植物生理学 第5回講義

炭酸固定・光呼吸・呼吸

第5回の講義では、カルビン回路などの炭酸固定の仕組みを中心にお話ししました。C3、C4、CAMなど、炭酸固定にはいくつかのバリエーションがあります。イネのC4化は生物資源研の徳富(宮尾)さんが研究なさっています。以下に寄せられたレポートの一部と、それに対するコメントを載せておきます。


Q:今回疑問に思ったのは植物の中にはC3反応とC4反応両方の回路を持つものはいないのかということです。実際、C3反応とC4反応は得意とする環境条件が異なるので日本のように四季がある場所などに生育するものや、繁殖範囲が世界レベルで広いものなどは双方がより適応しているものを持っているということがありえると思うからです。それに、このC3植物とC4植物は種ごとに分離したものではありません。事実、日本の稲がC3植物なのに対し、C4植物でイネ科に属している植物も存在しています。C3反応回路を持つとC4反応回路を発現できないということはないわけですからこのようなほうが植物としても望ましいはずだと考えられるのです。では、そうならなかった理由を考察してみますと、一番に考えられるのは葉緑体が対応するだけの変形ができなかったというものでしょう。光合成は葉緑体が一手に引き受けているわけですから、いくら二つの反応が重ならないといっても場所というものを取ると考えられます。植物細胞内に存在する葉緑体自体の個数から生産されるATPや細胞内で占める面積が決まるわけですから、単純に考えて、回路が2倍に増えたら葉緑体の体積も2倍になると考えられます。そうなると、葉緑体の個数は半数にへると考えられるわけですからATPの合成機能は半減していることになるわけです。これでは植物のほうが受け取ることになるデメリットのほうが大きいということになると考えられるわけです。

A:講義でも触れたはずなのですが、環境条件によってC3になったり、C4になったりする植物は存在します。ただし、そのような相互変換をするためには、それはそれでエネルギーが必要ですから、それとの兼ね合いになるでしょうね。一度にC3の部分とC4の部分をもつ植物というのは知りませんが、それぞれ別の環境条件に適応しているのですから、両方持つのはやはり損でしょうね。


Q:今回最も興味を持ったのは、光の強さがいろいろに変わったときの光合成量をあらわしたグラフについてです。このグラフで疑問に思った点がありました。それは光に強く依存している植物と弱い光(日陰)でも生育できるような植物についての呼吸速度の比較を行った時に、光の弱い条件下では弱い光で生育する植物の方が光合成効率が良かったことについてです。両者の関係(グラフ)は光が0に近い値になると逆転します。なぜでしょうか?まず弱い光の下では、カルビンサイクルの酵素が不活性化されるため、同じ光の強さでも光合成の速度が下がることを考えました。しかし、どうして両者のグラフの関係が逆転するのか納得がいきませんでした。光に強く依存している植物では光が豊富にある時は、それを利用して効率良くエネルギーをえるために二酸化炭素の消費がさかんだが、逆に光が少ないと呼吸の効率が下がってしまうためなのか?光依存性というと、少ない光ならなおさら最大に二酸化炭素を吸収して光合成の効率が上げようとするはずなのにと思い疑問が払拭できませんでした。

A:1つの理由は呼吸速度の大小です。講義の中で述べたように、陽生殖物は呼吸速度が大きいため、いわば全体にカーブが下に引っ張られた形になりますから、光が弱いところでは見かけの光合成活性は小さくなります。「少ない光ならなおさら最大に二酸化炭素を吸収して」という所ですが、光合成では、光で二酸化炭素を固定するわけです。ですから、光が少ない時に二酸化炭素をたくさんとっても、それは全て無駄になってしまうのです。


Q:ルビスコが葉緑体のほとんどのタンパク成分を占め、地球上で最も多いタンパクだと知って驚いた。ルビスコが反応性に乏しい酵素であるが、反応性に富むようにクローニング出来ないかなどと考えた。糖鎖のカルバミル基をゴルジなどで選択的に付加できないだろうかなどといろいろ考えた。
 C4植物はエネルギーを用いてCO2を濃縮してから維菅束鞘細胞へ送り出すC4経路を用いているということだった。サイクリックな電子伝達は行っても水の分解・還元力の生成が起こらないのではエネルギーの効率が悪いのではないかと思う。呼吸をしている植物がCO2を濃縮する必要があるのであろうか。光呼吸に見られる複雑なカスケードは進化していった形であるように思われた。ナミビアにおけるC4サブタイプの分類から、C4のカスケードは水による調節を受けると考えられる。二酸化炭素と水がさまざまな植物の反応系を調節させたり進化させたりしているのだなと思った。

A:C4植物でサイクリックな電子伝達だけを行っているのは、維管束鞘細胞だけです。葉肉細胞では、ちゃんと2つの光化学系を使って還元力を作っています。C4植物のうちNADP-ME型のものでは、その還元力を使ってオキザロ酢酸をリンゴ酸にしてから維管束鞘細胞に送り込むため、維管束鞘細胞では自分で還元力を作らなくとも、リンゴ酸をオキザロ酢酸に戻せば還元力が手にはいるわけです。


Q:ルビスコは、現在の地球のように太古の昔にくらべ大気中の二酸化炭素濃度が低い状態では「効率の悪い」酵素であるという。なぜこの酵素は地球環境の変化とともに形態を変化させてこなかった、つまり進化をさせてこなかったのかと疑問に思う。分子量544000という巨大複合体であるということから、機能を維持しながら形態を変化させるのが容易ではなかったのだろうか。それとも効率が悪かろうが、生きていく上でそれほど障害とならなければ進化の必要はないということなのだろうか。
 陽生植物の光合成能力と陰性植物の呼吸量の少なさの両方を兼ね備えた植物を作るという研究内容があったが、理論的にそれは不可能であるということがわかっている。しかし、植物の能力を高める研究よりもいかにして地球上に緑を復活させるかという研究に力を入れてほしいと思う。人の手が加えられすぎることが自然のバランスの崩壊につながることは十分に考えられるのだから、なるべくなら植物そのものには人の手を加えないでおくべきではないかと思うのである。

A:ルビスコの進化については正解を決めるのは難しいでしょうけれども、一つの解釈は、環境変動のスピードが進化のスピードよりも速かった、ということでしょうね。今の低い二酸化炭素濃度が100万年ほど続けば、もっと効率のよいルビスコができるのかも知れません。


Q:植物は、光の届かない薄暗いところでも雨の少ないところでも、強い光の当たるところでも確かに生きています。そんな植物の持つ生命力には感心させられます。どうして、厳しい環境の中で植物は生きていくことができるのだろうか?今回の講義で、植物はその環境に応じて様々な機能を発揮しているのだとわかりました。CAM回路というすばらしいシステムを植物はどのようにして獲得したのでしょうか?熱帯に生育する植物の知恵だと思いました。
 そんな、すばらしい機能をもつ一方で植物の気孔は進化せず原始的だなぁと感じます。ヒトの体内には選択的に物質を通過させるチャネルがあります。なぜ、植物は必要に応じて二酸化炭素や水を取り込んだり出したりできないのだろうかと思います。もし、このように選択的に物質移動をすることができたら効率が良いのではないかと思います。陽生植物は、陰生植物よりも強い光のもとで能率良く光合成ができる一方で、呼吸量も大きいことから、せっかく作り出したエネルギー源を消費しています。これは、なぜなのでしょうか?一説に、光阻害を抑える役割があると言われていますが。やはり高温で生きるためには、ヒトが高温下で基礎代謝が上がるように、エネルギーが必要ということなのでしょうか?
 もとをたどれば、葉緑体はバクテリアとして存在し呼吸などしていなかったのですから、呼吸が生きるために必要だとは思えません。呼吸をせず、光合成によって糖のみつくる植物は可能な気がしました。

A:確かに、二酸化炭素に選択的な透過膜があれば、植物の光合成はだいぶ楽になりますね。ただ、生体膜を横切って水分子を透過させる水チャンネルが二酸化炭素も通すという話などもあり、水と二酸化炭素を区別するのは案外大変なのかも知れません。
 陽生殖物は、生育が早いので、エネルギー需要も多く、結果として呼吸速度が上がっているようです。
 葉緑体の祖先であるシアノバクテリアはちゃんと呼吸をしていますよ。光合成細菌は別ですが。その場合も、酸素呼吸はしませんが、別のタイプの呼吸はすることになります。光合成だけ、というのは、夜があることも考えると難しいのではないでしょうか。


Q:ルビスコという蛋白質について今回触れていたが、この蛋白が酵素としての効率が悪いと言うのが驚きであった。効率が悪いと言うのは具体的に言うと反応速度が遅いことを指しているらしい。進化の過程で効率の悪いものは基本的に排除されていき効率のよいものに置き換わっていく。前回の授業で研究室内で培養される葉緑体は野生種と比べて短期の強光にたいして有利な反応をしめしていた。これはどうやら一年かその程度の時間のスケールでおこった進化であった。そのことを踏まえると、効率の悪いルビスコが今このように残っていることが不思議でならない。先生は二酸化炭素が多かった時代の名残ではないかおっしゃっていたが時間が経ちすぎている気がする。
 いまルビスコが残っているのには必然性があるように思えてならない。また前回の実験の紹介で野生種の光合成は強光に対して酵素の活性を押さえているような挙動を示していてこれは葉緑体がオーバーワークして壊れないようにするためだろうとおっしゃっていた。たぶんこのオーバーワークまたはオーバーユーズを押さえるためにこのルビスコが残っているのではないだろうか。光合成の光の吸収限界がこのルビスコという酵素の効率の悪さと調度あっていたからルビスコが残っているのではないだろうか。反応速度は遅くとも体の損害や物質循環の調節がうまくいきそうだと考えるとこのルビスコは都合のいい酵素ではなかったのだろうか。

A:前の講義で話したシアノバクテリア(つまり微生物)の場合の進化速度と、植物の進化の速度は直接比べることは出来ないでしょうね。もっとも、確かに可能性としては、スーパールビスコを作ってみたら、ある条件では植物が死んでしまった、というような可能性もあるとは思います。


Q:陽性植物と陰性植物のメリットを持ち合わせた植物をつくろうとする研究で、生育の早い陽性植物はエネルギー需要があるため呼吸量が多くなるという結果であった。これは、陽性植物がなぜ呼吸量が多いかという理由を説明する結果となったが、だったら逆に呼吸量が多くて生育の遅い植物は作れないのかと考えた。(利益はないが)
陰性植物は生育が遅いので、エネルギー需要が少ない。そのせいで電子伝達が阻害されて呼吸量が少ないならば、余ったエネルギーを他の形で使えないものかと考えた。陰性植物は呼吸基質と呼吸速度に相関があまり見られないという結果が出ているので、陰性植物はエネルギーが余っているから呼吸量が少ないと考えられる。余ったエネルギーを呼吸以外、例えば体内の他の代謝系に使うなど。しかし、余分なエネルギーを他の代謝回転に使って生育が早くなったとしたら最初の目的に矛盾することになる。結局、生育の速さと呼吸量とは拮抗関係にあって、どちらかしかとれないのであろう。

A:実は、余計なエネルギーを熱にする植物の話を最後にする予定だったのですが、時間がなくなってしまいました(配ったプリントには載っていますよね)。次回の講義の冒頭にお話しする予定です。


Q:今回の講義でルビスコについて興味を持った。ルビスコは光合成における暗反応で二酸化炭素をカルビン回路に取り込むところで働く重要な酵素である。ルビスコには2つのタイプが知られている。全ての酸素発生型の光合成生物(広義の植物、ランソウ類,プロテオバクテリア)はForm Iと呼ばれるタイプをもつ。もう一つは,一部の嫌気性プロテオバクテリアが持つForm IIタイプのルビスコである。一般的にForm IIルビスコはForm I に比較してオキシゲナーゼ活性が高い。このことは二酸化炭素の固定の効率を悪くすることにつながる。調べると渦鞭毛藻がこのFormIIルビスコを用いている事がわかった。もし嫌気性のバクテリアのみがFormIIを使用しているなら納得いくのだが、なぜ渦鞭毛藻がこの効率の悪いルビスコを取っているのだろうか?なぜFormIIルビスコよりオキシゲナーゼ活性が低いFormIを使用していないのだろうか?

A:このように、「なぜ」と考えてみるのは非常に重要だと思います。ただ、この場合は、残念ながら僕にも「これだ」という答えは思いつきません。


Q:今回の講義で興味を持った点は、陰生植物は陽生植物に比べて呼吸速度が遅いということである。これは陰生植物は生育が遅いので呼吸速度が遅く、陽生植物は生育が早いので呼吸速度は速いという理由によるものであった。今まで陰生植物は陽生植物に比べて呼吸速度が遅いという事実は知っていたが、なぜ呼吸速度が違うのかということは考えなかった。陽生植物は陰生植物とは違い、太陽光をより多く受けるために、陰生植物よりも早く生育しなければならない。もし、生育速度が遅かったならば、陽生植物は太陽光を受けられず、その植物は生き残れずに淘汰されていく。陽生植物にとって生育速度は生死を分ける重要な問題なのである。それに比べ、陰生植物は陽生植物の下で弱光を受けながらゆっくり生育すればよいので、呼吸速度を早くして急速に生育する必要はない。そのため、呼吸速度を遅く保てるのである。

A:陰生植物にしても、もし生育速度を上げることが出来るのなら、その方が得だと思います。たぶん、光のエネルギーが限られる条件では、エネルギーが足りなくて生育速度を上げることが不可能なのだと思います。ですから、「呼吸速度を遅く保てる」というよりは、「呼吸速度も遅くなってしまう」という感じなのではないでしょうか。


Q:ルビスコの作用および光合成制御の機構について考察する。光合成に於いて二酸化炭素を固定する役割を持つ酵素であるルビスコは、同時にオキシゲナーゼ活性を持ち、光呼吸に働く。光呼吸の用途は、二酸化炭素不足に陥ったときの活性酸素による光阻害の回避だというが、ここ知ったのは植物における活性酸素消去系は光強度に依存しているのではなく、二酸化酸素量に依存しているということである。しかしルビスコは非常に効率の悪い酵素であるという。おそらく地球の歴史上の二酸化炭素減少速度に、進化の速度がついていかなかったためであるという。しかしこれは、ルビスコのカルボキシラーゼ活性とオキシゲナーゼ活性の基質結合部位が同じであるため、たとえ進化して炭酸固定能が上がったとしても、光呼吸の割合も高めてしまうことになるため、植物にとって無意味であるため進化しなかったのではないだろうか。しかし人工的な進化となれば話は別である。実際ルビスコの効率を高める研究は様々なものが行われており、また他の植物の2倍もの炭酸固定能のあるルビスコが海藻の海苔の一種から見つかっている。ルビスこの炭酸固定能を高めた植物を開発することは、地球温暖化の解決に対する糸口になる可能性を持っているのではないだろうか。

A:基質結合部位が同じであることの意味をきちんと考察していて立派です。ルビスコのカルボキシラーゼとオキシゲナーゼの活性の比率は、生物種によって異なり、そのあたりの研究は盛んにされています。


Q:今回の講義は少し難しくて頭の中で整理しきれなかった部分があったと思う。そのなかでCAM植物についてはかなり興味深かった。光合成に絶対に必要な二酸化炭素を取り込むために気孔をどうしても開かなければならないが、そのときの無駄な水の蒸散をできる限り防ぐ仕組みがCAMなのだろう。高温で乾燥した砂漠の植物とかにはことさら重要なのではないだろうか。気温が下がる夜だけ気孔を開いて二酸化炭素を取り込んで、昼間はためておいた二酸化炭素を使って光合成をするなんてなかなか見事な機構だと思った。私が不思議に思ったのは、CAM植物は気孔の開閉を光(昼であるか夜であるか)と温度のどちらを認識にして行っているのかということである。水の蒸散に直接かかわるのは温度だから、温度を感知したほうが無駄がないと思う。でも、果たして植物に温度を感知する仕組みがあるのか。植物の葉は光のエネルギーを使って光合成を行うのだから光の強度を感知することはできる。それどころか光強度に応答して調節を行う(前の講義で教わった)。光の強さと気温はほぼ正の相関があるはずだから光強度を認識すれば気孔の開閉の基準には十分なのかもしれない。暗室の中で室温だけ変化させてその植物の二酸化炭素吸収量を調べればわかると思う。または室温一定で光強度だけを変化させてもいいと思う。そんな実験をしてみたい。

A:なるほど。確かに、気孔の開閉を温度をモニターしながら行なうことが出来れば効率がよいかも知れません。もっとも、今問題になるのは、水の蒸散ですから、温度そのものより、相対湿度をモニターした方がよいかも知れませんね。気孔の開閉は、湿度の影響をも受けた気がします。CAM植物で、その辺をきちんと調べてみるのは面白いでしょう。


Q:SPS活性によって糖はデンプンとして葉緑体内に蓄積するか、ショ糖として転流するかが決まるというように、植物は糖の合成をうまく調節していることが分かった。葉緑体から細胞質へはトリオースリン酸の形で輸送されるということであったが、では、なぜ、葉緑体内でデンプンとして合成される必要があるのであろうか。最終的には細胞質へ輸送されるのであれば、わざわざ葉緑体内で高分子のデンプンを合成するよりも、細胞質内で低分子のショ糖を合成する方が効率がよいと思う。必要な量の糖を葉緑体内で蓄えるためにデンプンが葉緑体内で合成されているのであれば、細胞質内でショ糖として蓄えておくことはできないのだろうか。
 C3植物とC4植物、CAM植物についてはこの講義でさらに詳しいメカニズムを知ることができた。C4植物やCAM植物は強い光で乾燥している条件下で有利に生育できるということなので、熱帯地方や砂漠などでも生育できると思う。イネのC4化のように、本来なら乾燥した条件下で生育できないような植物を生育させる研究はとても興味が持てる。このような研究が進めば、砂漠などの乾燥地帯でも多くの植物が生育できるようになるかもしれない。これによって砂漠化の進行を抑えることができるかもしれないと思う。また、今まで生育できなかった地帯で植物が生育できるようになると、食糧問題も解決できるかもしれない。イネの他にも、C4化の研究がされている植物はあるのですか。また、C3植物をCAM化するといったことは実現可能ですか。

A:おそらくデンプンとショ糖の違いの一つは、浸透圧に対する影響だと思います。デンプンはデンプン粒として葉緑体内に存在しても溶液の浸透圧に影響を与えませんが、ショ糖の場合は、水に溶けた状態で存在するので、濃度が上がると浸透圧も上がってしまいます。そうすると、外部から水を吸って細胞がふくれて困る場合もあるでしょう。ですから、デンプンとしてためることにも意味があるのです。
 C3植物をCAM植物にするのは、気孔の開閉の調節などもしなくてはならないので、なかなか難しいでしょうね。


Q:今回はC3植物からC4植物への進化について調べました。単子葉植物のカヤツリグサ科には、C3植物とC4植物が混在しているそうです。その科の中のエレオカリスという水陸両生の植物は、陸生状態ではC4型の光合成をし、水性状態ではC3型の光合成をするそうです。また、キク科のフラベリア属ではC3型やC4型だけでなく、さまざまな中間体があり、C4光合成酵素遺伝子の比較構造解析が行われています。その結果から、C4型に特異的な遺伝子は、C3植物にすでに存在していた遺伝子の中のあるものが改変されて進化してきたことを示す結果が得られたそうです。進化的にも植物は水生から陸生になってきたはずだし、遺伝子的にもC3型の特異的な遺伝子がC4型から進化したと示す結果が出てきていることから、植物はC3型から陸上にあがり、強い光のもとでも光合成できるC4型に進化したと考えられているわけです。

A:実は、エレオカリスの水性型と陸生型の写真を講義で見せようとして探したのですが、見つからずに時間切れになってしまいました。外見の違いと、細胞構造の違いを、並べて示すとなかなか印象的だと思ったんですけれども。