顕微イメージングPAMによるクロロフィル蛍光測定

2019.10.26最終更新

クロロフィル蛍光測定の一般論については、光合成とクロロフィル蛍光をご覧ください。以下のプロトコールは、Walz社の顕微イメージングPAM(Imaging PAM Microscopy)を用いて、組織レベル、細胞レベルのクロロフィル蛍光イメージを測定するためのプロトコールです。

顕微イメージングPAMの特徴

顕微イメージングPAM (Imaing PAM Microscopy)

クロロフィル蛍光測定は、励起光を照射して、放出される蛍光を測定するだけですから、基本的には、どのような光学系でも測定可能です。微小な面積から発するクロロフィル蛍光であっても、基本的には顕微鏡と組み合わせることによって、測定は可能です。そのような顕微鏡レベルでのクロロフィル蛍光イメージを測定するための装置が顕微イメージングPAMです。

Walz社の顕微イメージングPAMにおいては、顕微鏡自体はカールツァイス社のAxioscopeを改造したものが使われています。本体奥に励起光源としてLEDを搭載し、ここからの光をリフレクターで反射させて対物レンズを通して試料に照射します。試料からの光(蛍光)は、フィルターを通したのち、光路を切り替えることにより、接眼レンズへ、あるいは蛍光の検出部へと送られます。測定光は、100 μ秒オーダーのごく短い変調光で、これによってPAM測定が可能になっています。平成29年度時点においては、光合成解析センターの機器には、励起LEDとして青色光LED(IMAG-L470M)とオレンジ光LED(IMAG-L625M)を搭載しており、陸上植物や緑藻などの励起にはクロロフィルの吸収が大きい青色光LEDを用いる一方で、青色光ではあまり励起されないシアノバクテリアを材料とした場合には、オレンジ光を励起光として選ぶことができるようになっています。

顕微イメージングPAMでは、光の検知にAllied Vision Technologies社製のCCDカメラを使っています。このIMAG-K6カメラは、1392x1040ピクセルの2/3インチのチップを、4ピクセルのビニング(受光素子を複数結合して感度を上げること)により640x480ピクセルの解像度で使用しています。この、IMAG-K6カメラは、顕微イメージングの他に、通常のクロロフィル蛍光イメージングにも使われ、その場合には、対物レンズ、フィルター、ディスタンスリングをつけて利用しますので、顕微イメージングに使う場合には、まず、それらを取り外す必要があります。顕微鏡へは、0.5倍のCマウントカメラアダプターにより接続します。なお、このカメラは絞りにより焦点深度を深くすることができるようにしていますが、当然その場合は光量が低下します。顕微PAMに使用する際には、必ず絞りを全開放しておきましょう。

顕微PAM特有の注意点として吸収率の問題があります。顕微PAMでも通常のPAMと同様にクエンチング解析が可能であり、例えばETRとして光合成速度を測定することもできます。ただし、ごく薄い細胞層の測定では、光の吸収率はそれほど大きくなりません。この点が、通常、赤や青の光ならば90%程度の吸収率がある葉とは大きく状況が異なります。ETRの計算には吸収率がかかわりますが、吸収率の顕微鏡レベルでの実測は難しいため、計算されたETRの絶対値を通常のPAMで測定したETRと比較することにはあまり意味がないでしょう。また、マイクロ光量子計を使えば、照射する励起光の光量の絶対値を求めることができますが、実際に重要なのは試料に吸収される光であり、これは吸収率に依存します。従って、光飽和曲線などについても、通常のPAMのものと比較することにはあまり意味がないでしょう。これらについては、相対的な比較にとどめる必要があるように思います。

以下では、実際の測定の手順を説明していきます。

顕微鏡のセッティング

  1. コントロールユニットとカメラをつなぐケーブル、カメラとパソコンをつなぐケーブル(Ethernet cable)、コントロールユニットとLEDユニットをつなぐケーブル、の3本のケーブルを間違いなく接続する。その後、コントロールユニットとパソコンのスイッチを入れる。LEDユニットにつなぐケーブルは、単に押し込むことで接続される(抜くときは単に引っ張る)。
  2. 前回、別の目的(顕微蛍光測定)に使われていた場合は、LEDのモジュールに入れてあるNDフィルターを変更する必要がある可能性がある。顕微イメージングにおける通常目的では、4種類あるNDフィルター(6.6%、13.7%、23.5%、51.2%、プラスチック製のペラペラのもの)のうち、一番濃いものを1枚入れておけばよい。これは、LEDの強度が、特に測定光としてはそのままでは強すぎることによる。試料の蛍光収率によっては、NDフィルターを追加したり、より明るいフィルターに変更したりしなくてはならない可能性がある。開放部の内側にはまっているスクリューリングを回して外すと、フィルターを交換できる。なお、オレンジ光LEDの場合は、長波長の光をカットするためにKPF647.5フィルターをセットする必要があり、これは、NDフィルターよりも手前(光源から見れば一番遠い側)にセットする。
  3. 左奥に電源スイッチがあるので、これをオンにする。
  4. 電源スイッチの手前にある回転式の調節スライダーで、ハロゲンランプの光量を調節する。ただし、これは資料のピントを合わせたりするためだけに用いるので、PAM測定自体には必要ない。
  5. 下部の手前の回転式の切り替えで、ハロゲンランプ用のフィルターを選択する。「・」:オフ、1:青色フィルター、2:白色25%、3:白色6%、4:白色1.5%、5:白色100%。
  6. 上部左側の棒を引き出すことにより、接眼部への光路を解放する。
  7. 上部右側のレバーを手前に倒すことにより、光路を接眼部へと切り替える。
  8. 顕微鏡本体の手前側中央にあるリフレクター/フィルターの回転式切り替え位置を選択する。1,2は蛍光測定用の赤いフィルターが入っているので、初期セッティングの時点では素通しの3もしくは4の位置を選択する。
  9. 通常の顕微鏡と同様に、試料の位置とピントを合わせる。これが終われば、ハロゲンランプは消してもよい。
  10. 上部左側の棒を押し込むことにより、接眼部への光路を閉鎖する。
  11. 上部右側のレバーを奥に倒すことにより、光路を光電子増倍管側へと切り替える。

顕微鏡の測定準備

  1. 顕微鏡の奥側上部の右側にあるつまみを回して適切な光源を選択する(現在は、一番手前の位置(1)は青色LED(IMAG-L470M)、(2)はオレンジ光LED(IMAG-L625M、シアノバクテリア用)、奥の二つの位置にはLEDが入っていない)。従って、一番手前か、向こう側に一段階回した位置にセットする。
  2. 顕微鏡本体の手前側中央にあるリフレクター/フィルターの回転式切り替え位置を選択する。現在は1と2にクロロフィル蛍光測定用の赤フィルターを入れてあり、3,4は素通しになっている。1と2の光学系自体は同一であるが、光源が1の場合はこちらも1を、2の場合は2を選択する必要がある(上記のLEDの種類と連動して変更する必要がある)。
  3. 後述するソフトで蛍光のシグナル値が0もしくは非常に低い場合は、測定光が照射されているかどうかを確認する。このためには、試料の位置に白い紙をおけば肉眼で確認できる。測定光が見えないときは、以下の点をチェックする。(1)上記のように、光源の選択とレフレクター/フィルターの切り替え位置があっているか? (2)ソフト上で、測定光をつけているか(Measuring Lightにチェックが入っているか)? (3)ソフト上で、測定光のレベルが十分に高く設定されているか? (4)光源のLEDに不必要なNDフィルターがつけられていないか?(顕微PAMとイメージングPAMでは同じ顕微鏡を共用しており、両者の間では感度が大きく違うため、NDフィルターによって測定光の強度を調節する必要がある)

ソフトの起動

  1. ImagingWinGigEソフトウェアをインストールする。ソフトはWalzのホームページからダウンロード可能。もしカメラライバーがインストールされていない場合には、ImagingWinGigE folderの中にあるAllied_Vision_Technologies_GigE_Viewerをインストールする必要がある。
  2. ImagingWinGigEソフトウェアを起動する。
  3. 「Looking for Camera...」というカメラ探索のウィンドウが開いて閉じたのち、測定ヘッドの選択ウィンドウが開くので、MICROSCOPYを選択する。カメラ探索のウィンドウには、下にViewボタンがあるので、カメラをつないでいないパソコンで、データのみを扱う場合はこれを押してViewモードに入る。カメラを接続しているにもかかわらず測定ヘッドの選択ウィンドウが現れないときには、カメラとのケーブルの接続などを確認する。
  4. 次にLED選択画面が開くので、IMAG-L-450を選択する(RGBにしない)。IMAG-L-450は青色LEDだが、オレンジや赤色LEDでも、そちらを選ぶらしい。
  5. 次にImage Correctionに関する説明(CorrFrameMaxが見つからない)のウィンドウが開くが、これはOKを押して無視してよい。実際に、Correctionの条件を測定する場合には、SettingsタブからImage Correctionを選び、LEDを選択したのちに、蛍光標準を試料としておいてフォーカスをぼかしてMeasureボタンを押すと、実測値が設定される。
  6. 次にAL-Listを選択するように求めるウィンドウが開いて、OKを押すと、Actinic Lightウィンドウが開くので、さらにOKを押して次に進む。
  7. この後に実際の測定画面(Imageタブ)が現れる。なお、以後の画面で、NIR(赤外光)やLiveImage、MeasureAbsにかかわるボタン/設定が存在するが、Microscopyバージョンでは利用できないことに注意する。ただし、LiveImageに関しては、NIRの照射はできないものの、顕微鏡の光源からの透過光のうち長波長成分はカメラに認識されるため、LiveImageモードにしておいて、顕微鏡光源からの透過光を測定することにより試料の位置や焦点を合わせることはできる。試料が置いてあるにもかかわらず、初期画面で蛍光が見えていないときには、光路の切替えやフィルターの設定などをチェックする。

測定手順の概略

  1. ソフトの初期画面(Imageタブ)では、試料が置いてあれば既に蛍光のイメージが出ているはずなので、必要に応じて、カメラのピント調節リングを回してピントを調節する。MINIバージョンなどではNIRを照射してLiveImageによって細かいピント調節ができるが、MicroscopyバージョンではNIRが使えないので、蛍光測定のまま調節するか、LiveImageにしたのち顕微鏡用の光源を用いて(上述)調節する。LiveImageにした場合は、調節後、蛍光測定画面に戻る。
  2. デフォールトでは、イメージの中心部に丸い蛍光検出領域(AOI)が1つ設定されており、この部分の蛍光パラメータが計算・表示される。必要に応じて、AOIを追加したり、削除したりすることができる。
  3. 適切な暗順応の後に、パネル下部のFo,Fmボタンを押せば、まず、Foとして記録され、次に飽和パルスが照射されてFmが記録される。Special SPRoutineが有効の場合(これがデフォールト)数秒間の蛍光の平均値がFoとして記録される。どの程度の時間平均するかは、High Sensタブの下から2番目のFo Averatingパネルから設定できる。一度飽和パルスが照射されれば、イメージ画面の下のImage TypeをFv/Fmなどにすることにより、蛍光パラメータのイメージを見ることができる。この測定によるFo,Fmは、以後のパラメータの計算にも使われる。新しいFo,Fmの値を使って計算したい場合は、一度、New Recordボタンを押して、Fo,Fmの値をリセットする必要がある。
  4. Imageタブで表示できるパラメータのうち、Ftは測定パルスによる連続的な蛍光値を示し、Fは飽和パルス照射の直前3秒間の平均値を示す。また、NIR、Abs、PS/50、Redの測定には、NIRもしくはRedが必要であるため、顕微イメージングPAMにおいては、使用できない。ちなみに、Absは、NIR(赤外光)とRed(赤色光)の反射の差から光合成色素による吸収率を推定したものであり、そのAbsを使ってETRの相対値を推定したものがPSであり、これを0から1の範囲に収めるために50で割り算したものがPS/50である。
  5. AL(励起光)チェックボックスをオンにすると、励起光が照射される。その際の励起光の光量はPARボックスに表示されるが、これはソフト起動時に読み込んだAL-Listによって割り当てられたものである。ALをオンにした際には、ML(測定光)の周波数は自動的に最大の8 Hzに変更される。
  6. 励起光の照射条件で、SAT-Pulseボタンを押すと飽和パルス光が照射され、Y(II)などのパラメータの測定ができる。
  7. ALチェックボックスをオンにする代わりに、AL+Yボタンを押すこともできる。この場合は、Settings/Act.Light Widthで指定された時間だけ励起光が照射され、その最後に飽和パルス光が照射されるて励起光が消える。
  8. 下部中央パネルの右側のClockを使うことにより、飽和パルスなどを繰り返し照射することができる。繰り返し間隔はその下のボックスから秒単位で指定できる。繰り返せるのは、SAT.Pulse, AL, AL+YとFt-onlyの4種類で、当然ながらALやAL+Yの時には、ALの照射時間よりも繰り返し間隔を長くする必要がある。PAMでは、基本的には飽和パルスの照射時のデータしか残さないので、Imageタブにおける測定で、飽和パルスの影響を受けない蛍光の誘導期現象を測定しようとする場合には、Ft-onlyを使えばよい。ただし、この場合、測定間隔は1秒以上になってしまう。
  9. Kineticsタブ、Light Curveタブ、Reportタブの上部には、1行のテキストウィンドウがあり、ここに測定条件などを記入することができる。一つのタブに書き込めば、他のタブにも反映され、ファイルに保存される。
  10. 測定されたパラメーターは、Reportタブから左上のExportアイコンをクリックすることにより、CSVファイルに書き出すことができる。
  11. データ全体をファイルに保存する場合は、下部中央の緑色の背景のMeasureチェックボックスをオフにして一度Viewモードに入り、下部左のディスクアイコンからデータを保存する。

Kinetics測定

  1. 蛍光の誘導期現象における蛍光パラメータ測定をする際には、上部のタブをImageからKineticsに切り替える。ここで、Fo,Fm測定、AL照射、SAT-Pulse照射などを行なうことにより、いわゆるQuenching Analysisが行なえる。Kineticsの測定開始は右側のSTARTボタンで行い、その下のSTOPボタンで測定を終了する。測定終了後、ソフトのモードは、自動的にMeasureモードから、Viewモードに切り替わる。Measureモードでは、最後のSAT-Pulseの時のデータが表示されるだけだが、Viewモードでは、全てのSAT-Pulseのデータを見ることができる。
  2. Kinetics測定においては、飽和パルス光を照射していないときのFtも連続的に測定している。従って、最初からKineticsウィンドウで測定した場合のFtは連続しているが、Imageウィンドウで測定して、次にKineticsウィンドウでその時系列変化を見る場合には、Ftは飽和パルスを照射した時点で値のみが得られる。また、Ftは測定対象領域について測定されるため、保存したデータについて、新しい測定対象領域を設定した場合にはFtは表示されない(他のパラメータは表示可能)。さらに、Ftを0から1の間で納まるようにするため、グラフで実際にはFt/Fmとして表示されていることに注意する必要がある。すなわち、Ftの表示にはFmがあらかじめ測定されている必要がある。
  3. Kineticsタブにおいて利用できる測定方法は、Induc.Curve、Manual、Ind.+Recの3つであり、右側のボックスから選択が可能である。
  4. Kineticsの測定は、Induc.Curveを選択することにより、あらかじめプログラムされたStandard Induction Curvesによって再現性良く行うことができる。Induc.Curveが選択された場合には、Settingsタブの中央右側のSlow Inductionパネルにおいて設定された条件によって測定が進行する。そこにおいては、最初のFo,Fm測定のあと、Delay-timeの時間をおいて、Act. Light Int.の光量の励起光が照射され、Clock-intervalsの時間をおいて飽和パルス光が繰り返し照射される。測定時間はDurationによって定義される。Durationの時間が経てば自動的の終了するが、途中でSTOPボタンを押すことによって強制終了することもできる。ただし、Delay-timeよりも前に終了することはできない。
  5. Manualモードでは、任意のタイミングで、FoFm測定、励起光照射、飽和パルス光照射が可能である。また、上述のClock(右下のパネル)を使うことによって、繰り返し照射も可能である。
  6. Ind.+Recnモードにおいては、通常のInduc.Curve測定の後、励起光を停止してからも測定を継続し、この間、次々に倍々となる間隔をおいて飽和パルス光を16回照射する。これにより、非光化学消光の解消の様子を観察することができる。
  7. Kineticsタブにおいて、右上のAOIボタンを押すと、新しいウィンドウが開き、ここで、下部の一覧から表示するAOIを選択することができる。また、その上では、選択したAOIについて、表示するシンボルを確認することができる。
  8. 左上のグラフのアイコンはAutoscaleアイコンで、これを押すことにより、グラフの時間スケールが自動調整される。
  9. コメントすべきことがある時には、そのイベントの時点を右クリックするとテキストウィンドウが現れるので、そこにコメントを書き込むことが可能である。その時点は赤線として表示されるようになり、そこにカーソルが来るとテキストが表示される。このイベントマーカーもファイルに保存される。

Light Curve測定

  1. Rapid Light Curvesによって、蛍光パラメータの励起光量依存性を調べることができる。Induction curvesの測定には暗順応が必要である一方、Light curvesの測定は誘導期現象の影響を受けない(=暗順応しない)方がよいので、一般的には、暗順応→Induction curves→Light curvesと測定を進めるのがよい。その場合、Light curvesでFo,Fmを再度測定する必要はない。Light curvesの測定時には、"Do you want to keep the previously recorded Fo, Fm?"と聞かれるので、その際に、Yesと答えればよい。
  2. 測定条件は、画面右側のEditボタンを押すと現れるウィンドウで設定する。励起光の強さと持続時間をそれぞれクリックすると新しい値を入力できる。また、Uniform timeにチェックを入れると、最後に入力した持続時間にすべての持続時間が統一される。光量PAR自体は、リストから読み込まれるので、直接は変更できない。持続時間に0が入力されているところで、測定は終了する。デフォールトのリストでは、最大光量のあとで持続時間を0にしているので、そこで終了するが、これを例えば2に書き換えれば、そこから光量を下げていくプロトールに修正することができる。作成したプロトコールは、Light Curve設定のウィンドウからlcp-fileとして保存し、必要に応じて読み込むことができる。
  3. AOIボタン、Autoscaleアイコン、イベントマーカーについては、Kinetics測定とほぼ同様に利用することができる。

個々の操作

  1. 測定対象領域(AOI)の変更:Imageタブの右側のAOIパネルのReset(現在の領域の削除)、Add(領域の追加)を用いる。Showチェックボックスをオン・オフすることによって測定領域が表示・非表示になる。また、Filledチェックボックスにより、領域内を平均の色で塗りつぶすことができる。デフォールトTypeの円のAOIの場合は、追加する領域の大きさは+もしくは-キーで変更することができる。追加するTypeとしては、円、矩形、多角形が選択可能。矩形の場合は、マウスで角を動かすことにより領域の大きさを変える。多角形の場合は、マウスクリックにより頂点を指定し、ダブルクリックによって指定を終了する。
  2. デジタルズーム:Imageタブの右側のDigital Zoomパネルにより、イメージの表示領域の拡大が可能。Zoom Inにチェックを入れると、デフォールトでは、2倍に拡大(中心の1/4の面積が表示)される。表示領域は、Xoom Outの状態から、Defineボタンを押したのち、カーソルで対角線の位置の角をクリックすることにより任意に指定可能。指定した任意指定領域は、Resetボタンで解除可能。
  3. 色の変更:Imageタブにおいて、右側のタブをCaptureからAnalysisに変更すると、値の上限と下限の設定が可能になり、その間の値は赤で、その他の値はグレースケールで表示される。この状態で、Captureに戻して、Settingsタブの左下のDisplayタブからExpanded color displayを選択すると、特定の値の間のパラメータの変化を大きな色の変化として強調することができる。

測定条件の設定

  1. Ftは150-200程度が適切。蛍光シグナルは1000以上で飽和する。Ftが小さい時にはGainを上げるか、測定光の強さを上げる(ただし、あまりにも数値が小さい時には、上記の「蛍光のシグナル値が0もしくは非常に低い場合」を参考に、測定光の強度をまずチェックする)。Settingsタブの左上の測定光の設定のためのMeas. Lightタブが、左中央にGainの設定パネルがある。
  2. 測定条件は、主にSettingsタブから設定する。デフォールトの設定値は、ML intensity 3、ML Frequency 8、Gain 9、Damping 5、Sat Pulse 10、Sat Width 12(=720 ms)である。Saturation Pulseパネルには、Boosterチェックボックスがあり、これによりさらに強度を上げることもできるが、顕微PAMには推奨されない。
  3. 励起光は、Settingsタブの上部やや左のAct Lightパネルから20段階で設定し、その光量PARとの対応関係はAL-Listで与えられる。このリストは、最上部のメニューのOptions/PAR-Listから、確認・修正が可能である。
  4. 飽和パルス光は飽和していればよいので、Settingsタブの中央やや左のSat PulseパネルのInt.を最大の10にしておけばよい。ただし、Fm Factor(後述)を設定していないときには、飽和パルス照射時の出力低下を最小限にするために、飽和をするぎりぎりの強度に調節する必要がある。

データ補正

  1. Fm Factorについて
    1. 飽和パルス照射時には熱発生が大きくなるため、LEDがあったまることにより光量が低下し、見かけ上Fmが小さくなる。これは、MAXIバージョンの青色光のLEDの場合、通常、5-6%程度なので、その補正のために、Fm Factorが1.055に設定されており、Settingsウィンドウの中央下部にあるFm Factorのチェックボックスにチェックを入れて置けば、パラメーターの計算時にはこれを掛け算することにより、値が補正される。
    2. この、過熱による低下の割合は、LEDの種類によって異なるため、異なるLEDでは、手動で補正係数を入れる必要がある。実際の補正係数の見積もりは、蛍光が変化しない標準蛍光試料をセットして、FoとFmもしくは、FtとFm'を測定すればよい。FmもしくはFm'が低下する割合を補正するわけなので、標準蛍光試料のFo/FmもしくはFt/Fm'の値をFactorとして設定すればよい。Settingsタブの中央下部のFm Factorの現在の値をクリックすればウィンドウが開いて値を変更できる。
  2. F Factorについて
    1. 測定光が強い場合には、測定光が励起効果を持つため、Foが見かけ上大きくなる。これを補正するのがF Factorである。Settingsタブの中央下部のF Factorの現在の値をクリックすればウィンドウが開いて値を変更できる。
    2. ただし、こちらは、Fm Factorとは異なり、試料と測定条件にに依存して変化する。従って、実際の試料において、測定光が最低限の状態と実際に使用する測定光でFを測定して、その比をF Factorとして設定する必要がある。従って、実際には適用が難しい場合も多いので、チェックボックスをオフにしておく方が個人的には安全であるように思う。
  3. Special SP Routineについて
    1. Special SP Routineは、飽和光照射時に自動的に測定光強度を上げるとともにゲインを下げることにより、飽和光などを照射していないときの測定光強度を小さくしておくことが可能になり、昔のOld PAMのAuto 100 kHzモードと同じような効果が得られるというものである。しかし、昔のモードとは異なり、周波数ではなく強度を変化させるので、シグナルの大きさ自体も変化することになる。これを保障するため、光条件によって蛍光強度が変わらない標準蛍光光源を使って、変換係数を測定・設定しておき、これにより、シグナルが変化しないようにする必要がある。ただし、当然ながら、この変換係数は、LEDの種類やGainなどを変化させた場合には、いちいち設定しなおす必要がある。
    2. Microscopy Imaging PAMの測定モードにいくと、「Settings」のさらに右側に「High Sens」というタブがある。そのタブをクリックすると、一番最初(左上)に「Special SP Routine」チェックボックスがある。Microscopy Imaging バージョンの場合、最初から(デフォルトで) 有効になっている。これを有効にしている場合、あるゲインで測定したのち、別のゲインで測定しようとすると、飽和パルス照射後にゲインが変化してしまうという問題が生じる。ゲインを変更したら、その都度「Fm Normalization Factor」を修正する必要があります。
    3. SPルーチンのチェックボックスを外した状態で測定すれば問題は生じないが、その場合には、飽和パルス照射時に自動的に測定光の強度を上げることができないので、ノイズが大きくなる。
    4. 「Fm Normalization Factor」の修正は、標準蛍光試料をセットして、再設定のためのボタンを押せば自動的に可能。ただし、LEDの種類、レンズの組合せ、測定光の強度、飽和パルス光の条件などが変われば、改めて設定をし直さなければならない。
  4. Fv/Fm, Y(II), Y(NPQ), Y(NO)のイメージについては、Viewモードにおいて、もしくは保存される場合に、Fmが非常に低い部分(つまり蛍光がほとんど出ていない部分)が自動的に0として処理される。これによって、背景に余計な情報が含まれるのを避けることができる。このFmの閾値を変えるためには、High Sensタブの最下部のFv/Fm Contrast Enhancementを変更すればよい。閾値の初期値は0.1である。ただし、この機能を使うためには、SettingsタブからYield Filterチェックボックスを有効にしておく必要がある。
  5. Image Correctionを用いると、測定光のばらつきやレンズの特性による空間的な異所性を排除することができる。このためには、Settingsタブの成就やや右側のImage Correctionパネルから、Measureを押して、補正データを取得する。補正は、まずImage CorrectionパネルからType 1、Type 2、もしくはIMAG-L470を選択し(すなわち、3つの条件を保存しておくことができる)、次に標準蛍光スライドを置いて、カメラのフォーカスを合わせから少しずらす。これは完全にフォーカスがあっていると、ほこりなどがついていた時にそれが局所的に大きな影響を与える一方、全くフォーカスがあっていないと実験条件が実際の場合と異なってしまうため。最後にMeasureボタンを押せばよい。この補正は、LEDの種類やカメラのレンズの組合せ、ピントの位置が変化した場合には、再度行なう必要がある。

Viewモードにおける手順

  1. ViewモードとMeasureモードの間の切替えは、画面下部の緑色の背景のMeasureチェックボックスにより行なう。ただし、一部の測定のあとには、自動的にViewモードに切り替わる。
  2. データはそのままではハードディスクにセーブされないので、PAM Imaging (pim) fileとしてセーブしておく。これにより、後からでも、また、顕微PAMが接続されていないパソコンでも、解析が可能になる。
  3. データ関連の操作は左下のパネルで行なう。パネルの左上の欄には、測定(飽和パルス)番号と測定日時が表示され、その下の矢印で特定のデータを選択することができる。その右には、最新の測定番号が表示されている。さらに、その右のGoのチェックボックスがonになっていると、アニメーションにより一連の測定データを連続的に表示する。その際の再生スピードは、SettingsのGo Speedで設定できる。パネルの右上には4つのアイコンがあり、それぞれにより、ファイルへの保存、ファイルからの読み込み、コメントファイルの表示、イメージファイルの書き出し、が可能である。イメージファイルとしてJPEGを選択すると、特定の一つのイメージが保存されるが、TIFFファイルを選択すると、全てのイメージがグレースケールで保存される。従って、TIFFファイルは、画像編集ソフトによって情報を取り出して操作することにより、例えば、全く新しいパラメータのイメージを作成するために使用できる。
  4. 色表示のモードは、Displayパネルから変更できる。初期条件では、Colorが選択されているが、グレースケール表示(B/W)などが選択可能である。B/WとColorスケールでは、値が0.040以下のピクセルは黒で表示され、これによってバックグラウンドが抑えられる。Expanded Colorを選択すると、Analysisタブで設定された下限と上限の間の値のピクセルが、拡大して表示され、それ以下は黒で、以上は白で表示される。また、これを使うことにより、Colorスケールで0.040以下のピクセルが自動的に黒で表示される機能を回避することもできる。Fm Scaled Colorを選択すると、そのピクセルのFmに応じてFv/Fmなどの値を表示する。これにより、Fmが非常に低い(ほとんど蛍光を出さない)部分では、シグナルを弱くすることにより、蛍光を強く出している部分の情報を強調することができる。
  5. Viewモードにおいては、近隣のピクセルを平均化することによりノイズを減らすことができる。ただし、この場合当然ながら空間解像度は低下する。これは、Yield Filterチェックボックスをオンにして適当の値をセットすればよい。0-5の値が設定可能で、1では8ピクセル、2では24ピクセル、3では48ピクセルが平均化される。Fv/Fm Contrast Enhancementの機能(上述)を使う場合にもこのYield Filterをアクティブにしておく必要がある。