植物生理学I 第4回講義

光合成と生命

第4回の講義では、クロロフィル、カロテノイド、フィコビリンといった光合成色素の構造と機能について解説しました。講義に寄せられたレポートとそれに対するコメントを以下に示します。


Q:授業で水深によって届く光の波長が異なることを知ったので藻類に含まれる光合成色素について調べてみた。紅藻類にはクロロフィルa、βカロテン、ルテイン、フィコエリトリン、フィコシアニンが含まれていて、クロロフィルaとフィコエリトリンが主要な働きをしていて、褐藻類にはクロロフィルa、クロロフィルc、βカロテン、フコキサンチンが含まれ、主要な働きをしているのはクロロフィルaとフコキサンチンだった。緑藻類はクロロフィルaとクロロフィルb、βカロテン、ルテインが含まれていてそのどれもが主要な働きをしていることがわかった。この中で緑藻類は浅い所に生育するため届く光が軽減されていないため全ての色素を使うことで効率良く光合成が出来、深い所でも生育できる紅藻類は波長490~570 nmの光を吸収するフィコエリトリンを用いることで深くまで届く緑色光を光合成に使うことが出来、間の中層まで生育できる褐藻類は波長450 nmの光を吸収するフコキサンチンを用いることで青色光を光合成に使うことが出来る。これらのことから紅藻類、褐藻類、緑藻類という順に進化したのではないかと最初に考えた。しかし色素についてもう少し詳しく調べてみると、紅藻類に含まれるフィコエリトリンはクロロフィルにも見られるポルフィリン環が開いた構造の分子を持っていることがわかった。現在の系統樹を見るとこれら3種はそれぞれ比較的根元の方で分かれているが、紅藻類は緑藻類に含まれるルテインも持っているが褐藻類にはないことから紅藻類の方が緑藻類に近い系統なのではないかと考えることができる。

A:藻類の進化の順番に着目した点は高く評価できます。ただ、前半は一般論なので、あまり必要性がありません。そこは大幅に削ってしまって、着目した進化に絞って議論した方がよりよいレポートになります。


Q:葉の断面を見ると、表側付近が柵状組織になっており、その下に海綿状組織が存在する。海綿状組織はその名の通り、スポンジ状になっていることから水を含んでいる。しかし今回の授業において、柵状組織は光を透過させ、海綿状組織で光を散乱させると学んだ。全て柵状組織であると光は葉を通過してしまう。一方で全て海綿状組織にしてしまっては光が反射してしまい、効率良く光を吸収出来ないと考える。よって光を受ける表側は柵状で、その下にその光を吸収するために海綿状組織がある。柵状組織が、細長く規則正しく配列していることから光は全反射を行うが、その際に光を吸収しないのか考えた。吸収しやすい波長の光は一部柵状組織の葉緑体で吸収し、その他の光は透過され海綿状組織の葉緑体で吸収されるのではないか。すなわち、それぞれ組織の葉緑体に含まれる光合成色素は異なると推測する。クロロフィルaのような主な光合成色素は柵状組織に多く含まれ、光合成色素の中で割合が低いものが海綿状組織に含まれていると考える。ただし、クロロフィルaが海綿状組織に存在していると、一部柵状組織を透過してしまったクロロフィルaの吸収領域の光が吸収出来、より効率が良くなる。よって主な光合成色素は柵状組織に多く含まれているが、海綿状組織にも含まれていると考える。このような葉の構造は様々な観点からとても効率が良いと考えられる。

A:スポンジ状なので水を含んでいるというのは誤解です。最初の状態では空気を含んでいるのがスポンジで、葉の海綿状組織も正常な状態では細胞の間の細胞間隙は空気で満たされています。このレポートも前半は講義で説明したことなので、なるべくそこは短くして、自分のアイデアである、葉の場所ごとの光合成色素の違いに絞って議論をした方がよいでしょう。


Q:今回の授業で柵状組織と海綿状組織の役割を学んだ。柵状組織は光ファイバーの原理のように光を葉の中に取り込ませ、海綿状組織で散在させ、光を葉から逃さないようにするというものであった。これには屈折率の違いが関与しており、空気と水(細胞)によって屈折を生み出している。それを知り各構造にはそれ相応の意味があるのだと思った。そこで沈水植物も同じであるのか考えてみた。陸上植物の柵状組織は光が葉に対してほぼ垂直に入ってくるので光ファイバーの原理が使えるのである。しかし水中だとどうであろうか。光は一度動く水面で屈折をしているため決まった方向から葉に到達しない。したがって柵状組織はあまり意味をなさず、水中葉の柵状組織は陸上植物に比べて発達していないのではないかと考える。それゆえ、沈水植物はあのように1つの茎に多量の葉をつけ一度透過してしまった光や横から飛んできた光を吸収することで光合成をおこなっているのではないかと考える。

A:水の中の植物に注目して陸上植物との違いを議論していることは高く評価できます。沈水植物についてはその環境応答を植物生理学IIで詳しく解説します。


Q:今回の講義で光合成色素のフィコビリンがタンパク質と結合していることを知り興味を持った。フィコビリン類を持つ植物はシアノバクテリアや真核藻類などの種で、ほとんどのフィコビリンをもつ種はフィコビリソームという複合体を形成し、アンテナの役割をしている。また高等植物はこれをほとんど持たない。これは陸上で生活するうえで不要になり退化したことが考えられる。理由として考えられるものはフィコビリンが親水性であることが原因の一つではないかと考えられる。本来有機化合物は脂溶性であるがフィコビリンはタンパク質と結合していることから親水性を示すことが分かっている。これがフィコビリンの安定性に影響を与え、結果的に陸上に上がった際に退化してしまったのではないか。

A:着眼点は面白いのですが、説明不足ですね。フィコビリンが親水的であることがなぜ陸上植物の場合だけ安定性に影響を与えると考えたのかをもう少し丁寧に説明する必要がありそうです。


Q:クロロフィルはマグネシウムの錯体と考えられていたが、亜鉛クロロフィルが発見された。「学名をAcidiphilium rudrumという単細胞の生物がいる。(省略)鉱山廃水などに棲む(省略)。この生物が亜鉛バクテリオクロロフィルa(省略)で光合成をしていた。(省略)ChlaのMgイオンはpH<4で簡単に外れる。その席に2個の水素イオンが入りこんで、分子はフェオフィチンa」(「亜鉛クロロフィルをもつ光合成生物がいた!」化学と教育45巻8号1997年 渡辺正,小林正美)。このことから、私は工業排水などで亜鉛が含んでいる場合にクロロフィルが利用した浄化方法を提案する。まず、その排水を強酸性にし、そこに大量のクロロフィルを入れる。すると、クロロフィルのマグネシウムが外れ、フェオフィチンになる。フェオフィチンよりも、亜鉛錯体のクロロフィルの方が安定なので、排水中の亜鉛がクロロフィル(フェオフィチン)に取り込まれる。亜鉛バクテリオクロロフィルを取り出し、排水を中性に戻せば、その排水からは亜鉛がなくなる。

A:これもアイデアは面白いと思います。ただ、このままだとちょっと一発芸のような感じなので、そのアイデアの実現可能性の評価など、もう少しだけ膨らませることができると完璧です。


Q:今回の講義で、ドラゴンフィッシュという深海魚が赤外線感知システムを持っていることに興味をもった。陸上にすむガラガラヘビなどのヘビにもピットという赤外線感知システムが備わっていて、ドラゴンフィッシュと同様に餌のありかをつきとめ、捕獲するのに役立っている。しかし、ドラゴンフィッシュが赤外線を感知するためにクロロフィル様の物質を用いているのに対し、ヘビはリガンドや受容体がからんだ神経回路を用いている。なぜ同じ赤外線を感知するのに全く異なる2種類のシステムが存在するのか疑問に思ったので自分なりに考察してみた。両者の赤外線感知システムの違いは、生息環境の違いに加え、水中と陸上で赤外線の伝わり方が異なることが原因であると考えられる。ドラゴンフィッシュは自ら赤外線を照射し、獲物に反射して返ってきたものを感知するが、このとき赤外線を視覚刺激として捉えていると考えらえる。水中では赤外線は水に吸収されやすく、さらに波もあるため熱で獲物の正確な位置を把握するのは難しいが、深海で(狭い範囲でも)視覚をもつことは、暗闇で辺りが見えない獲物に対して非常に有利だからである。また、この魚の持つクロロフィル様の物質は深海に降ってきた植物プランクトンなどからクロロフィルを取り込み続けた結果、獲得されたと考えられる。これはヒトでも、視覚に関わるロドプシンに存在するレチナールがカロテノイドの光合成色素の構造と似ており、特に「βカロテンは目に良い」と言われることから、体外から摂取した光合成色素が動物の視覚に関与すると考えたためである。一方でヘビは明るい環境で生活しており、もともと視覚を持つため、ドラゴンフィッシュのように赤外線を視覚として利用してもかえって視界が悪くなり、天敵や獲物に発見されやすくなると考えられる。そのため草むらなどに隠れつつ獲物の場所を正確に察知できるように、障害物があっても遠くまで届く赤外線の熱を感知するように進化したのだと考えられる。実際に、ヘビは赤外線の熱を触覚のような刺激として感知していることがわかっている。
参考文献 2012年5月9日アクセス「ヘビが赤外線を「感じる」メカニズムが明らかに、米研究 AFPBBニュース」http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2710359/5503502

A:蛇と深海魚の比較は面白いですね。ただ、それぞれについてばらばらに考えているので、そこをもっと2種の動物の生育環境を対比させて論理を展開すると、焦点の定まったレポートになると思います。


Q:クロロフィルにMgではなくZnを使う強酸性下で生息するバクテリア(亜鉛バクテリアクロロフィル) が存在する事を学んだ。強酸性下という条件はそのままに金属の酸との反応性を考えた時、イオン化傾向ではPbまでならば希酸と反応する事が知られている。改めてイオン化傾向を見てみると、クロロフィルの構造の核とも言える金属がMgであることは、強酸性下では確かに不安定で仕方がないと感じた。それどころかZnでも安定とはいえないように思う。そこで、希酸にも溶けず、よほど酸化力の高い酸ではないと溶けない、イオン化傾向の低い金属(Cu、Hg、Ag、Pt、Auの5種)で核のような部分を置換することで、より光合成をする事の出来る場所が増えるのではないだろうか。しかし、Hg、Pt、Auは一般に多く存在しているとはいえない。対してCu、Agは一般的に広く存在している。この2つが有力な候補となりそうだが、クロロフィルの構造を見ると、Nと四箇所で結合している。MgやZnと同じ2価の陽イオンとなると、Cuがもっとも相応しいように思える。もしも、このCuを用いたクロロフィルが存在するとしたら、MgやZnを用いたクロロフィルより安定性を得た光合成色素になると考える。

A:金属のイオン化傾向を金属ポルフィリンの安定性と絡めて議論する着眼点は非常に良いと思います。実際にはイオン化傾向だけで説明はつかないと思いますが、ここで結論された銅ポルフィリンは本当に安定であることが知られています。銅ポルフィリンは安定できれいな青緑色を示すので、色付けのための食品添加物として用いられます。


Q:クロロフィルを持つ魚Malacosteus nigerに興味をもったので調べてみた。Malacosteus nigerはクロロフィルを持つ細菌と発光バクテリアが共生することで赤外線照射装置と赤外線感知システムを得たという。共生は異なる種の生物が助け合って共存することを言い、生物の新しい機能を獲得する仕組みとして進化に大きな役割を果たした。共生から進化したと考えられている例としては真核生物のミトコンドリアや葉緑体がある。私としては、クロロフィルをもつ動物がMalacosteus nigerしか確認されていないことが不思議だ。藻類を体内に共生させ光合成産物を得ている生物はサンゴやクラゲなど数多く存在する。しかし、クロロフィルまたは葉緑体を持ち光合成する動物はいない。自らの光合成システムを持たないのは、システムを作り上げるコストと得られる産物が釣り合わないからだということも考えられる。別な考え方としては、これらの生物は光合成システムをもつ進化の途中なのではないだろうか。高水温化に伴う褐虫藻の離脱によるサンゴの白化に代表されるように、いちいち光合成生物を共生させるよりも自前で光合成システムを持ったほうが生存には有利なはずである。環境の変化とそれに伴う進化で、自らクロロフィル、葉緑体を持ち、光合成を行う動物が生まれてくることも考えられるのではないだろうか。
参考文献:http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5218/ookutihosieso.html、海洋生物共生進化研究 5/13、http://www.jamstec.go.jp/biogeos/j/mbrp/sert/

A:このレポートは面白いアイデアが詰め込まれているのですが、ちょっと詰め込み過ぎかもしれません。おそらく、これから3つ分くらいのレポートを書けるような気がします。あまり欲張らずに、テーマを絞った方がよいレポートになると思います。


Q:植物の葉は表側に柵上組織、裏側は海綿状組織となっていて太陽の光を効率よく取り入れているということは分かった。しかし私は葉の裏側にも柵上組織を作り、柵上組織と柵上組織の間に海綿状組織があるというような組織を植物はとっていけばより効率よく太陽の光を吸収できるのではないか。太陽の光は上から降り注ぐものとは別に地面に反射して下からくるものがある。その光も柵上組織組織で光を葉の中で反射させていけばより多くの太陽光を取り入れることができると私は考える。クロロフィルの働きで葉の色を表と裏で変えていることで太陽の光を効率よく吸収しようとしているが、その外側の工夫だけでなく内側の組織も変えていけば良いのではないかと考える。

A:講義で言われたことを鵜呑みにせず、もっとよい方法があるのではないか、と考えている姿勢は高く評価できます。ただ、生物の進化の過程で、なぜそのように葉の裏にも柵状組織を発達させた植物が主流にならなかったのか、という点について議論することが生物学のレポートとしては必要でしょう。


Q:今回の授業では、クロロフィルに似た化合物を持つドラゴンフィッシュについて興味を持った。ドラゴンフィッシュはどのようにして、クロロフィルに類似の構造の化合物を得たのか。魚類の赤血球にもヘモグロビンが含まれていることから、ヘモグロビンのヘムからクロロフィルに類似の化合物が形成された可能性が考えられる。ヘムはクロロフィルと同様にポルフィリンを持つ。このヘムが、赤外線感知システムとしての役割を持つようになったのではないか。クロロフィルも、ドラゴンフィッシュの持つクロロフィルに類似した化合物も同じ光を感知するという同じ機能を果たす。この機能を果たす上で、最も合理的な構造として、ヘムがクロロフィルに類似の構造に変化したと考えられる。ドラゴンフィッシュはクロロフィルを使って見ている、という題名の論文ではあるが、クロロフィルと聞いて連想してしまう植物からではなく、自らが持つヘムからドラゴンフィッシュがこの化合物を得た可能性が考えられる。

A:そもそも視覚に使われていた色素には中心金属がなかったわけですから、クロロフィルと決めつけること自体にやや無理があるのではないか、という見方は当然あると思います。このレポートで述べられているように、ヘムから進化した可能性も十分にあると思います。


Q:前回の講義で私が特に興味を持った点は、葉の表と裏の図が載っていたスライドです。たしかに、サクラの葉などを小さい頃に観察した記憶では、表を見ると、とても緑色が濃く、裏を見ると白っぽい黄緑色をしていたという印象があります。葉の断面の細胞の図を見て、葉の表面には柵状組織が、葉の裏には海綿状組織になっているということを知り、納得しましたが、本当にすべての植物に関して葉の表が濃い色で、裏が薄い色なのであろうかと疑問に思いました。たとえば、葉が縦に立っている、イネ科や笹の葉、トウモロコシの葉などは表と裏ではそこまでの違いがわかりません。つまり、光の当たる角度や葉の生え方によって、これらの葉の表と裏には柵状組織と海綿状組織の分化があまり認められず、また、このことから気孔の数にもあまり差がないのではと考察しました。調べてみたところ、やはり表面と裏面との構造の差があまりないことを知りました。また、さらに調べてみると、ほかにもアヤメ科の葉やヒガンバナ科の葉も表裏に差がなく、外側が柵状組織、中側が海綿状組織であることを知りました。結局、裏表に差がある植物もあれば、差がない植物もどちらも存在することを学びました。植物には、光合成・呼吸をして生きていくために、光の条件や植生などの環境を考えて、住みやすいように独自に進化しているのだなと感じました。また、独自に進化して環境に対応してきた植物が今生き残っているのではないかとも考えました。とても興味深い講義でした。

A:その通りですね。葉がたったイネ科の植物などでは確かに表と裏の区別があまりつきません。葉がどのような構造をとるのかは、葉がおかれた環境によって決まっているのだということがよくわかります。


Q:葉の内部構造には論理的に裏づけされた理由があるということを学んだ。そこで、葉の厚さというものにも何か理由があるのか考察してみる。葉の下には光を逃がさない役割を持つ海綿状組織が並んでいるが、全ての光を逃がさないわけではない。葉の厚さを厚くするほど海綿状組織を多く並べる事が可能であるし、そうすることでより多くの光を吸収することができる。つまり光吸収の面からみれば葉は厚ければ厚いほど良いように思えるが、では何故葉はあの厚さなのだろう。まず考えたのが、一枚の葉を厚くするよりも薄い葉を何枚も作り表面積を広げた方が植物にとって効率が良いのかもしれない。また葉が厚いとより内部の方にある組織の光合成や呼吸などによる物質の外界への放出が難しくなるのではないかと考えられる。いまの葉の厚さというのは光吸収の効率と上に列挙したような問題点との間でちょうど一番光合成、呼吸が上手くいく厚さに進化したものなのだろう。上部は光を吸収しやすいように柵上組織が並んでいるが、光が強い環境に置かれた植物は、ある程度の光の反射を犠牲にして葉の表面にクチクラ層を作り水分の蒸発を防ぐという策をとっている。葉の厚さを変えて光合成の具合を測定するのは難しそうだが、クチクラ層の厚さを調節して強光下での光合成、呼吸率を測るのも面白そうだと思った。

A:葉の厚みをきちんと考察していて非常に良いと思います。葉を厚くした時に不利になる点としては、光吸収としての問題のほかに、二酸化炭素吸収の問題もあることが知られています。


Q:今回の授業では、水深によって届く光の波長が変わるため、海藻が使用できる色素が変わるので、結果として海藻の色が変わるということを学んだ。そこで、光が届かない地中で育つニンジンの根の部分が、なぜカロテンを大量に含み橙色をしているのかを考察してみた。植物のほとんどの部分は緑色をしているが、根は白いものが多い。これは、光が届かないため光合成をすることができないので、クロロフィルなどの光合成色素を含んでいないからだと考えられる。しかし、ニンジンは根の部分にカロテンを多く含んでいる。光は届かないので、吸収した光エネルギーをクロロフィルに伝えるアンテナの役割をするために含んでいるのではない。そこで、余分な光エネルギーを熱として地中に捨てるためであると考えられる。その場合、他の植物は根にカロテンを含まなくても生育できているため、他と比べるとニンジンの葉などに含まれるクロロフィルを制御するタンパク質の量が少ないことも考えられる。この考察が正しいかどうかを調べるには、ニンジンとダイコンなど大きな根をつける植物の葉に含まれているクロロフィルを制御するタンパク質の量を比較すると良いだろう。

A:これも発想がユニークでよいと思います。ただ、過剰なエネルギーを葉から根へと移動させて根で処理をする必要性がちょっと納得しづらいですね。