植物生理学II 第4回講義

オルガネラの成立

第4回の講義では、主に植物の葉緑体がシアノバクテリアの細胞内共生によって成立した進化の過程について解説しました。


Q:今回の講義の中で、生物がシアノバクテリアと共生する際に第一段階では大量の遺伝子が核へと取り込まれたが、その後は段階ごとに少しずつ移動しているという話を聞き、何故一度だけ遺伝子が大量に移動し、その後は段階的に移動したのか疑問に思った。考えられる事としては第一段階の移動は生物の食作用に近いものであり、より多くの遺伝子が分解されたが、この食作用に対してシアノバクテリアが抵抗力を持ち、その後は不完全にではあるが遺伝子の流出を防いでいたという考えである。しかし、現在のシアノバクテリアと比較してゲノムサイズが少なくなった葉緑体でも分裂している為、遺伝子を抜かれても一応生存していた事は考えられるが、取り込まれている中、酵素などに絶え間なく襲われている中で、遺伝子を抜かれて細胞膜などが破損している状態でそのような対抗策を身につける事が出来るのか疑問に思われる。この事から、私はシアノバクテリアは第一段階では複数取り込まれ、分解された際に遺伝子が核に取り込まれて行き、その内に取り込んだシアノバクテリアを自身の器官と見なすようになり、その後は分解を行わなかったので、少しずつ遺伝子が伝播していったのではないかと考えられる。

A:共生の成立に伴う最初の劇的な変化がどのようにして起こったのかを推測するのは難しいですが、複数のシアノバクテリアが取り込まれたのではないか、というアイデアは面白いですね。あと、遺伝子の核への移行が起こっても、少なくとも現在の葉緑体の場合は、移行した遺伝子の産物であるタンパク質が、葉緑体へと逆に運ばれることの意味も考える必要があるでしょう。