孔を閉じますから、お天気が良くても光合成ができなくなるという面も持ちます。肥料は、根から水とともに吸収されますから、水と同じように光合成が盛んな時に吸収されることになります。(2013.4.27)


Q:私は稲に対する日陰の影響調査をしておりますが、植物(稲)同じ時間の光が当る場合に「連続した光」を当てた場合と「断続的な光」を当てたときでは光合成の量に違いが出るでしょうか。(2013.2.18)

A:断続的な光といっても、1回の光の明るさ、継続時間、そして光と光の間の暗期の長さは様々ですから、一概に言えません。「同じ時間」で「断続」というのは難しいので、照射される光の総量が一定の場合を考えます。光の明るさを上げると光合成の速度は上がっていきますが、ある程度以上になると頭打ちになり飽和します。したがって、例えば強光を4時間あてて次に暗くして4時間おくというサイクルを繰り返した場合と、半分の明るさの光を連続的にあてた場合を比較すれば、連続的に光をあてた場合の方が光合成量は上がります。では、明4時間/暗4時間のサイクルと明2時間/暗2時間のサイクル、さらに明1時間/暗1時間のサイクルなどを考えた場合はどうかというと、通常の植物ではそれほど大きな変化はありません。ただし、環境応答に関わる遺伝子がうまく働かなくなった植物では、サイクルが短くなると(たとえば15分ごと)生育が悪くなることが知られていますので、分単位の短い明暗サイクルは光合成にとってよくないことがわかります。一方、時間の単位がミリ秒ぐらいになると今度はサイクルがあった方がよい場合が出てきます。光合成は光によって進む反応と、光を使わない反応がありますが、この光を使わない反応のステップの進行には1ミリ秒程度かかります。つまり、1ミリ秒以内に2回光があたっても、そのうちの1回の光は無駄になってしまいます。ですから、例えば持続時間5μ秒のフラッシュのような光を1ミリ秒おきにあてた場合と、同じ量の光を連続的にあてた場合を比べると、フラッシュの光の方が、光合成の効率がよくなります。ただし、間隔がもっと長くなると、今度は光によって進んだステップがその間に逆行してかえって効率が悪くなりますし、間隔がもっと短くなると今度は光を使わない反応が完了する前に次の光があたることになりますから、やはり効率が低下します。というわけで、答えとしては、条件によって様々ですということになってしまいます。(2013.2.19)


Q:初めまして。仕事で植物を扱い始め、こちらのHPにお世話になっています。過去の質問から、・収穫後の葉もしばらくは光合成を行う、・しかし気孔を閉じるので光合成速度は落ちる、ことは分かったのですが、収穫した葉が、光量の少ない環境で緑色度を増す可能性はありますか?例えば、葉物を温湿度調整された比較的暗所に保存した場合、鉢植えなどと同じようにクロロフィル類が増えることがあるのでしょうか?(2013.2.1)

A:まず被子植物(マツやスギといった裸子植物ではない種子を作る植物)の場合、クロロフィルの合成には光が必要なので、真っ暗な所に置いておいて緑色が濃くなることはありません。一方で、暗所でもやしの状態になった葉に光があたると、そこでクロロフィルが合成されますから、植物から切り離された葉においても緑化が起こる場合はあると思います。では、野外で普通の条件で育った植物の葉を切り離して弱い光の下に置いた場合はどうなるかと考えてみると、目で見えるようなクロロフィル量の大きな変化は起こらないのではないかと思います。弱い光の下で光を集めるクロロフィルを増やす機構がありますので、原理的には多少の変動を示す可能性がありますが、元の量が多いため相対的な変化はどうしても小さくなってしまうように思います。(2013.2.1)

Q:早速の回答ありがとうございます!色素の成分分析をするにはサンプル量が足りないので見た目の色を追跡しているのですが、他に「暗所に置いたことで葉緑体の配置が変わった」、「暗所に置いたことでデンプンが減って、葉緑素の色が目立つようになった」などを先生の著書から理由として考えたのですが、可能性はあるでしょうか?測色計のデータのみで考察するということ自体無理があるとは思うのですが、収穫後の葉でも上記の現象が起こるか否か、教えていただけると助かります。(2013.2.1)

A:葉緑体移動もデンプンの減少も、現象自体は収穫後でも起こると思いますが、色に与える影響はそれほど大きくないと思います。一般的には葉から水分が失われると少ししなびて葉面積が小さくなります。そのような場合、面積当たりで比較することになる「色」を基準にすると、濃くなる場合はよくあります。サンプル量が足りないとのことですが、5 mm四方の葉があれば十分色素量を求めることができます。(2013.2.2)


Q:光合成光量子束密度は光量子計Apogee MQ-200 で測定した値をどのような計算で求められるのですか?(2013.1.23)

A:光量子計は光量子束密度を測るための機械です。当該機器の感度分布は光合成有効放射に合わせてあるようですから、きちんと機器が設定されていれば、「測定した値」=「光合成光量子束密度」になるはずですが・・・。(2013.1.23)