植物生理学I 第6回講義

植物の茎

第6回の講義では、植物の茎について、その存在意義と機能、そしてその機能が形態を規定している様子を解説しました。講義に寄せられたレポートとそれに対するコメントを以下に示します。


Q:ウニコナゾールで成長因子を阻害して茎が短くなったものが葉一枚当たりの光合成量が上がるという話を聞いた。そこで茎の成長と葉の枚数は正の相関関係があり、葉の枚数と葉緑体量は負の相関関係があるといえる。全体の葉の枚数を減らすことで一枚の葉の葉緑体の限界量がわかるのではないかと考えられる。なぜ葉緑体の量を最初から最大にしていないかというのはダメになった際に植物にとってダメージが大きいからと考えられ、植物は貴重な葉緑体を分散しているといえる。

A:「葉の枚数と(一枚の葉当たりの)葉緑体量は負の相関関係がある」わけですが、この関係がもし反比例だとすれば、植物がもつ葉緑体の総量は一定であることになります。このことは、葉緑体の総量は投入できる資源によって決まっていることを示すのでしょう。葉緑体が貴重なのは、作るために資源が必要なためですから、これは当然の結論とも言えますね。


Q:茎についてよく考えたことは無かったが、茎の断面は丸いものという概念があった。しかし、講義でトレニアは四角、カヤツリグサは三角の断面をしていた。丸い断面と比較して、「曲げ」に対して強くするために四角や三角といった角を持つ断面をしているのだが、四角と三角の違いは何であるか考察してみる。まず、トレニアと違い、カヤツリグサは根元に葉が付いていて、茎の先端に穂をつける構造をしている。つまり先端に重い穂をつけるには茎と垂直方向に強い構造をしている可能性が強いと推測される。ここで、スカイツリーの足元はカメラの脚立のように三角形になっていることや、トランス構造の橋を思いついた。nippon.comの特集によると「タワーは足元のスタンス幅がどっしり長いほど構造的に安定し、有利だ。つまり、東京タワーのように下部が広がって底面の一辺が長いほど安定する。(中略)正三角形にすれば、一辺の長さが約68mもとれる。しかも、三点で立つ構造は、カメラの三脚や古代中国の儀礼に用いられた鼎(かなえ)のように、狭い場所で安定して立つのに優れている。」とあり、三角形は細長いタワー構造に最適な、小さい面積で横方向の力に強く安定している形だと考えられる。これによりカヤツリグサは重い穂に耐えうる茎を実現していると推測できる。一方、双子葉類であるトレニアは形成層があるため、同じ面積の円を許容しようとすると、三角形の断面を持つ茎では四角形より余分に太くなる必要があり、不利である。ゆえにトレニアは双子葉類であるために、ある程度の安定性を捨てて四角形の茎を持つのではないだろうか。
【参考文献】Nippon.com 東京スカイツリー、伝統美と最新技術の融合、http://www.nippon.com/ja/views/b01101/

A:形の考察の部分については、それほど独創的とは言えませんが、双子葉植物と単子葉植物の比較という観点を取り入れているところが評価できます。


Q:今回の授業では、茎の形について教わった。折れ曲がりにくい断面の形は丸型であるために丸い茎を持つ植物が最も多く、内部を中空にしたり、物質を周りに配置して角を作ることで「曲げ」に対してより強くしているとのことだった。しかし、曲げに対する強度を考えると本当に丸や四角が一番効率の良い形なのだろうか。
 建築の構造材などに用いられる形綱について調べてみると、丸や四角ではなく断面がH形の「H形綱」が最もよく使用されているらしく、その理由は、「ほかの形綱に比べて、断面効率(重量当たりの曲げ剛性や曲げ強度)が優れているため」[文献1]であるという。植物にとって、なるべく構造物を作ることによる物質の消費は抑えるべきであり、“断面効率”は非常に重要なファクターだといえる。よって、私は植物の茎も丸や四角ではなくH型にすれば物質消費を抑えつつ最大限に曲げ抗力を維持できるのではないかと考えた。しかし、茎の形をH型にすることによる弊害もある。一つは、植物は光合成効率を上げるために、無駄なく光エネルギーを葉で受ける必要があり、そのためには360°どの方向にも(規則的に)葉・葉柄を配置しなければならない。しかし、茎がH型のようないびつな形をしていたら、これを実現するのは物理的に容易ではないだろう。また、通導の働きを維管束が担っているが、維管束ごとH型にするとしたら形成層による茎の肥大成長には不都合であり、一方で維管束を円形のままH型の茎に取り込むとしたらきれいなH型にならず、メリットである高い断面効率を維持できないことが考えられる。このような理由から、植物にとっては現在存在している、丸型をベースにした茎が機能的に最も適しているのだろう。
≪参考文献≫[1] JFE条鋼株式会社 ホームページ 製品情報 形綱、http://www.jfe-bs.co.jp/product/k-steel.php 閲覧:2017/5/26 18:20

A:よく考えていてよいと思います。もう一つ、考えるべきは、力のかかる方向です。一般的な建築の構造物の場合、その一部の担う鋼材にかかる力は、ある程度特定の方向に限定されます。植物の茎の場合、ミクロなH構造を組み合わせれば力のかかる方向を特定することができるかもしれませんが、茎全体がH構造になる場合には、どの方向に風が吹くかは特定できませんからね。


Q:今回の授業では「茎」がテーマであった。高校の生物の授業で、アサガオのつるの巻く方向はDNAと同じ向きであり、律儀に逆向きに巻いて育てると、大きく育つという話を聞いたことがあり、ずっと不思議に思っていたので、考察してみたいと思う。様々なことを調べた結果、次のような事実があった。まず、アサガオにはつるにならない、背丈の低いキダチという突然変異体が存在する。このキダチは茎の伸長以外は正常で、ジベレリン含量が野生種より少なく、ジベレリンを与えると正常に成長することが知られている。(1) また、アサガオのつるを逆向きに巻いた後、放置しておくと、その先はまた元々の向きで巻かれていく(2)。これらのことから考えると、つるを一定の方向に巻くためにはジベレリンの生成と、生成だけでは真っ直ぐに伸びると考えられるので、遺伝的に決められる、ジベレリンの配置の制御がなされていると考えられる。そうすると、つるが逆向きに巻かれた時点で、本来の向きに戻そうと、その時点のジベレリン量よりも多い量のジベレリンが生成され、これが継続されることによって結果的に大きく育つのではないかと考えられる。上記の仮説を調べるためには、逆向きに巻き続けるアサガオと何もせず育てるアサガオを一定の間隔でジベレリン量を調べ、ジベレリン量が最初の期間は差がなく、途中はやや差が現れ、その差が大きくなるようだったら、仮説を支持できる(通常のアサガオをA1,A2…、逆向きに巻き続けるアサガオをB1,B2…とし、例えば1週間経った時点でA1とB1のジベレリン量を、2週間経った時点でA2とB2のジベレリン量を調べる、ということである)。
・参考文献1.アサガオの生理学ホームページ「アサガオの茎伸長」 (http://www.sc.niigata-u.ac.jp/biologyindex/wada/physiol3-1.html) 2017/05/28閲覧、2.山田卓三 著(1995/4) 「いのちを感じるあそび事典」農山漁村文化協会

A:若干論理に飛躍があるようにも思いますが、この講義では大胆な考え方は大歓迎です。向きを戻すのにジベレリンが必要である必然性はないと思いますが、必要だとすれば面白い考え方ですよね。良いと思います。


Q:本授業では色々な茎についてであったが、茎について調べていく中でバナナの木について興味を持った。バナナの木は木に見えるが「実は多年草で茎に見える部分は葉鞘が幾重にも重なる構造を呈しており」(イ)、長ネギと同じ構造で出来上がっている。そして肝心の茎は「地下にあって短く横に這う」(イ)とある。そこでバナナの木がなぜこのような形態をとるのかについて考察していく。我々が食用とするバナナの木の分布は「バナナベルト地帯と呼ばれる北緯30°~南緯30°に位置している。」(ロ)すなわち赤道付近、またフィリピン、マレーシアなどの高温多湿で熱帯雨林が繁茂するようなところである。茎を仮茎にした理由として他の熱帯雨林が繁茂する中でなるべく多くの日光を吸収し光合成するためではないだろうか。現に多年草であるものの体長は数mあることから日光を巡る競争にさらされていたことが伺える。あるいはモンスーン、スコールなど不安定な気候の中でしっかりした幹をつくることにエネルギーを費やすことは万が一倒れてしまったときの被害が多く、種の繁栄の観点から激しい環境の変化に適応するためだと考えられる。また根についてであるが、地下にあることであまり環境の影響を受けずにすむことが考えられる。モンスーンによる暴風雨の際、地下にあることで風の影響を受けずにすみ、維管束が無傷で守られるはずだ。また熱帯雨林の地面は赤道付近ではあるものの直射日光が熱帯雨林に阻まれ意外にも涼しいはずである。つまり地上部における茎の温度上昇を抑え、蒸散を抑制するためではないだろうか。また茎が短いのは長い葉鞘が水、養分の働きを担うため退化したものと考えられる。
参考文献:イ)バナナ WIKIPEDIA https://ja.m.wikipedia.org/wiki/バナナ、ロ)バナナ大学 バナナの植物学 http://www.banana.co.jp/basic/knowledge/about.html

A:いろいろな点について考えていてよいともうのですが、それぞれの点については、一段階の考えになっているのが残念です。このように長く書く必要はありませんから、焦点を絞って、一つの点について論理の流れが感じられるように書いてもらえるとさらに良いでしょう。


Q:今日の授業を通して茎が短い場合、葉っぱが低密度の方が、光が通りやすく、乾重量当たりの光合成生産が高いが、茎が長くなると、高密度であっても、葉と葉の間の間隔が大きくなることで、葉っぱが十分な光が受けられ、乾重量当たりの光合成生産が著しく上昇し、やがて低密度と同様になることが分かった。ここで、二つの疑問が浮かんできた。(1)なぜ茎はあるぐらいの長さになる前に低密度の葉は高密度の葉より光合成生産が高いのか?(2)なぜ茎の長さが十分に長くなっても高密度の光合成生産が低密度の光合成生産を超えるのではなく、ほぼ同じぐらいになったのか?
 植物の各部位に役割を割り振ってみたら、おそらく、体を支える基盤となるのは茎であり、根と葉はそれぞれ、無機栄養物を取り込んだり、無機物から有機物を作ったりして、茎の成長や大きさの維持のために働いていると考えられる。授業中では、ウニコナゾールで葉の数を少なくさせたヤナグワの単一葉っぱにある葉緑体が増加したことを学んだ。ゆえに、同じ長さの茎が必要とする有機物の量が同じであるため、葉の少ない分、葉緑体を増やす機構があるのは(1)の原因だと考えられる。(2)の答えについて、二つの考えがあって、一つ目は茎の成長に必要な栄養物は無限ではなく、貯蔵できる限界が一定である。そのため、光合成生産があるぐらいになるとコストを減らす機構が働き、光合成生産が頭打ちとなり、低密度と同じレベルになるわけであると考えられる。二つ目は高密度の方が葉緑体を減らしたのではなく、ただ茎が長くなったおかげで、十分な光が受けられるようになって、増大した光合成生産は単一葉っぱの葉緑体を増やした低密度の方が増大した光合成生産が同じ量であるからだと考えられる。

A:これは、僕の説明が悪かったのかもしれません。葉の密度というのは、別に一個体の密度ではなく、他の個体がどれだけ近くに存在するか、という密度なので、個体としては同じ葉の量をもっていても、個体の隣接度合いが変わると、密度が変わるのです。そうすると、推論の方向性もだいぶ変わりますよね。


Q:本授業では、植物の形状が生育環境や生育時期に合わせて選ばれたものであることを学んだ。様々な植物の例のうち、広葉樹林で育つカタクリが生育時期を選び6月には休眠に入ってしまうという話に特に興味を持った。“竹の秋”は春の季語として有名であるが、何故春に落葉するのか、カタクリと同様に時間を選んだ生態をもつ植物なのではないかと疑問に思った。竹は地下茎でつながっているため、下草は生えても竹以上の背丈がある植物は群落内に侵入しづらいはずだ。そのため、フクジュソウやカタクリのように他の植物の生育時期から影響を受ける要因は考えにくい。落ち葉が堆積することで新しい竹を養育する時期に養分の吸収が促進される可能性も考えたが、リグニンや珪酸が豊富な竹の葉は、分解に時間を要するだろうからその可能性は低いだろう。タケノコが生える時期に着目すると、竹が落葉する直前である。タケノコが成長し新芽を付けるときに、落葉することで群落内部の照度が高くなり光合成が効率的にできるようになるのではないか。もしそうだとしたら、他の植物との共存に合わせたカタクリのような生態と似ているが、自身が日光を妨げて幼芽の育成を阻害しないように一つの植物間で獲得された特徴であることが面白いと思った。

A:これは面白い考え方ですね。僕も正解は知りません。タケノコの急速な成長を支えるために、古い葉から栄養素を回収する、といった可能性を考えてみたのですが、どうでしょうね。


Q:講義で植物の形態を決める要因のシミュレーションについて扱った際考慮する要素が3つなのは少なすぎるのでは?と思った。確かに講義中で扱った3つはいずれも植物の生存において重要なファクターであることは間違いない。しかし植物に限らず生物というものは他種もしくは同種の他個体と関わり合いながら生きているものでありそこを無視することはできない。先述のシミュレーションには虫媒花の繁殖効率を除きそこが欠けているのである。例えばダーウィンの進化論ではより高い箇所の葉を食べれるようキリンの首は長くなったと言われているがその分植物の方も食べられないようにより高い箇所につけるようになっているはずなのである。もちろん日本の野生にキリンはいないし場所によって捕食を含む外圧は変化するので元のシミュレーションに地域ごとの他の生物を要素に追加すればより実際に近いシミュレーションができるはずである。

A:実は、当該論文では、第4の要素として、表面積を最小にするという条件を検討しています。しかし、この要素は、シミュレーションの結果に大きな影響を与えなかったので、残る3つの要素が重要であると結論したわけです。捕食圧に注目したのは、目の付け所が良いと思いますが、3つの要素で、現実の木の形がかなり再現できているので、あまり大きな影響はないかもしれません。


Q:ジャガイモは貯蔵器官として、地下茎を選択しているという話があったが、このことについて考えてみる。我々が普段食用としているジャガイモの地下茎は貯蔵デンプンを使って、芽を出して次世代を生み出しているが、地上部に種子を持つ果実も成るので、繁殖方法が、地下茎から繁殖していく方法と通常の植物のように動物に種子を運搬してもらい繁殖していく方法の2通りあることがわかる。このような2通りの繁殖形態を持つようになった理由として、片方の繁殖形態だけでは繁殖に不十分だったからだと考えられる。私はこの地下茎が繁殖方法の保険としてジャガイモに備わっていると思う。果実内部にある種子は動物に被食されても、消化されずにその構造を維持したまま排泄され、次世代を作っていくが、地下茎は地上部の果実内部にある種子とは違い、動物に被食された場合、消化されてしまう。そのため、地下茎にとっては被食されないように貯蔵デンプンを利用して早く芽を出す必要があるので、恐らく繁殖のスピードは速いのだと思われる。被食の危機と繁殖の速さの両面を持つのでジャガイモにとっては諸刃の剣のような手段であると考えられ、メインの繁殖手段としては考えづらい。ジャガイモの場合、通常の種子植物としての繁殖スピードが遅いために、この地下茎のように補助的な繁殖法を確立していったのではないだろうか。

A:2つの戦略の間の比較はよいと思うのですが、そもそも、「片方の繁殖形態だけでは繁殖に不十分だったから」という前提を議論すべきかもしれません。もし、ジャガイモの繁殖戦略が他の植物よりも非効率的であるならば、ジャガイモがそのような繁殖戦略をなぜ取ったのか、という疑問が生じます。その戦略に何らかの必然性がないと、それを補うための二つ目の戦略が必要になるという論理展開が生きてこないように思います。


Q:タンポポは茎をほぼ持っていないが、生存箇所の限定によって種を維持しているとのことだった。講義内では草原に生えている図が示されていて、周囲の植物個体も背の低いものがほとんどを占める環境でないと生育しにくいという一つの例だった。しかし、そのように生存箇所を限定しているはずであるタンポポという植物は生活の中で非常によく見かけるものだと思われる。これは何故かと考えてみた。まず1つ、雑草抜きをするとわかるが単純にタンポポは非常にしぶとい。主根が大きさに対して非常に大きく、またこれをすべてを取り切らないと再び生育してくるのだ。つまり、踏まれて葉が傷んだり虫に食べられたとしても根が無事ならば生存できているということだ。2つ目は、種子を多数しかも遠くまで飛ばす機構を持っていることである。綿毛によってちょっとの風でも遠くまで飛ばすことができるため、様々な場所に種子を届けて、生育できる場所を試行錯誤しているということだ。これにより例え近場であっても環境の違う場所に届き、生育個体を増やせるのではないだろうか。最後に3つ目、人間の生活する場所に適応しているということ。道端のアスファルトの隙間からタンポポが生えているのはよく見る光景だが、その周囲にほかの植物はほぼ見られない。いたとしてもカタバミなどの小さな植物がほとんどで日光を遮るような比較的大きい個体はみられないだろう。そしてアスファルトによる温度の維持で寒暖差のある時期も過ごすことができると考えられる。1つ目、2つ目で述べた点も、アスファルトの隙間に種子を飛ばしたり、葉を踏まれても生き残れる。つまるところ、生存箇所を限定されるはずのタンポポが大量に繁殖しているのは人間の開発にも適するほどの繁殖・生存力に加え、人間の開発による間接的な邪魔者の駆除によるものだと推測される。

A:これは、「よく見かける」という量的な問題が、実は、人間が作った環境とのマッチングとして理解できる、という趣旨ですね。丁寧に議論されていてよいと思います。


Q:今回の授業は植物の茎の役割についての講義であった。茎の役割の1つに花や葉を支えるといった力学的支持がある。そのために茎は「曲げ」などに強い構造を持っているということであった。ここで考えたのは力学的に強い構造というのは状況によって様々であり、具体的には水中と空気中では植物の茎が持つ特性も異なるのではないかと考えた。まず、水中と空気中ではその抵抗力が大きく異なる。これは水と空気の粘度の違いによるもので水は空気の50倍以上も粘度が高い。物体は流体の中にあるとき、流体の粘度が高いほど大きな力を受けるため水中の植物は空気中の植物よりも遥かに大きな力を受け続けていると考えられる。一方で、水中では浮力があるために地上の植物に比べて葉や花を支えるのに必要とする強度は小さくて済むと考えられる。故に水中の植物は葉や花を支えることよりも水から受ける大きな力に対処することを意識した構造を持っていると考えられる。具体的には力に抵抗する剛直さではなく力を受け流す柔軟さを持っているだろう。一般に細胞のセルロース含量が増加すると細胞壁の強度が増すことから、水中植物の茎ではセルロースの含量を低く保っていると考えられる。次に空気中の植物だが水中の場合ほど単純ではない。地上でも風が吹いたときの空気から受ける力を考慮する必要がある上に、水中ではあった浮力がないため葉や花を支えるための剛直さも備えなければならない。木本はリグニンを沈着させて強度を上げることで力に抵抗する剛直さを選択した。しかし、草本は木本のような強固な茎を持たず、水中植物ほど柔らかく柔軟な茎を持つこともできない。そのため剛直さ・柔軟さともに中途半端なものになり、これを補うために草本は背丈が低くし、風の影響を小さくしていると考えられる。以上のように強度の高い茎の構造というのは状況によって変化し、植物は生息する環境に最適な茎を選択すると考えられる。

A:茎の曲げへの抵抗性の話と、水中植物の話は、どちらもこの講義で取り上げたポイントですが、その間を結んで議論を展開していてよいと思います。