植物科学I 第3回講義

植物における炭素の固定

第3回は植物がどのように空気中の二酸化炭素を固定しているのかについて解説しました。炭素の固定回路には、ルビスコによるC3回路、PEPカルボキシラーゼによるC4回路、そしてCAM植物の炭酸固定などがあります。二酸化炭素の固定を空間的に分業したC4回路に対して、CAM植物型の炭酸固定は、見方によってはC4回路の変種とも考えることができます。そして、それぞれ、外部環境に対する適応戦略として考えることができます。その辺の、植物の「工夫」を読みとってもらえればいいのですが。なお、講義の冒頭で、前回の講義の補遺として、化学浸透共役を証明した acid-base transition の実験について触れました。


Q:光呼吸?植物は動物のように動けないし、受動的な感じのするが、やはり凄い秘密が。光に対して葉緑体が水平方向や垂直方向に並び変わることは、知っていたが、更に進んで、能動的に自ら合成した炭素を使い、光に立ち向かうとは、さすがだね。
 O2とCO2の濃度によってRubiscoがどちらに対して酵素として働くかによって光呼吸が起こるとすると、光の強さはあまり、関係がないような気がするんですが、どうなんでしょうか?
 クロレラなどの藻類はC3植物にもかかわらず光呼吸があまりないようですが、やはり、進化の過程で新たに獲得した能力だと言う事でしょうか?と言う事は、進化が進んでいるほど、葉緑体のDNAが植物体のDNAに組み込まれていくと講義でありましたが,同じようにミトコンドリアのDNAも組み込まれるので、複数の小器官間を介して、光呼吸が制御されていると言う事なのですか?
 光合成も、光呼吸も行うなんて、光に対して順応して行く植物はやっぱり凄い。
 つまり、光の君はいつも自己中だから、受けての方がそれに合わせて対策を講じるというところでしょうか。勿論、植物は光がないと生きて行けないが、その光が強すぎる為に害を及ぼす事にも成りかねないので、でも本当に光の君は植物がお好きなようで、桐、藤、葵・・・と、やはり光と植物は切っても切り離せないようですね。

A:確かにRubisCOの反応には光を必要としないのですが、光呼吸のトータルの反応式を見てもらうとわかるように、反応にはATPと還元型のフェレドキシンを必要とします。従って、光化学反応が動かない限り、光呼吸も止まってしまいます。
 二酸化炭素は水に溶けやすいので、水の中では一般的に、空気中より、二酸化炭素が律速になりにくいということがあります。講義では話しませんでしたが、水に浸かっている状態と、自ら出た状態とで、C3とC4を切り替えるタイプの植物までいます。
 最後に、せっかく文学の香りがしているので一首
「ひさかたの光あふるる世の中を草木も人も求めゆくなり」


Q:C4植物とCAM植物は、明反応と暗反応を空間的に分けるか、時間で分けるかの差—これを聞いて、今までずっと頭の中でごちゃごちゃしていたものがすっきり収まったような気がしました。二酸化炭素濃縮回路の細かい反応過程にとらわれすぎて、この二つのタイプの植物の、一番大きな共通点に気が付かなかったのです。何事も自分の頭で考えなければ面白さはわからないんだということを改めて感じました。
 講義の最初の方に見た葉の構造のスライドについて質問です。葉の表面の内側の、表側の部分がpalisade chlorophyll(柵状組織)、裏側のほうがspongy mesophyll(海綿状組織)ですが、なぜ柵状組織は光を通しやすくて、海綿状組織は光を反射するのか、以前から疑問に思ってました。自分なりに考えると、柵状組織では明反応、海綿状組織では暗反応が行われているからなのでは?と思ったのですが、そうすると葉緑体はどうなってるの?ということになってしまいます。それとも他の理由があるのでしょうか?

A:海綿状組織は光を反射すると言うよりは、光を散乱しています。海綿状組織では細胞と細胞内間隙が入り組んでいるので、光が細胞表面で、何度も屈折・散乱するのがその原因です。細胞の中身はおおざっぱにいて水ですし、細胞内間隙の中身は空気です。細胞内間隙にインフィルトレーションという減圧法を用いて強制的に水を入れてやると、散乱が低下して、葉っぱが透明に見えるようになります。


Q:まず質問です。「光呼吸」とは、高校までで聞いた植物の「呼吸」とはイコールではないんですよね?調べてみたら、光呼吸と対をなすような「暗呼吸」というものが、高校で学習した植物の呼吸のイメージと合致するのですが・・・。するとやっぱり、光呼吸の生理的意義がまだよくわかっていないのが気になります。光呼吸のないC4植物CAM植物が要領よく(!?)生きているような気さえします。
 C4植物、CAM植物といえば、Cをうまく取り込む機構ができていて、感心します。C4の3タイプの分布が単系統でないということで、進化の段階でいろんな時期にでてきたというお話で植物の環境に合わせる能力がいろんな時期に働いたということで、これからもいろんな植物ができていくのかと想像してしまいます。遥かに長いスパンでしょうが…。それとももう、できるかぎりのことはやりつくしてしまったのでしょうか。

A:高校で習う呼吸は、おっしゃるとおり、暗呼吸に相当します。C4植物は環境によく適応した植物ではありますが、湿潤環境では、C3植物が優先します。二酸化炭素を濃縮するためには、それなりのコストがかかるということでしょう。


Q:今回の内容では光呼吸についてほとんど知識が無かったため全体的に理解が出来ているか多少不安に感じたが、光呼吸の生理的意義についての部分は、エネルギー的には不利であるのになぜこのような機構が存在するのかについて考えさせられとても興味深かった。4つ考え方が示されていたがまだ確定していないとはいえ光阻害の回避という考え方は自分ではなかなか見つけられないだろうと感心してしまった。またC3,C4,CAMについてはこれまでC4とCAMはC3よりも進んでいる、という程度の認識でほとんど理解できていない内容だったので(高校で生物をやっていないので高校の範囲である事さえ知らなかった)大変分かりやすく良かった。C3からC4での空間的な分化ということはなんとなく分かっていたが、それに対してCAMでは時間的な分化が起こっているというのは、言われれば気付くものの自分の中ではまったく認識が無く大変おもしろい考え方だと感じた。

A:比較してみようと思わないと気がつかないのですが、C4とCAMの代謝経路を見ると、その類似は一目瞭然ですよね。


Q:光呼吸に関しては今回の授業ではじめて聞きました。酸素を吸収して二酸化炭素を放出するという点では通常の呼吸と同じでも起きている反応は異なるため「呼吸」なのにATPを消費してしまうというという一見無駄な反応が起きているということが不思議でした。光呼吸の生理的意義として「光阻害の回避」ということが挙げられていましたが「光阻害」というのはどのような理由で起きるどのような反応なのですか?言葉から察するに光が強すぎて光合成が阻害されるというようなことだと思うのですが聞きなれない用語なのでもう少し詳しく説明をしてください。
 それから C4植物とCAM植物についてなのですが、CAM植物は蒸散抑制と二酸化炭素の取りこみの両立ができる植物で、夜は気孔を充分に開いていられるけれど昼間は乾燥が激しく気孔があまり開けない砂漠などに多く見られるということは納得できました。C4植物は様々な科の植物で見られるということでしたが「このような環境に特に多く見られる」ということはあるのですか?気孔をあまり開かなくても少ない二酸化炭素を濃縮して利用できるということでC4植物もやはり乾燥した環境で多く見られるのですか?

A:光阻害については、今後の講義の中で触れていく予定です。C4植物はやはり高温乾燥環境でよく見られます。トウモロコシなどがよい例ですね。


Q:今回は植物における炭素の固定(光化学反応と炭酸固定)についての講義でしたが、一番印象的だったのは光呼吸の話でした。ほとんど完璧に思われた光合成の機構において、唯一理由がよくわからない機構(いちおう光阻害の回避という意味付けはなされているものの)であるからです。Rubisco が効率の悪くて、しかも光合成にとって余計な働き(つまりoxygenase)をしてしまうというのもおもしろい!光合成のために酵素が作られたのではなく、植物が酵素をうまく活用して反応を起こして生きているんだなあということ(あたりまえですか?)を再認識しました。
 葉緑体の構造のはなしのところで、葉緑体が光の強さを感知して移動するとおっしゃいましたが、どうのように移動しているのでしょうか?また、細胞が受ける光の強さによって、葉緑体の配置が異なるなら、同じ葉のpalisade mesophyllとspongy mesophyllでも配置が違うということですか?
 C4植物では、光呼吸を抑制して、二酸化炭素の濃縮を行います。C4植物は進化の過程で何度も現れてきたらしいのですが、そんなに二酸化炭素が不足するような事態が何度もあったのでしょうか?CAM植物は、乾燥による蒸散の防止と光合成の両立のための合理的な機構と理解できたのですが、C4植物がなぜそんな必要にせまられたのかよくわかりません。現在、地球上の二酸化炭素が増加しているとよく言われますが、C4植物の機構の必要性がなくなるということはないのかなあ?と思いました。

A:海綿状組織での葉緑体運動は細胞の形が不規則なので、きっと研究がしづらいのではないでしょうか。また、受ける光が少ないですから、そもそもあまり運動しないかも知れませんね。
 現在、大気中の二酸化炭素濃度は増加しているといわれていますが、太古の地球では、大気のかなりの部分が二酸化炭素だった時代もありました。その時代から比べれば二酸化炭素濃度は劇的に減っていることになります。上にも書きましたが、C4植物も、CAM植物と同じように、高温・乾燥条件で多く見られます。


Q:今回の授業で興味深かったことは大きく次の3点でした。
 一つ目は科学浸透仮説が証明されたときの方法で、確かにプロトンの濃度勾配によってATP合成を行っているならば、日光を遮断し、pHを変えてやることでATPの合成が起こるかどうかを実験してみればよい、というのは非常に明快なアイディアだと思いました。仮説の反応を導いている道筋をたどり、そのいわば通過点ともいえる幾つかの要素や反応経路を明確化し、それらを取り除いたり、組み合わせたりすることによって結果の違いを検証し、その一つ一つの通過点の意義、そして仮説全体の妥当性を吟味するというプロセスがはっきりと分かり、目から鱗が落ちる思いでした。二点目はC3植物とC4植物の機能分化が、地球の大気中のCO2の変化に伴なって進化していったということでした。受験や高校の勉強では単純にこのようなタイプの炭酸固定を行う植物があるという事実しか教わらなかった為、今回の授業ではその理由、Whyの部分が納得できました。しかしここで質問です。このような複雑な分化を見ていると、単純に反応効率の悪いRUBPに替わる酵素を合成するといったことができればよりスマートなのではと思うのですが、それは不可能なのでしょうか?時々分化のことを学んでいると、二つ以上の解決策のようなものがあった場合どのようにしてこの方向の進化を選択したのか、分からないことがあるのですが。

A:RuBPCaseを人為的にもっと効率よくするという研究は、盛んに行われています。また、酵素の特性自体も、進化の過程で徐々に変わってきています。植物が低二酸化炭素濃度に十分適応していない可能性はあるので、現在の大気条件下でより効率のよい酵素が今後生まれる可能性はあるかも知れません。


Q:今回の講義では光が強い時は光を受け過ぎないように、光が弱い時には光を出来る限り受け取れるように葉緑体の移動のしかたが変わるということに興味を引かれました。共生説に基づけば葉緑体はもともと他の生物であったはずになります。しかし、その無数の他の生物が一つの生命を活かすために協調的に働くシステムに驚くとともにこのシステムがをなにがどのように統制しているのかを知りたくならました。なにかの組織がこのシステムをコントロールしているの組織がシステムを統制しているのならそのシステムはもともと独立した生物であるわけなので一つの生物の組織が多数の生物をコントロールしているということにはならないでしょうか?僕にはこれは驚きなのですがこれは生物界では頻繁に起こっていることなのでしょうか?

A:葉緑体の機能などが植物によってうまくコントロールされているしくみは、僕にとっても驚きですが、自然が長い年月をかけて作り上げた、としか言えないでしょうね。共生は一回だけでなく、二次共生、三次共生といったものまで知られていますから、自然界では、かなり「頻繁に」おこっていることかも知れません。


Q:今回の講義で印象深かったのは植物の環境適応である。植物は動けない分、少しずつ自分の体を変えることにより環境に適応していくということだった。実際にCAM植物やC4植物はカルビンベンソン回路を、時間的に、場所的にずらすことにより、悪条件でも生存していくことを可能にしていた。
 植物の環境適応としてぱっと思いつくものはふたつある。いずれも自分の小さい頃の経験に基づくものである。元来小動物・魚類・植物など、生物全般を育てることが好きな自分は、植物の環境適応について、水草と食虫植物において経験している。
 熱帯魚を飼っていたときである。水草はなかなか生存させるのが難しく、値段も高いため、あまり買えなかった。ある日、熱帯魚の水草図鑑を見ていたところ、水中葉と地上葉というのがあって、観葉植物といわれるものは、徐々に環境を変えていった場合適応できるというのである。試してみた。家のベランダに植わっていたオリヅルランのランナーは本体から栄養をもらえるので、それを徐々に水につけていったところ、きちんと水中葉を出し、本体から切り離しても生存し、水草に変わったのである。水槽に入れた後、すぐに枯れてしまったが、興味深い実験であった。
 もうひとつは食虫植物のことである。これもまた自分でハエトリグサを飼育していた。葉っぱが進化した触手でそこにとまった小さな虫を膨圧で触手を閉じ、消化液を出して食べる大変面白い草である。この草に栄養を与えると触手が退化するという。これも試してみたところ、退化してしまったのであった。ハエトリグサも触手が無くなればただの草で、面白くも何ともなくなってしまったが、これも栄養がもらえるから、という適応なのだと思う。

A:ふーむ。どちらも面白いですね。そのような実験精神は今後きっと役立ちますよ。


Q:葉緑体と植物細胞の細胞共生説について、今回の授業でより深く知ることが出来ました。以前、(核を除く)細胞小器官のうち、ミトコンドリアと葉緑体だけが二重膜であることの説明として、細胞共生説を習ったことがありましたが、原核生物細胞が別の原核生物細胞に入りこむ過程で、二重膜を持つ細胞小器官になる仕組み(先生が黒板に描かれた図です)は何度見ても、こんな仮説をよく思いついたなあと感心します。今回、ふと疑問に思ったのですが、内膜と外膜は由来が違うけれど(別々の細胞の外膜だったということですよね)現在でも内膜と外膜の間に組成などの違いが見られるのでしょうか?またこの仮説によると葉緑体は原核生物だったのですから、葉緑体のDNAはストロマ中に浮遊しているのでしょうか?今まで葉緑体のDNAについて考えを巡らせたことがなかったです。3つ目の質問になりますが、葉緑体はそれ自身の遺伝情報だけでは増殖できず、細胞の核に含まれる遺伝情報が必須であるということでしたが、それは葉緑体の構成蛋白を合成する遺伝情報が、細胞の核の方にも含まれているという意味でしょうか?

A:葉緑体の内膜と外膜は、かなり性質が違います。このうち、どれだけが機能的な要請で決まり、どれだけが祖先形質で説明できるのかは、きちんと知りません。葉緑体のDNAはストロマ中にあります(浮遊しているという表現が的確かどうかは微妙ですが)。最後の質問への答えは、yesです。葉緑体の構成タンパク質の遺伝情報の一部は核にのっています。


Q:植物には、通常の呼吸とは異なる光呼吸という機構がある。光呼吸の大きいものほど最大光合成能は低い。タバコ、コメ、ムギ、マメ、テンサイなどC3植物は光呼吸が大きく物質生産の上で不利である。これに対して、トウモロコシやサトウキビなどのC4植物は光呼吸が非常に小さく生産性の高い作物である。C3植物の生産性を高めるためには、施設栽培であれば温室内の二酸化炭素濃度を高め、酸素濃度を相対的に低めてやれば光呼吸は抑えられ、植物生産性を高めることができる。今の農業においてこのような知識がどのように生かされているのかということも知りたくなった。

A:温室内の二酸化炭素濃度を上げる農法は現在も行われていると思います。ただ、底までする必要がある作物は、そう多くない気がしますが。


Q:植物の生命維持としての呼吸(異化)とは別に光呼吸という機能が存在することを知らなかったので、今回の授業はとても新鮮でした。光呼吸の生理的意義に光阻害の回避がありましたが、多量の光エネルギーが紫外線のように強いダメージを生物に与えるということに驚きました。C4植物は光が強い熱帯地域に多く分布しますが、光呼吸を抑制されるC4植物が多量の光エネルギーを(適度な量なのかもしれませんが)どのように回避して生き延びているのですか?C3植物と比べて、CAM植物のように若干多肉の形態をとることでダメージを緩和させているのでしょうか?

A:基本的に、植物にとって問題になるのは、光の強さの絶対値ではなく、炭酸固定で使えるエネルギーに対する光エネルギーの割合、といった相対値です。C4植物では、炭酸固定の能力が高いので、それだけで相対的により多くの光エネルギーを受けても生き延びられることになります。


Q:植物にとって光はなくてはならないものでエネルギー源や情報として利用される。植物は一見、光と水さえあればなんとか生育できそうなのだが、強すぎる光は逆に植物にとって害を及ぼすようだ。葉緑体の光に対する動きにはNPHIとNPLI2つの遺伝子がかかわっており、NPHIには光に対して集まる能力が欠如しており、NPLIには光に対して逃げる能力が欠如しているようだ。通常のアラビドクシスに強光をあてると葉緑体が光に対して垂直な細胞壁に逃げて光の影響を最小限にするため強光をあてた部分が白くなるが、NPHIとNPLIのダブルミュータントに強光をあてると、葉緑体は逃げることができず3日で枯れてしまう。光は植物にとって非常に有用なものなのに、限度を超えると害を及ぼすところが生き物らしさを感じられて、とても興味深いところです。特にこのアラビドプシスのように動きが目で確認できるものは興味深いです。

A:NPHIとNPLIは現在はフォトトロピンphoto1,photo2と呼ばれているようです。これらは、日本のグループの研究成果なので、ちゃんと宣伝したいところです。


Q:今回の講義では、C3、C4、CAM植物の話が印象的でした。ただ、C4、CAM植物のほうが二酸化炭素の濃度の低い今の地球環境下の炭酸固定効率を高めるべく進化した植物であり、C3植物よりAdvancedな形態をもつもの、というイメージを持ったのですが、それだと今C3のものが地球上の植物の90%以上という大きな割合を占めていることと矛盾するように思えます。C4植物やCAM植物は高温で乾燥した場所に、C3植物は湿潤な場所に、それぞれ「住み分け」をしているという考え方もできると思いますが、「地球上の植物が生育可能な面積のうち高温で乾燥した場所と湿潤な場所とが1:9であるゆえにC3以外とC3植物の割合が1:9」という単純な話ではなさそうな気がします。
 C4植物は「高光合成能植物」とも呼ばれていて、C4植物の光合成能をC3植物に導入しようとするような試みもなされているそうです(植物の環境と生理, pp.66)。この本の原書は1981年に出版されたものなので、20年以上がたった今、この試みが何かの結果を出しているのか知りたくなりました。

A:C4植物は、二酸化炭素を濃縮するためにそれなりのコストを払っているということだと思います。このコストが高ければ、その生存できる範囲は小さくなりますよね。
 C3植物のC4化は、現在も農業生物資源研究所の徳富(宮尾)さんなどによって研究が続けられており、進展は見られますが、最終的なゴールである、C4化した植物は、まだ得られていません。


Q:今日の授業で、植物内における炭素の固定の過程には何種類かあることをはじめて知りました。そのなかでもCAM植物はその他の植物の機構と比べ非常に特殊でおもしろいです(だから先生も講義してくれたんだと思うのですが)。よくよく考えてみれば、温度差が激しくて水も十分にない砂漠の植物と高温多湿な熱帯雨林の植物が全く同じ機構で対外から取り入れた物質を処理しているとは考えにくいことですよね。目的物質の空気中濃度も違うだろうし、環境もまるで違いますし。環境が違えばそれに適するように進化するのが生物であり、植物が形状的にも反応機構的にもバリエーションがあってあたりまえなのにそのことに全く気がつきませんでした。今回はなんだかはじめてのことだらけだったのでふむふむと聞いていました。植物の賢さに感心するばかり。誰でしょう、植物は動かないからつまんないなんて言ったの。植物って、というか生物ってすごくおもしろいです。

A:今度は、ふむふむと得た知識を持って、もう一度周りの植物を観察してみてください。知識を持ってから見ると、それまで見えなかったものが見えてくることがありますから。