植物生理学II 第2回講義

マングローブの根の光合成

第13回の講義では夏休みの共同研究として行ったマングローブの根の光合成に関する研究を、その進め方に重点を置いて紹介しました。今回の講義に寄せられたレポートとそれに対するコメントを以下に示します。


Q:ヤエヤマヒルギの根による光合成の調査で、最干潮時には光合成活性が見られず、水際の木では多少光合成活性が見られたことで、根の表面の藻類を光合成を測定しているという推測をたてた点で疑問を感じた。根に藻類が付着していたとすると、藻類と根は共生環境にあるのか、という疑問である。ヤエヤマヒルギと同じようにマングローブを構成する木であるタコノキでは根が光合成していることが分かっているため、ヤエヤマヒルギもタコノキと同じように根に酸素を供給する必要があるのではないかと考えた。タコノキの場合は、生息環境の土壌中の酸素不足を補うために根呼吸をしている。ヤエヤマヒルギはマングローブ林の海側に生息する場合が多く、土壌環境も干潮時と満潮時で異なり酸素不足に陥るが、時間によって根が水中下にあったり大気中にあったりとタコノキのように常に根が地上に出ている状態にはなれなく、その状態に耐えうる光合成システムを持っていないため、藻類と共生して酸素を得ているのではないかと考察する。

A:内容は悪くないと思います。少し論旨がわかりづらいので、文章をちょっと工夫するとよいでしょう。例えば、「疑問を感じた」は、ここでは「考えるべき問題設定を思いついた」という意味に使っているのだと思いますが、普通の日本語では「いぶかしく思う」という意味にも使います。そのあとも、「という疑問である」となっているのですが、それだけだと「藻類と根は共生環境にあるのか」という点が、このレポートで取り上げる問題設定であるとはすぐには読み取れません。最後に「藻類と共生して酸素を得ているのではないかと考察する」という部分まで来て、やはり最初の部分が問題設定であったということは理解できますが、その途中の部分では、読み手はどこに向かっているのかわからずに読んでいくことになりますから、できれば最初に明確に問題を設定したほうがよいでしょう。。


Q:今回の講義の中心であったマングローブについては環境保全に用いられるというイメージが強く、なぜマングローブが適しているか、その理由について考えてみたいと思う。マングローブは他の植物と比べてCO2の吸収量が多い(https://www.net-fbs.com/dyn/member/gc/lohas/0804/index.html)。これは(1)成長速度が速いため、(2)汽水域に生息するので有機物が泥炭層となって堆積されやすく、CO2が放出されにくいためである。先生の実験で用いられたマングローブの種類はヒルギ科に属しており、これは胎生種子を作るという特徴がある。これは主に(1)に影響を与えるものであると考えられる。この他にも二酸化炭素吸収量が大きいものとして麻やケナフも挙げられるが、特に後者は外来種であるという点が問題視されるためにこのようにマングローブのように自然に普通に生育できるものとしてこんなに格好なものはないと言うことができる。ただ、マングローブの消失なども叫ばれることも多いので、私たちは海を汚さないように敷いては海への排出物を少なくするようにしていくべきだと思う。

A:これもやや論理がわかりづらいですね。考察した「理由」というのは、結局どこで述べられているのでしょうか。(1)(2)が理由そのものだとすると、前半部でレポートが終わってしまうことになります。一方で、「外来種ではない」という部分が理由だとすると、単にその点を指摘しただけで、あまり論理は感じられません。そのあたりを明確にすると良いでしょう。


Q:今回の授業において、疑問に思ったことが二つあった。一つ目は、マングローブに生息する木の根は外側は茶色いが内側は緑色だということ。光合成をするためには光を多く受け取れる外側に葉緑体があるほうが良いのではないだろうか。二つ目は、マングローブに生息する木の幹よりも根の方に葉緑体が多い点である。なぜこのような差があり、どのような利点があるのだろうか。
 まず、一つ目の疑問について考える。マングローブにおいて根は地上に出ているため、光が当たることになる。そのため根に葉緑体があることは納得できる。また、マングローブは沖縄などの赤道に近く直射日光の厳しい地域の環境である。そのため、内側にあったとしても光合成に十分な量の日光を受け取ることが出来ており、むしろあまり強光にさらすと紫外線により葉緑体が傷ついてしまう危険がある。さらに、葉緑体にはそのほかにも窒素代謝やアミノ酸合成などの機能があるため外部から直接無機物を吸収する根に葉緑体があることにより効率よくそれらの働きを行うことができる。以上が、根の内側に葉緑体が存在する理由とその利点である。
 次に、二つ目の疑問について考える。根は水中、もしくは水面からすぐ近い位置に存在している。水中でも十分な量の日光が根まで届く。また、水面から出ている状態でも水面の照り返しにより根は多くの日光を浴びる。それに対して幹は生い茂る枝葉により日光がさえぎられてしまいあまり日光が当たらない。そのため、葉緑体を幹よりも根に多く集めることにより効率的に光合成を行うことが出来ている。以上が、葉緑体が幹よりも根に多い理由である。

A:きちんと考えられていて良いと思います。ただ、二つ目の点は、樹形にもよるかもしれませんね。実験で用いたヤエヤマヒルギは、比較的若木でしたが、若木と大木では、光のあたり方はだいぶ異なるように思います。


Q:植物学者の夏休みの自由研究、マングローブの呼吸根の光合成の研究についてのお話しに関連して、マングローブを形成するヒルギ科植物の種子の形態は果たして本当に泥に突き刺さるという散布法に適応的なのかという点について議論する。ヒルギ科の種子は母樹から落ちるとその細長い形状を生かして泥に突き刺さり、その場で生育するという説明がしばしばされる。しかし、私は昨年西表島でマングローブ林を歩く機会があったが地面に突き刺さっている種子は見かけなかった代わりに、水面に横たわりプカプカ浮いているオヒルギの種子は多く見かけた。試しに海水が浅く張った泥地に、やり投げの要領で種子を投げつけてはみたものの、水の抵抗に負けて先端がすぐに横を向いてしまい、泥に突き刺さることはなかった(水が引いた地面はもっと硬かった)。以来、ヒルギ科の種子はいかにも泥に突き刺さりそうな形態をしているが、本当に泥に刺さるのに適応的かということに対し懐疑的であったので①生態学的観点②力学的観点の二つの理由からこの「泥に突き刺さる説」に対して反論したい。①については、母樹の真下に子孫が根付いた場合、実生は母樹の陰になって光合成の効率が低くなるし、土中の養分などを巡って競合する可能性から繁殖戦略としてはそれほど有利になるとは思えないのである。また②については、マングローブ林の土壌は泥質とは言ってもその上を人が歩けるくらいにはしっかりしている。これほどの硬度の土壌に高々数十グラムの種子が1−2メートルの樹高から自由落下したところで突き刺さる可能性はかなり低い。以上ふたつの理由と私の西表でのささやかな実験から、ヒルギ科植物の胎生種子(の胚軸)が細長いのには泥に突き立てるためという物理的な理由ではなく、光合成やガス交換の効率の上昇などといった生理的な理由によるものであると考えられる。

A:すばらしい!科学者にとって必要な「人の話を鵜呑みにしない」という点と、生物学者にとって必要な「生き物をよく観察する」という点と、僕がレポートに求めている「論理性」をすべて兼ね備えていると思います。


Q:今回はマングローブプロジェクトの話であった。野生のマングローブの根における光合成の割合を調べることが目的であったが、根に生育した植物の影響が大きく、その光合成を測定していた可能性が高いとのことであった。実際の実験では破壊的方法や根を洗って測定するといった方法を取られていたが、これ以外の方法で、非破壊的に測定することが重要だと考える。そのためには、マングローブを自ら栽培することが一つの方法であるように思う。

A:これだけだとやや物足りないですね。一つのことを「考える」だけでは論理とはいえません。


Q:今回の授業では先生が沖縄で行った実験についての講義の中で、まだまだ考えられる疑問点を探してみました。実験はマングローブも光合成をしているかについてでしたが、呼吸に観点をおいて考える。マングローブにもその場所の環境形態によって様々な体勢で生活しているが、授業でもあったように根が特徴的である。基本植物は根が土の中に存在しているが、マングローブは地上に出ているものもある。しかも環境によっては水中に根があることも少なくはない。そうした環境の中で根は、どのような呼吸を行っているのか疑問を抱きました。同じ根とは言っても、環境への適応性によって、根でも部位によって呼吸量、もしくは呼吸の行い方も違うのではないかと考えられる。以前実験で根の呼吸速度を測りましたが、葉に比べると少ない結果でした。しかし、その時はあくまでも土の中にあった根の結果であるため、空気中に出ている根はそれよりも大きい呼吸量をだすのではないかと考えられる。酸素の電子伝達の実験でも、液中と大気中では酸素の分解速度が違うことも分かったので、その点からも液中にある根と大気中にある根で呼吸速度が変わってくると考えらえる。この結果から、どうマングローブが大きく繁殖しているのかが推測できると思う。授業でもあったように、沖縄は光強度が強いなどの点からも原因を探れるのではないかと思います。

A:いろいろ考えていて良いとは思うのですが、一つの疑問に一つの明確な答えを与えるようにはなっていませんね。論点はできれば一つに絞って議論を展開したほうがより科学的なレポートになると思います。


Q:今回の講義は、園池先生の自由研究についてであった。4日間という短い期間であったため、呼吸根の光合成活性について確実な結果はえられなかった。この実験を今後再開するのであれば、さらなる測定条件の設定を行わなければならないと考えた。今回わかったことは、
・日中の光合成活性はパラソルを用いても認められなかった。
・水際の木では少しの光合成活性がみられたが、同じ部分に海水を測定してもあまり変化しなかった。
→日中光合成活性はないが、午後はある? 土壌の水ポテンシャルが光合成活性に影響する? 呼吸根の表面に付着した藻類の光合成が測定値に影響を及ぼしている?
 これらのことから、以下の条件で測定すればよいと考えた。
・日中と夕方に呼吸根の光合成活性を測定する。
・土壌の水ポテンシャルの高い部分に生息する個体と低い部分に生息する個体の光合成活性を測定する。
・呼吸根にエタノールか何かをかけ表面に付着している藻類のみを殺したのちに光合成活性を測定する。

A:これもきちんと考えているのですが、理由なしに3つの答えを列挙しているので、全体としての論理が感じられません。できれば、このような事実があるので、あるいは、論理的にこうなるはずなので、といった理由付けから結論を導くようにすると、論理的なレポートになります。


Q:今回の講義では酸欠土壌に生育するマングローブについて学習した。マングローブの根は土から出ているという特殊な形状をしており、呼吸根と呼ばれる。完全に土から出ているものと根の途中だけが出ているものの2種類あり、これらの違いをもたらす要因について考えてみた。支柱根と呼ばれる根は地面に対して垂直に伸びており、植物体が浮いているように見える。これはかつてそこには水が張ってあり、年月とともに干上がったが根はそのままの形で残っていたため、植物体を持ち上げるような根の形状になっていると考える。くねくねとうねる根の形をしている屈根は、根の途中のみが地上に出ている。根には呼吸の作用と体を支える作用があり、うねうねと伸び続ける形が両者の役割を果たすのに都合がよく、これが可能なのは土壌がやわらかいからであると考える。
参考文献:http://wol.jw.org/ja/wol/d/r7/lp-j/102008209

A:これも、一つ目のポイントについては「考える」とあるだけで、なぜそうなのかの論理がありません。そのあたりをきちんと説明できるようになると良いでしょう。


Q:今回授業ではマングローブの呼吸根における光合成について、午後になると上がったということが挙がっていた。そこで、なぜこのような光合成活性を持つようになったのかという理由を考えてみることにする。このようなマングローブが生息している環境は土壌が酸欠状態である。そのため、マングローブ自身が光合成で作る酸素も自身の代謝にとっては必要なものであると考えられる。まだあまり気温の上がっていない午前中は呼吸が盛んにおこなわれず光合成による酸素の消費量はあまり増加しない、しかし気温が上昇してくる午後の場合、代謝が活発化してくるために酸素の消費量は増加する。その結果このような酸素の要求量変化の時間軸に対応するように、光が当たってから光合成活性がゆっくりと上がってくるような種がよく生育するようになり、今のようなマングローブの呼吸根の光合成活性が得られたのではないだろうか。

A:これは論理的に考えられていると思います。しかし、要求量の上昇が遅いから光合成の上昇も遅い、という論理は、要求量がないときに光合成をするのが損である場合に成り立ちます。しかし、光合成をすれば、一般的には有機物を合成できますから、得になりように思います。そのあたりの説明が必要でしょうね。


Q:今回講義で紹介された研究では、ガス交換からではなくクロロフィルの蛍光測定からマングローブの根の光合成速度のみを測定していた。そしてその際に、表面の藻類の光合成の可能性を排除するために表皮を剥がしたという事が印象に残った。この事に関して、表皮を剥がした場合では根の細胞の葉緑体は表皮を通過しない光を光合成に用いる事になる。つまり、表皮を通過する事による光の減衰を無視するという事になる。これは僅かな差かもしれないが、表皮を剥がす事による光合成への影響はどのように測定すればよいか。考えられる方法として、まず根に当てる光と同じ強度の光を剥がした表皮に当て、それを通過した光の強度を表皮の裏側から測定する。そしてそれと同じ強度の光を表皮を剥がした根に当てればよい。また表皮を剥がす前に表皮の上からクロロフィル蛍光を測定し、その後剥がした表皮から藻類の光合成を測定して最初の結果から導き出した光合成速度から引くという方法も考えられる。

A:これは良い点に気がつきましたね。また、考えた解決策も、単純ながら有効だと思います。


Q:マングローブは海水の干満の影響を受ける地域に生息している。生息してる土壌は土壌塩分が高く、通気性も悪いため、マングローブは呼吸根を持つことによって対応している。ではこの地域では水の塩分濃度が高いため、水ポテンシャルが下がり植物が水を吸収することが難しくなるがどのように対応しているか調べてみた。1つは過剰に摂取した塩分を葉から排出する機構を持つということ。2つ目は塩分を集約させた老化葉を脱落させることによって塩分を排出する機構が挙げられる。前者は継続的に行われる機構であるが後者は1回行うのに時間がかかるが多量の塩分を排出できる。おそらく1つ目の機構を持てばストレスに悩まされることはないが、より効率化させるために2つ目の機構も進化の途中で持ち合わせたものだと考えられる。

A:まず、調べた場合は、必ず出典を明記してください。次に、この講義のレポートは、調べた事実は評価しませんので、評価の対象となるの葉、最後の2文です。その意味では、ここをもっと膨らませて欲しいところです。


Q:今回の授業で触れたマングローブの呼吸根の光合成について、この研究で測定された光合成活性は藻類の光合成によるものだったのではないかと思う。パラソル実験を行った日の最干潮が12:40であったことから、午後の測定時にはすこしずつ呼吸根は水に濡れ、根に貼りついた藻類も乾燥状態から復活して光合成を再開すると考えられる。昼に測定した光合成活性と午後測定した光合成活性の検出度合の違いは、藻類の光合成の有無であると考えた。しかし、呼吸根の光合成活性が決して0だったわけではなく、光合成はするがそれは環境に適応していくために補助的な役割を果たしているということではないだろうか。マングローブは通常の植物と同じく葉での光合成を行うが、NaCl濃度が高くなると光合成速度は低下する。高塩濃度の中でも生存していくことができるよう、根にも光合成機能を発達させ、植物全体の酸素供給能を低下させないような作りになっているのではないだろうか。

A:考え方は非常に良いと思います。ただ、前半と後半ではやや問題設定が異なるので、そのあたりを統一できるともっと良くなります。


Q:今回の講義ではマングローブの研究についてであったが、私はマングローブを構成する樹林が呼吸根という特殊な根を持ち、光合成も行っていることに興味を持った。講義の中では、光の強い昼の時間に根の光合成活性がなく、海水をかけて測定すると活性があるという実験結果があったが、これを聞いて私は根が光合成を一定以内に抑えているのではないかと感じた。光合成を抑える理由は、根より効率よく光合成ができる葉での光合成を優先するため、という点が挙げられる。光合成には水や二酸化炭素など必要なものがあるので、個体全体で光合成を行うよりも効率よく光合成を行える器官に物質を集めたほうがいい。ただこの仮説は、根よりも葉の方が光合成器官として発達していることを前提としている。これを確かめるためには、時間や機材などがあれば根と葉それぞれの葉緑体を単離してその性質を比較する、という方法が最も良いのではないだろうか。

A:これは面白い論理だと思います。植物の一部を研究対象にすると、その部分での利益にばかり目が行きがちですが、全体にとっての損得を考えることは常に重要です。


Q:今回の講義では、マングローブの呼吸根について扱い、今まで知らなかった植物の新たな一面を垣間見ることができた。呼吸根は、通常の根に比べて細胞間隙が発達しており、その表面でガス交換を行うことができるようである。では呼吸根を持つことによる植物のメリットは何だろうか。以下で考察する。呼吸根はマングローブに代表されるような湿地帯で生育する植物に多い特徴であるようだ。湿地帯に生息している植物たちは不安定な足場に生育していることに加え、干潮時には波の影響も受けるため、必然的に根をたくさん張り、自らの身体を支えなくてはならない。つまりマングローブの根は呼吸根であるかどうかに関わらず、他の陸上植物に比べて、身体を支えるという役割の担う部分が非常に大きいと推測される。そのように考えると、マングローブはまず根が発達し、その後、呼吸根という性質を獲得したと言えそうである。他の植物よりも根が発達したマングローブは、必然的に根の細胞による酸素消費が多くなるだろう。しかしながら、水中は酸素が少ないため、主に呼吸ができるのは海水から出ている部分だけである。つまり海水から出ている領域で主に呼吸を行い、体全体で必要とするATPを合成していることになる。マングローブは大海に浮かぶ氷山のように、海水内や地面にたくさんの根を生やしているため、海水から出ている領域のみの呼吸では、植物全体で必要とされるATPの合成が追いつかなくなるという仮定をすると、マングローブは新たに酸素を取り入れる器官を作る必要にせまられるはずである。それが呼吸根なのではないだろうか。マングローブは熱帯・亜熱帯の地域に生育しているため、高緯度地域と比べて光量も多い上に、気温が高いため代謝系の反応も早いはずである。そのためマングローブにおいては光合成を律速する1つの要因として、植物体全体で呼吸を行える領域の小さいことが障壁になった可能性がある。呼吸根はマングローブの生存戦略のひとつなのかもしれないと感じた。

A:よく考えていますし、文から文への論理展開も良いのですが、全体としての流れはもう少し改善の余地があるかもしれません。それは、最初の問題設定「呼吸根を持つことによる植物のメリットは何だろうか」が、いわば議論のきっかけになっているだけで、文章全体の問題設定になっていないせいで賞。そうであれば、書いた後に改めて文章全体の問題設定を考えて、最初の部分を手直しすると、おそらくずっと論理的なレポートになります。


Q:励起光の強弱によって光合成の収率が変わらないのであれば光阻害は要因として考えにくいと思った。根に光合成装置がある植物は根で塩分の調節ができる。特にオヒルギは海水に近いところで水に浸かることが多いため、干潮時により多くの酸素を取り入れようと広範囲にわたって根を張る。

A:3つの文が書かれていますが、その間の関係が不明です。文章は、単に文を書き連ねればよいのではなく、一定の論理に従って書くことが必要です。


Q:沖縄でのマングローブの研究を、最初から最後まで通して学びましたが、研究者としての研究生活の一部を垣間見ることができました。そして、その過程での論理的思考および地道な試行錯誤の数々に驚きました。新しい実験を始める際は、最初は漠然とした前提で始まるものであり、日々の研究を積み重ねることにより、徐々に具体的な議論へと持ち込んでいくのだと実感しました。結果的に期待したような結論は得られなかったということですが、こういった「研究の入り口」を、他の手法を用いたり、他の仮説を立てたりすることで、誰かが再実験し、深めていくことはできると思う。大事なのは、誰も思いつかなかったような新しい研究テーマを自分で見つけ出し、仮説を立てる能力であると思う。そして、その仮説を証明していくためのアプローチを論理的に考えることが次に必要になってくるのだと思った。このような発想力と論理的思考力を、卒業研究を通して身につけていきたい。

A:論理的なレポートとしてはどうかな、と思わなくもありませんが、所信表明としては立派なので、よしとしましょう。