生命応答戦略科学 第4回講義

光呼吸、C4植物、CAM植物

第4回の講義では、炭酸固定系を中心に、C4回路、CAM植物、光呼吸などについて解説しました。


Q:ルビスコ(リブロース-2-リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ)は葉緑体の可溶性タンパク質の半分を占めるほど大量に存在するタンパク質で、炭酸固定反応を触媒する酵素である。このルビスコの活性化の仕組みについて講義では簡単に触れていたので、知らなかったカルバミル化という反応に注目して調べてみた。
 ルビスコは大サブユニットと小サブユニットからなり、大サブユニットの201番目リシン残基のε-アミノ基が活性化剤である二酸化炭素によって可逆的なカルバミレーションを受け、その後Mg2+が結合して活性型になる。活性型のルビスコは、夜間や弱光下で生成されたCAIP(2-カルボキシ-アラビニトール1-リン酸)が結合すると不活性型となる。またカルバミレーションを受けていないルビスコはRuBPと結合して不活性型となる。このように阻害剤が結合した不活性型のルビスコからの阻害剤の遊離には、ルビスコアクチベースがATPを消費して作用する。CAIPはカルビンベンソン回路の中間体から合成されると考えられている。CAIPを分解するホスファターゼは明暗の活性調節を受けるため、明所ではルビスコから遊離したCAIPが分解されてルビスコは活性型として存在し、暗所では不活性かされると考えられている。このように、ルビスコは明暗による活性調節を受けることが知られている。
 カルバミレーション(カルバミル化)はカルバモイル基(-C(=O)-NH2)を結合させることであり、他には尿素回路により尿素を生成するときにもカルバミレーションが関与している。

A:せっかくここまで調べたのですから、そこへ自分なりの独自の考察を付け加えたら、満点のレポートになると思います。


Q:ルビスコはオキシゲナーゼ活性およびカルボキシラーゼ活性の両方を持つ。しかし、オキシゲナーゼ活性は、せっかく固定した炭素の減少させるから無駄であると考えられる(少なくとも農業的には・・・)。様々な光合成植物のルビスコの遺伝子は大気中の酸素の存在下でのカルボキシル化がより効率的なように自然の進化により選択されてきたと考えられるが、それにもかかわらず、カルボキシル化の活性が非常に悪い。したがって、大気中の酸素に対する感受性の低下、カルボキシル化速度の増加を向上させるような遺伝子操作によって農業生産が向上すると考えられる。しかし、なぜルビスコが全く似ていない酸素分子と二酸化炭素分子を区別できないのかわからない。

A:当初は、ルビスコのカルボキシレーションとオキシゲネーションの触媒部位が別である可能性が考えられていて、それならばオキシゲネーションの触媒部位をつぶせば、効率のよいルビスコができる、と思われていたのですが、結局触媒部位は共通であることがわかり、そのような単純な手法ではうまくいかないことがわかりました。たしかに、酸素と二酸化炭素の化学的性質はだいぶ違いますけれどねえ。