光合成の質問2024年

このページには、寄せられた質問への回答が新しい順に掲載されています。特定の知りたい情報がある場合は、光合成の「よくある質問」(FAQ)のページに分野別に質問を整理してありますので、そちらをご覧下さい。


Q:質問させていただきます。私は現在、学校に勤務しております。小学校や中学校の理科において、光合成によるデンプン生成を確認するために、ヨウ素デンプン反応が用いられます。この実験は、天候に左右される場合が多く、なんとか天候に左右されず安定して実験できる手法がないか模索しているところです。安易に思いつく方法としては、照度計でルクスを確認しながら、事前に光源を前日などから当て続ける(夜も)ということです。使用する植物や気温など、その他の条件にも左右される部分がありますが、この手法で十分にデンプンは生成されるでしょうか?もし可能であれば、植物によってヨウ素デンプン反応を確認するために必要なルクス量や時間などを調べたり、光合成速度など調べるとおもしろい探究活動になるのでないかと思っております。お忙しいと思いますが、ご回答よろしくお願いいたします。(2024.2.20)

A:結論から申し上げますと、全くデンプンが溜まっていない状況から、人工的に光を当ててデンプンをためることは、不可能ではありませんが、それほど簡単ではありません。普通の室内の光量は、太陽の直射日光に比べると1/100のオーダーです。最低限、強い光源が必要です。光が弱いと、単に光合成にとってのエネルギーが少なくなるというだけでなく、気孔が閉じ気味になることによってデンプンの原料となる二酸化炭素の取込も阻害されます。比較的一般に手に入る光源としてはプロジェクターがよいかもしれません。最近のものはLED型が多いと思いますので大丈夫だと思いますが、一般的には光が強いと熱も発生しますから、葉温が上がらないように注意する必要もあります。なお、昼の間にたまったデンプンが夜に消費あるいは転流によって失われないようにするだけであれば、ある程度弱い光でも十分です。(2024.2.20)