植物生理学I 第3回講義

植物の葉の構造

第3回の講義では、葉の境界層抵抗が二酸化炭素の拡散に及ぼす影響の話と、気孔と蒸散の関係の話を中心に講義を進めました。以下に、いくつかのレポートをピックアップしてそれに対してコメントしておきます。

Q:葉には水孔と呼ばれる水分を葉から逃がすための器官があることについても授業内で説明があったが、調べると、この水孔の器官は気孔とは異なり開閉することがない様であった。ここで水孔に開閉機能を付けないことには、植物にどのようなメリットとデメリットがあるのかについて考察し、さらに開閉機能が存在していないのはどういう理由があるのかについて考察することとした。まずメリットとして水孔が開閉することがないことで、気孔では蒸散させることの出来ない量の水分を昼夜問わず、放出し続けることができることが挙げられた、た、しかし、デメリットとしては植物内の水分を常時蒸散され続けてしまうため植物内の水分がくなくなりやすくなってしまうことが考えられた。次にメリットデメリットを踏まえて、開閉機能を付けない理由を考えると、水孔の目的は気孔が閉じられている夜の間にも水を放出し続けることを目的としている器官であると考えられ、またデメリットを無視できるほどの地中の水分量や降水量が存在している環境で特に役割を発揮する器官であるのだと考察された。ここで、以上を踏まえるならば気孔の開閉機能をなくし、気孔も夜間に水分を放出することができれば良いのではないかとも考えられたが、そもそも気孔と水孔では水分放出のされ方が異なるようであり、気孔は蒸散によるものであるため空気中に含まれる水分量が多いと、うまく水分を排出できないという欠点があるようであったが、水孔はそれに対して空気中の水分量が多くとも問題なく水分を放出することができるという特徴を持つようであった。これらのことから、一つの独立した器官として水孔を作るメリットが大きくあるため、わざわざ開閉機能をなくすような進化をする必要がなかったのではないかと考えた。

A:水孔と気孔の違いに注目したのは、悪い視点ではないと思います。ただ、水分の移動が論理展開の中心になっていているのが、講義の内容を考えると、やや残念です。そもそも、気孔の重要な存在意義は、光合成のための二酸化炭素の取込です。その場合、水孔から二酸化炭素が取り込めないのだとしたら、そもそもメリット・デメリットを比較する出発点が全く異なっていることになりますよね。


Q:今回の授業では、孔辺細胞は葉緑体を持っており気孔の開閉メカニズムにより二酸化炭素を得るために開いたり、水を得るために閉じたりと環境や気候に応じて変化することができることを学んだ。このように孔辺細胞は万能であるが、植物は全ての細胞を孔辺細胞にはせずに一部の細胞が孔辺細胞になっている形を取っている。なぜ全ての細胞を孔辺細胞にしなかったのかを考えてみる。考えられる要因は3つある。1つ目は、蒸散によって水を失ってしまうことである。植物は貴重な水を気孔が開いていると失ってしまうため、水が不足している場合は気孔を閉じるようになっている。しかし、気孔が閉じている状態でも隙間は存在するため少しは水を失ってしまうと考えられる。そのため、孔辺細胞が多ければ閉じている場合蒸散で失う水の量も増えてしまうと考えられる。2つ目は、強度が弱くなってしまうことである。孔辺細胞が多いことは穴の空いている部分が多いことであり、少しの傷がつくことで全体の細胞に影響を与え葉が壊れてしまうことが考えられる。3つ目は、エネルギーの消費である。孔辺細胞が開く際にはエネルギーを消費している。孔辺細胞が増えるとこの消費するエネルギーが増えてしまう。これら3つの要因から、強度を保ちつつ、最低限必要な水と二酸化炭素の調整を行える数の孔辺細胞を持つようになったと考えられる。結果的に現在のようにクチクラで覆いつつ孔辺細胞を持っている構造を取ったと言える。

A:これは、今までのレポートにはあまりなかった視点で、ユニークでよいと思います。また、複数のポイントをきちん議論している点も評価できます。3つのポイントからは、すべて気孔が少ない方がよいことになるので、「強度を保ちつつ、最低限必要な水と二酸化炭素の調整を行える数」がどのように決まるのかが気になりましたが、そこまではこの長さのレポートで議論できる範囲を超えているでしょう。


Q:今回の授業では、葉の内部構造と二酸化炭素の取り込み過程について学んだ。その中で葉の大きさが大きければ大きいほど、空気の動かない層も大きくなるため、風の強い環境下でないと機構による二酸化炭素の取り込みが阻害されることを学んだ。(少しスライドの先取りになってしまうが)その上で、大きい葉を持ちながら風によってちぎれないために、葉に切れ込みを持つ葉が存在することを学んだ。我々の身近にある植物の中で、切れ込みを持つ葉として代表されるのはイチョウである。イチョウの葉の形について調べてみると、イチョウの葉には切れ込みを多く持つ形とほとんど持たない形があり、5月頃に展開した葉は切れ込みがなく、同じ枝の葉でも6月以降に展開した葉には切れ込みを生じる割合が増える1)という事を知った。「形は機能に従う」という原則のもと、切れ込みが葉の巨大化に即して増大する風に対する抵抗を小さくするためであるとするなら、6月以降のイチョウの葉はそれ以前の(切れ込みのない)葉に比べて大きい可能性があると考えた。また、葉が大きくなる理由については、夏から秋、冬へと季節が移り替わるにつれ日光の照射量が減るため、光合成量を補うためであるという可能性が考えられる。
1).できた時期で形が変わる?イチョウの葉の不思議 - ウェザーニュース(weathernews.jp)、https://weathernews.jp/s/topics/201811/020145/、10/25アクセス

A:これは、論理展開としては単純ですが、きちんと考えていてよいと思います。最後の所、葉は小さくても、枚数を多くできるのであれば、光合成量は小さいとは限らないのではないかと思いました。


Q:植物は、二酸化炭素も水も通さないクチクラを持つ。しかし、二酸化炭素を透過させるが、水は透過させない構造を獲得することはできなかった。この理由を考察する。植物は、光合成のために二酸化炭素を要する。そして、植物にとって、水が過剰な環境は過酷であるという話も講義中にあった。したがって、二酸化炭素を選択的に透過させて、水を阻む構造が、理想的なモデルとなる。それにも関わらず、その理想的なモデルを持たないのはなぜか。水はクチクラによって阻んでいるので、ここでは、二酸化炭素が選択的に透過されない理由を考える。二酸化炭素は、光合成に用いるため、植物にとって必須の物質である。二酸化炭素が植物にとって直接的な害にならないという話は先週もあった。そこで、私は二酸化炭素が間接的に植物に害をもたらす可能性を考慮した。植物は、光合成によって二酸化炭素から酸素を生じる。この酸素が、植物に害をもたらしているのではないか。もちろん、酸素は呼吸に必要であるが、酸素には物質を酸化させる作用もある。植物の葉の内部には、代謝に必要な細胞が存在する。したがって、葉の内部に酸素が過剰に存在すると、生命維持に重要な代謝に用いる細胞が酸化して損傷を受ける可能性がある。つまり、光合成のために取り込んだ二酸化炭素が間接的に植物に害を及ぼす可能性がある。二酸化炭素は空気中に0.04%しか存在しないため、わずかな二酸化炭素から光合成によって生じた酸素は無視し得るという批判があるかもしれない。しかしながら、酸素は21%と、二酸化炭素に比べ大気中に高濃度に存在する。したがって、濃度勾配で葉の内部に流入するのも容易で、葉の内部には光合成以前に十分な酸素が存在すると考えられる。したがって、二酸化炭素を過剰に透過させて光合成を行うと、葉の内部の酸素濃度が過剰になり、細胞を傷つける可能性がある。以上の理由から、葉は二酸化炭素を選択的に透過させる構造を持たないのだと考えた。

A:これは、酸素濃度の変化という観点から二酸化炭素の取込を考えるという方向性が面白いと思いました。ただし、結論の導き方はあまり論理的ではないように思います。最初の二酸化炭素濃度が21%であって、0.04%ある二酸化炭素がすべて光合成で消費された際に発生する酸素は0.04%分です。とすると、21%が21.04%になるだけですから、その変化幅は、わずか0.2ポイントです。これは、変化を検出することすら難しいような小さな変化です。


Q:今回の講義では、葉の表面はクチクラで覆われていることを学んだ。クチクラ層の主な役割としては、表面から水が失われることを防いで乾燥への耐性を高めることや、有害な物質や微生物などの侵入を予防することが挙げられる。私は、この特性を知り、除草剤や病気を予防する薬はどのようなメカニズムで効果が得られているのか疑問に思った。除草剤などの薬に含まれる成分はクチクラ層によって弾かれてしまい、葉の内部に侵入しないのではないか。これについて、薬の性質の違いによる、表面からの侵入と気孔からの取り込みを考察する。まず、葉表面のクチクラは炭化水素でありワックスで主に構成されており、疎水性である。そのため、親水性の薬は成分の違いによってクチクラを通過することが不可能であるが、界面活性剤などを薬に添加したことで疎水性の性質を獲得した除草剤などは、葉の表面から内部に浸透することができると考えられる。そのため、疎水性の除草剤等は表面から直接侵入することで効果を発揮するといえる。対して、気孔は内部を貫通する穴であるため、薬は穴を介しそのまま内部に侵入する。これは薬の成分が疎水性であっても親水性であっても変わらない。しかし、気孔は主に葉の裏側に存在するため、薬を散布するだけでは期待以上の効果が得られないといえる。したがって、疎水性の薬は気孔を介するよりも葉の表面から浸透した方がより効率的だと考えられる。しかし、親水性の薬はクチクラを通過することができないため、穴である気孔を介するほかに主な手段がないといえる。このように、薬が疎水性か親水性かによって、クチクラを介する侵入機構に違いが生まれると考えた。

A:これも、除草剤の浸透性という、他の人が今まで取り上げていない考え方を提示していて、非常に良いと思います。除草剤には、光合成の阻害剤が多いのですが、疎水性の物質が比較的多いようです。ただ、親水性の除草剤もちゃんと存在します。実際に気孔が通路になっているかどうか、僕自身はよく知りません。


Q:今回の授業では、青色光を察知すると気孔が開くことを学んだ。そこで、私は、なぜ植物が気孔を開く際に青色光を利用しているのかを考えた。まず、気孔を開く目的はCO2を取り入れ光合成を行うためである。光合成を行うには光エネルギーが必要であるため、光を感知して気孔を開く仕組みは合理的である。なぜ光の中でも青色光を利用するのかについては、気孔が開くためのエネルギーの閾値が高いからではないかと考えた。光のエネルギーは波長と反比例の関係にある。また、青色光は可視光の中でも波長が短いため、エネルギーが大きい。気孔が開くための閾値が高いことで、より適した状態下でのみ光合成を行えるように進化の途中で変化していったのではないかと考えられる。その証拠として、種子植物より原始的な植物かつ日陰で生育するシダ植物では、赤色光を感知して気孔が開くことが分かっている。
参考文献 ”気孔開口を仲介する光受容体の進化”.基礎生物学研究所。2006.07.27、 https://www.nibb.ac.jp/press/2006/07/post-189.html 2023.10.28閲覧

A:面白そうなポイントなのですが、「閾値」というのが具体的に何を指すのかがよくわかりませんでした。あと、後半の議論は、「原始的な」植物では、「より適した状態下でのみ光合成を行えるように」なっていない、という考え方のようですが、どのような植物も、実際には同じ進化的な時間を経験しています。


Q:今回の授業で、気孔の必要性でCO2は通すが水は通さない膜があれば気孔が必要ないのではと仰っていたが、このような膜がもし進化の過程で獲得が可能であったとしても気孔は残り続けたと考える。前回の講義で根から水を吸い上げるには、葉の蒸散で葉内の水分量が減少することが駆動となっていた。もし、水を通さない膜で覆ってしまうと、蒸散が起こらず、根から水が吸い上げられなくなってしまう。確かに体内の水分量が減少しなければ根から水を吸わなくてよくなるかもしれないが、実際は水と共に土壌から栄養分も吸っていたり、水の入れ替えの流れを作ることで、もし体内に細菌が侵入したとしても細菌の繁殖を抑えられやすかったりすると考えられる。以上のことから、CO2は通すが水は通さない膜を獲得したとしても蒸散を行った方が利益が大きいと考えられるため、気孔は残り続けると考える。

A:講義で行ったことを鵜呑みにせずに自分で考えていてよいと思います。ただ、細菌の繁殖をおさえるのはなかなか難しいように思いましたが。


Q:今回の授業では、葉の気孔は夜には閉じていることを学んだ。ではなぜ夜に気孔が閉じていても植物は呼吸可能なのだろうか。資料1より、葉の表面のクチクラ層はロウや脂肪酸が主体となってできていることから「H2Oの蒸散は防ぐがO2は相当程度通す」ため表皮細胞からO2を取り込むことが可能であることが分かった。つまり、夜に気孔を閉じて呼吸するのはできるだけ葉からの蒸散を防ぐためであると考えられる。しかし、私は夜に気孔が開いているような例外的な植物はないのだろうかと考えた。資料1によるとベンケイソウや多肉植物などの「CAM植物」は夜に気孔が開いていることが分かった。乾燥地帯にすむCAM植物にとって夜より乾燥している昼に気孔を開くことはH2Oの損失につながるため、夜に気孔を開いてCO2を取り込み、リンゴ酸としてため込んで昼にATP合成を行っているのだ。ここで私はこのメカニズムについて疑問に思った。授業内で習った気孔開閉のメカニズムでは青光受容体であるフォトトロピンが気孔開口に関わっており、乾燥ストレスに応答するアブシシン酸が気孔閉口に関わっていた(資料2)。CAM植物が昼に気孔閉口するのは乾燥から身を守るためであるため、気孔閉口のメカニズムについては授業内でならったものと同様だと考えられる。しかしながら、CAM植物が気孔開口する夜に青色光はないと考えられるためCAM植物の気孔開口のメカニズムにフォトトロピンは関わっていないと考えられる。ここで私はCAM植物の気孔開口に関わっていると考えられる要因について以下の3つの仮説を立てた。
1.温度が低くなったことを感知している、2. 暗くなったことを感知している、3. 湿度が上がったことを感知している(仮説を立てるにあたって、砂漠において昼夜で変化があるものを考えた。)
 仮説1,2は授業内で扱った植物の光合成メカニズム(昼に気孔開口)とは真逆をいくものであり、仮説3と比較すると現実味を帯びていないと考えた。一方で仮説3は葉からの蒸散を防ぐ意味で植物にとって汎用的に当てはめることができる。また乾燥していない地域では昼に晴れの日は朝方(日の出ごろ)、昼に雨が降る日は昼間に湿度が高くなると考えられることから授業内で扱った植物の気孔開閉のタイミングとも矛盾しておらず、進化の観点から考えても現実味を帯びた仮説ではないかと考えた。改めて調べると乾燥地帯に生息しない沈水植物にもCAM植物のものがあることが分かった(資料3)資料3では水陸両生のシダ植物であるミズラ属のIsoetes howelliiが気相状態ではC3  光合成を行うが、沈水状態ではCAM様のCO2固定を行なう原因について調べていた。植物が生えている湖の溶存CO2濃度を調べると、大きな日変化を示すことが分かったという。朝方高かったCO2濃度は他植物による光合成のため急激に低下し、午後には枯渇 して日没とともにほかの生物の呼吸のためCO2濃度は上昇するということである。このような植物においてはCO2濃度が高い夜に気孔を開いてCO2の吸収を行うことでほかの植物と競争することなくCO2を吸収しているのだと考えられる。そのため、気孔開口のメカニズムにCO2濃度上昇の感知が関わっていると考えた。また、乾燥地帯においてもC3植物がCO2の取り込みを行う昼と比べ夜の方がCO2濃度は高いと考えられるため、気孔開口のメカニズムにCO2濃度の上昇を感知する受容体が関わっている仮説も現実的であると考えた。以上のことから、CAM植物の気孔閉口メカニズムには乾燥ストレスに応答するアブシシン酸が、気孔開口メカニズムには湿度上昇を感知する受容体あるいはCO2の濃度上昇を感知する受容体が関わっているのではないかと考えた。
<参考文献>1.桜井英博,”夜は気孔は開いている?“2017-07-18、https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=3820 (2023-10-26参照)
2.Takahashi F, Suzuki T, Osakabe Y, Betsuyaku S, Kondo Y, Dohmae N, Fukuda H, Yamaguchi-Shinozaki K, Shinozaki K. A small peptide modulates stomatal control via abscisic acid in long-distance signalling. Nature. 2018 Apr;556(7700):235-238. doi: 10.1038/s41586-018-0009-2. Epub 2018 Apr 4. PMID: 29618812.
3.上野修,“環境への適応からみた植物光合成代謝系の多様性と進化”,化学と生物,1999年37巻7号,p. 464-470

A:これは、非常によく考えていますし、さまざまな視点から見ている点も評価できます。ただ、もう少し論理展開を整理することはできそうですね。論理をせめて2つに絞って、それをそれぞれ明示する形にすると、見通しがよい文章になります。現状では、頭から読んでいくと、いろいろなところに引っ張りまわされる感じがします。


Q:本授業では、葉の大きさには、蒸散や風の強さなどが大きく関係性があり、とても重要な意味があることを知った。授業を通して、他の植物にも葉の大きさや特徴があるのか気になったため、僕はバナナと同じ環境で育つヤシの木について調べた。ヤシの木は、バナナと同じく亜熱帯・熱帯地域で育つ植物で、主な葉に関する特徴は、「枝分かれをしない」「大きい葉をつける」であることが分かった(1)。この2つの特徴はバナナと同じであるものの、ヤシの木は同じ1枚の葉でも、さらに幅4cmの小葉と呼ばれる葉が200枚あるといったバナナと大きく異なっている。その為、本課題では、この小葉がどのような役割を果たしているのかを踏まえたうえで、バナナとヤシの木の生育環境に違いがあるのかについて考えていく。ヤシの木に小葉がたくさんある理由として考えられるのは主に2つである。1つ目は、枝分かれがないことだ。枝分かれがないことで、枝分かれのある植物が得られる光エネルギー分を損しているように見える。しかし、高いところに葉をたくさん形成する葉が小葉でと、枝垂れによって、葉が傘のような構造になる。つまり、枝分かれをしなくても光エネルギーを確保する十分な表面積を確保することができるため、このような構造になったと思われる。よって、上記より、枝分かれを行わず、効率的に葉を広げる必要がないことから、ヤシの木は、開けた場所(周囲の植物等に光を遮られない場所)で育つことが考えられる。2つ目は蒸散しやすくするためだ。本授業のPDFにも記載されていたが、葉の幅が小さいほど上村速度は上昇する。つまり、蒸散を促進させることで、二酸化炭素を多く取り込み光合成を促進させることができるため、光合成が活発であると考えられる。また、同PDFより、蒸散速度が上昇する条件として、葉の幅の他にも風速が強くなることで、蒸散速度が上昇することが分かる。つまり、バナナ同様ヤシの木も風が強い環境で育っていることが言える。しかし、ヤシの木の小葉はバナナの葉よりもかなり小さい。この違いは、冒頭で触れた葉の大きさと風の強さが関係しているためであり、風が強い場合、葉が小さくしないとちぎれてしまうことが要因だと思われる。つまり、葉が大きいバナナは、葉がちぎれないほどの風の強さであるのに対し、ヤシの木は、1枚の葉が小さい上蒸散しやすい構造になっていることから、バナナの葉がちぎれるほどの強い風の環境下で育っていると考えられる。以上より、同じ亜熱帯気候でもヤシの木はバナナよりも風が強く、日がよく当たる開けた場所が適切な生育環境であると結論づける。
参考文献:(1)植物の枝分かれの賢さ 植物の不思議な当たり前 第五回 2013 4 29、植物の不思議な当たり前 (TAKENAKA's Web Page) (takenaka-akio.org)、(2)ココナッツ辞典 葉 cocowellココウェル辞典(葉)株式会社ココウェル (cocowell.co.jp)

A:これもよく考えていてよいと思います。この場合、バナナとヤシの背の高さは同じぐらいである、という前提なのでしょうか。高さが異なると、話がだいぶ違ってくると思いますから、同じことが前提なのであれば、それを明示して話を進めた方がよいように思いました。