植物生理学I 第3回講義

光合成の起源

第3回の講義では、細胞内共生説を中心とする光合成生物の進化について解説しました。講義に寄せられたレポートとそれに対するコメントを以下に示します。


Q:今回の授業で『はてな』について興味をもった。はてなはこの先どのような進化をとげるのか考えてみる。はてなは分裂すると片方が緑色ではなくなってしまう。これは、取り込んだ葉緑体を複製することができないためである。葉緑体を常に体内に維持できれば、独立して栄養を獲得できるので、生存していく上で、葉緑体を持つことは有利である。よって、植物が葉緑体を持つようになったのと同じように、はてなも葉緑体を持てるよう、葉緑体を複製する能力を獲得するように進化が進んでいくのではないだろうかと考える。

A:問題設定がなされ、またそれに対して考えて解答しているので、レポートとしては合格です。ただ、もう少し厚みがあるといいですね。


Q:今回の授業では、光合成細菌→シアノバクテリア→高等植物の進化の流れという内容だったが、水だけではなく硫化水素も水素源として利用することが出来る能力を保持して進化した高等植物は存在しないのだろうか。硫化水素の水素原子と二酸化炭素の酸素原子から水を合成することが出来れば、養分だけでなく水すらもほとんど自分で賄えるようになっていたのではないか。火山帯などに生育するには有利に働くと考えられる。

A:これももうちょっと深く考察できるといいですね。硫化水素を利用できると火山帯で有利ということですが、硫化水素と水を両方使えると有利な条件は異なるだろうか、などいろいろ考える種はありそうです。


Q:真核生物のミトコンドリアや葉緑体等の細胞小器官は、原始的な生物が細菌を捕獲し、共生させたことが起源とされ、現在でもミトコンドリア・葉緑体は独自のゲノムをもっていると学習したが、これらの細胞小器官と宿主細胞のゲノムが独立にはたらいていたならば、細胞分裂の際にどうやって確実にこれらを両方の細胞に分配しているのであろうか?(ハテナのような特殊な生物は除く)何かの細胞小器官が欠けた細胞ができてしまうことはありえないのであろうか?調べた結果、ミトコンドリア・葉緑体の80%以上の遺伝子が共生による遺伝子の再編後に、消失または宿主の細胞核に移行していることがわかった。さらに遺伝子の移行は細胞に取り込まれた後にも続いている。このことから、ほとんどの遺伝子は宿主の細胞核に移行し、ミトコンドリア・葉緑体の活動は宿主細胞に制御されていると考えられる。実際に核ゲノムが葉緑体の分裂装置を使い、葉緑体の分裂を制御していることが確認されている。以上より、細胞分裂の際にも宿主の核がミトコンドリア・葉緑体等にシグナル送り、分裂する両方の細胞に均等に細胞小器官が存在するように調節していると考えられる。もし細胞小器官が欠けた細胞ができてしまった場合には、それは細胞としての価値がなく、アポトーシスを誘引しているのではないか。
参考文献:「ミトコンドリアはどこからきたか 生命40億年を遡る」黒岩常祥著、NHK books

A:内容はもっともなのですが、参考文献の中で紹介されているストーリーとあまり変わりませんね。もう少し、自分の視点があるとよいと思います。


Q:渦鞭毛藻とマラリア原虫は共通の祖先で、葉緑体を獲得したり、消失したりを繰り返しているということで、私は、葉緑体が獲得されたり、消失されたりするのはどうしてかを考えてみた。マラリア原虫のアピコプラストは共生藻類の名残である。そこでまず、考えたのは環境の変化によって葉緑体の機能が必要なくなったのではないかということである。もともとは共生することでお互い助け合って生きていた。しかし、何らかの住む環境の変化、たとえば光の当たらない環境になったなどによって葉緑体の機能がいらなくなった。葉緑体の有無がその生物にとってあまり重要な位置を占めなくなったのである。そこに遺伝子変異がおこる。ダーウィンの自然選択説によると、生き物は変異を起こすことがあり、変異によって出来た性質は子孫に伝わるという。変異が起きて、葉緑体は消失したが、生存の有無に関係するわけではなかったので、そのまま変異が子孫に伝わって、現在ではマラリア原虫になったのではないか。葉緑体の獲得については、もともと葉緑体の名残はあったので遺伝子配列はそこまで大きな変化はなく、変異によって獲得できたのではないかと考えられる。このように、葉緑体の獲得や消失は遺伝子の変異によるものであるのではないかと私は考える。

A:せっかく環境の変化に注目したのですから、マラリア原虫がどのような環境で生活をしているか考えてみるとよかったですね。マラリアの病原体であることは知っていますよね?


Q:今回の授業から、光合成の発達にはシアノバクテリアの誕生が重要な意味を持っていると感じたのでこのシアノバクテリアについて考えてみる。シアノバクテリアは自ら真核生物細胞に共生することで進化をとげる一方で、一部はαプロテオ細菌へと進化しやがてミトコンドリアとして真核生物の中で生き残っていったそうだ。なぜ、細胞共生をしたのかというと他の細胞中の方が外環境よりも安全であったため、宿主細胞から光合成に必要な材料をより確実に安定して得られるためであると思う。共生された細胞でも光合成により有機物が得られる訳であるからそんなに悪い話ではない。こう考えると何もさらにαプロテオ細菌へと進化をすすめる必要はなかったように思われるが、なぜそうなったのか。それは、自分の存在つまりは遺伝情報を後世に保存される可能性を少しでも高めるためではないかと考える。25億年も前に誕生したシアノバクテリアの性質が今でも植物に見られるというのは驚くべきことだと思う。この先、ヒトは後世に受け継がれるべきものを実際に残していけるのかと少し疑問に思ってしまった。

A:シアノバクテリアがαプロテオ細菌に進化したのではありません。シアノバクテリアなどの祖先でもあるαプロテオ細菌が共生によってミトコンドリアとなったのではないか、という考え方です。ただ、シアノバクテリアが現在も25億年前の形でほぼ残っているのは確かにある意味驚くべきことなのかもしれません。


Q:前回の授業で葉緑体やミトコンドリアの共生説について学んだ。二重膜構造、固有DNA、固有蛋白、そして進化の系統樹と共生説の有力な証拠となりえるものが多数存在していることがわかった。しかしそこまで有力と思える証拠があるのになぜ未だに共生説が通論となっていないのだろうと疑問に思い調べてみたところ、
(1)ミトコンドリアを持たない真核生物が存在しない、(2)太古の昔から共生しているのに未だに細胞小器官ではなく単体の生物同士として存在しているものがある、(3) 葉緑体やミトコンドリアの中に遺伝子が残っている、という3つの意見があることがわかった。これらを簡単に補足すると、(1)全ての生物が好気性細菌と共生したとは考えにくいのになぜミトコンドリアを持たない真核生物は存在しないのか(2)チューブワームは太古の昔から化学合成細菌と共生しているが、なぜ細胞小器官になっていないのか(3) 葉緑体やミトコンドリアのDNAは、一部は宿主のDNAに組み込まれたと考えられているが、なぜ残りは組み込まれなかったのか、というものである。
 私自身は共生説が有力なのではないかと考えているので、これらの否定意見を考察し、私なりに共生説を支持してみようと試みる。まず、(1)についてだが、真核生物にはミトコンドリアを持たないものはいないかもしれないが、原核生物には持たないものがいる。では、真核生物と原核生物ではなにが違うのかと考えると、真核生物では細胞内小器官や遺伝情報が増えたため、生命の維持には原核生物よりも大量のエネルギーが必要というところで異なる。ところで、好気呼吸と嫌気呼吸を比べた時に、好気呼吸の方が19倍ものATPを作り出すことが分かっている。つまり、エネルギー効率がよい好気性細菌を有さないと真核生物は生きられなかった、または、好気性細菌を有したからこそ細胞は複雑化したのではないかと考えた。したがって、ミトコンドリアを持たない真核生物が存在しないことは、共生説の強い否定にはならないと考える。次に(2)であるが、共生したならば細胞小器官になるはずだという前提がそもそもおかしいのではないか。マメ科の植物と根粒菌は共生しているが、細胞小器官にはなっていないので、葉緑体やミトコンドリアはたまたま細胞小器官になったものが進化してきたのではないかと考える。最後に(3)であるが、調べたところミトコンドリアの中の固有DNAを取り去ってもミトコンドリアは細胞の増殖のときに一緒に増えることが可能なようである。ではなぜ残したのかを考えると難しいが、宿主が細胞分裂できなくなってしまったときの保険や、種が種であるための本能のようなものではないかと考えた。
以上ように上の3つの意見に反対し、私は共生説を支持したいと思う。

A:きちんと自分の考えを述べていてよいレポートだと思います。このように調べたことを自分なりに咀嚼して自分の表現になっていれば著作権法違反にはなりませんが、レポートとしては出典を明記するべきでしょうね。1点、「原核生物には(ミトコンドリアを)持たないものがいる」というのは気になります。原核生物の定義の一つが「細胞小器官をもたない」ということですから。あと、ミトコンドリアを持たない真核生物はいくつか見つかっているのですが、それらは持っていたミトコンドリアを後から失ったようですね。


Q:光合成生物は、紅色光合成細菌と緑色硫黄細菌とが細胞融合してシアノバクテリアへと、そして更に高等植物へと進化したと考えられている。紅色光合成細菌や緑色硫黄細菌は光化学系を1種ずつしか持たないのに対し、シアノバクテリアは光化学系を2種持つことなどからそれが言えるが、シアノバクテリアは果たして紅色光合成細菌と緑色硫黄細菌とが細胞融合して進化したものなのだろうか。細胞融合以外の原因により、遺伝子が水平移動し、一方の遺伝情報の一部が他方に伝わったということは考えられないだろうか。光合成器官について、紅色細菌では細胞内膜系が光合成膜として発達している。一方、緑色細菌については、細胞膜中に反応中心はあるが光捕集をするためにクロロソームが分化して存在している。このように、紅色細菌と緑色細菌の光合成器官には差異がある。これらと葉緑体とを比較すれば、葉緑体の起源がわかるのではと考えられる。

A:面白い考え方です。ただ、細胞内膜系の構造の方は、光合成器官の特徴に大きく左右されますから、おそらくそこから葉緑体(というか、この場合はシアノバクテリア)の起源を探るのは難しいかもしれません。たとえば、クロロソームのようなアンテナ系は個別の生物種によって発達しているもので、緑色硫黄細菌の中ですら共通しているものではありませんから。一方で、原理的には細胞膜や細胞壁の特徴は比較的残ると考えられますから、シアノバクテリアと光合成細菌の間で詳細に比べてみると面白いかもしれません。


Q:今回の講義で、生物は葉緑体の獲得と消失を繰り返しているという話があった。普通の植物は葉緑体をもつことによって光合成を行う生物であるため、葉緑体を消失するということはないであろうが、細菌などの場合、その細菌のおかれている環境によって葉緑体を獲得するか消失するかという変化が起こるのではないかと考える。例えば、光条件などにより光合成をするよりも寄生した方が栄養分を取りやすく生き残りやすければ、葉緑体は不要になる。逆に、光合成を利用する以外に効率のよい栄養分の取り方がない環境にあれば、葉緑体を獲得すると考えられる。だがここで、光合成を行う植物でもあり、さらに昆虫を捕食することによって栄養摂取をすることも出来る食虫植物について考えたい。食虫植物は昆虫を捕食するが、そこから得る栄養分はほんのわずかで補助的なものでしかなく、また捕食できる昆虫の数はあまり多くないため、実際はほぼ光合成によって養分を得ている。ゆえに現在はどちらの働きも機能しているが、将来的にはおかれた環境に応じて、葉緑体を消失し、昆虫の捕食数を増やすことのできる構造を発達させて、生存に必要な栄養分を捕食によってのみ得ることの出来る生物となる可能性もあるのではないかと考える。
<参考文献>http://home.f00.itscom.net/kuralab/tokyou_handout.pdf#search='食虫植物 光合成'

A:これは、目の付けどころはよいのですが、「栄養分」の種類について考えていないところが残念です。植物でも動物でも、生物の体は酸素、炭素、水素、窒素などからできています。植物の場合、ここから酸素、炭素、窒素は二酸化炭素と水から得ることができますが、窒素は土壌中から取る必要があります。そして食虫植物の場合、虫からの栄養分は何なのだろう、と考えてみると、新しい考え方にたどり着くと思います。


Q:葉緑体の起源として、今回の講義で教わったシアノフォラのように原核生物が真核生物の中で細胞小器官化したと考えられるものがある。葉緑体は真核生物の光合成機能を独占している。これが特定の機能をもつ原核生物が真核生物の細胞小器官化したという考え方につながっている。この考え方をどのように証明していったら良いかを考察する。
1.細胞小器官と原核生物の様々な性質を比べる。  原核生物が真核生物の内部に入り込んで細胞小器官になったということは、原核生物の諸性質が類似または一致しないとおかしいのではないか。性質を比較する方法の一つとして、タンパク質翻訳系の性質の違いを利用した実験が考えられる。原核生物はクロラムフェニコール、真核生物はシクロへキシミドで阻害できるという違いを利用して、細胞内小器官である葉緑体はどちらで阻害できるかを確認する。そのほかにも原核生物と真核生物の性質の違いからどちらに似ているかを考える。DNAが原核生物のように低次構造なのか、真核生物の染色体のように高次構造なのかの比較。ヒストンの有無、DNA含量の比較などが思いついた。
2.葉緑体の遺伝的支配関係をみる。  葉緑体は細胞の中で、葉緑体自身のDNAに支配されているのか、もしくは細胞核によって支配されているのかを確認する。これによってたとえば自己の複製は葉緑体自身でやっているのか、それとも細胞核が支配しているのかということがわかり、葉緑体が独立しているものなのかが判断できる。
 授業の内容を利用して、葉緑体が原核生物由来のものであることの証明方法を自分なりに考えてみた。証明方法1の阻害の実験方法は見当が付くが、2の支配関係をみるためには具体的にどのような実験を行なえばよいのかはわからなかった。

A:面白いと思います。2の方は特定の遺伝子破壊と、DNAマイクロアレイなどによる転写産物の網羅的発現測定を行うのでしょうかね。


Q:「ハテナ」はとても面白い生物だと思う。大学に入ってから講義で聞いた中でトップ5に入りそうだ。微生物を餌とする鞭毛虫だが、藻類の葉緑体を取り込むことにより捕食機能が退化し植物として生活するようになる。増殖する際に分裂すると、片方にのみ葉緑体を引き継ぐ。葉緑体がない方は透明で、再び捕食機能が生じ、また藻類を食べて葉緑体を取り込む。この生物にとって動物時と植物時ではどちらが良いのか。藻類を食べ葉緑体を取り込むまでの動物時には動くためのエネルギーはどうやって作り出すのだろうか。体内にあるエネルギーを使い果たしてしまう前に葉緑体を取り込むか、プランクトンを食べるのか。分裂の際になぜ片方には葉緑体がいかないのだろうか。その方が都合が良いからか、そのレベルまで発達していないためできないのか。都合が良いのだと仮定すると、動物・植物の両方の形態を持っていた方が環境に適応しやすいのではないかと思う。また分裂の際に葉緑体を引き継ぐ分のエネルギーを抑えるためか。何らかの要因で周りに藻類がない場合には動物として生きればよい。しかしそれなら葉緑体を引き継いでいけば光合成で生きていける。人間は光合成で生きていくのは不可能である。光合成で生きていけるならその方が生き残る可能性が増すのではないだろうか。動物時と植物時ではどちらが安定な状態なのだろうか。新しく生まれた動物時の形態のものは葉緑体を取り込み植物になる。そのことからやはり植物の方が安定しているのではないか。「ハテナ」は今後長い時間をかけて進化していき、最終的には植物になるのではないか。

A:せっかくここまで考えているのですから、思いついた疑問についてどれか一つでも深く考察して答えに近づいていくと素晴らしいレポートになると思います。


Q:緑色硫黄細菌は光科学系Ⅰ、紅色硫黄細菌は光科学系Ⅱの反応に似た光合成反応をするというのが面白かったです。高校時代の生物でわざわざ二種類の光合成細菌を習う理由が今やっと分かりました。少し調べた限りだと緑色硫黄細菌の反応と光科学系Ⅰと紅色硫黄細菌の反応と光科学系Ⅱ反応はその関係がまるで好気呼吸と嫌気呼吸の裏返しのようだと思いました。緑色硫黄細菌の反応は還元物質NADHが生成され、プロトン濃度勾配が形成されより大量のATPがつくられるのに対し、紅色非硫黄細菌の光化学反応は還元物質NADHの生産を直接行なうことは無く、すぐにATPを作るところがまるで酵母の好気呼吸とアルコール発酵の関係のようだと思ったからです。しかしながら一番驚だったのは有機物である光合成色素が光によって励起され電子を放出するというところでした。漠然と電子とか電気に関する反応は無機物、特に金属やシリコンというイメージがあったのでこれを知った時、きっと太陽電池に使われるはずだと思いました。人間が作り出す無機物からなる太陽電池よりも46億年の無限とも思える時間の中で進化した方法の方が地球上においては有利な気がしたからです。しかしながら無機物の方が必ずしも劣っているとは考えられないとも考えています。46億年とはいえこの仕組みを作り出したのは生物で、所詮、現在の生物の限界が地球であるならば、生物の力を超えた技術で作り出したものであればより性能のよいものが生まれるだろうとも思えるからです。

A:この辺の話は、これからの講義でやりますので、お楽しみに。


Q:植物の系統樹では光合成生物と非光合成生物が混在していると今回の講義でありました。その理由は、全ての植物の共通祖先である真核生物が葉緑体の元である原核生物のミトコンドリアを細胞内に取り込んで共生したのではなく、それぞれの種に分岐してから共生したからである事も話がありました。「取り込む」という仕組みは共通祖先の嫌気性バクテリアがシアノバクテリアをアメーバの食作用のように「捕食」すること、であると考えられます。よって二重膜の外膜は食作用における食胞の膜であるとして、葉緑体が二重膜であることが共生説を助ける理由として使われていることは有名です。真核生物以降の細胞は食作用を持ちます。分岐したそれぞれの種の細胞が海水だけでなく湖沼や砂漠を含めて地球上に広く分布し生息しているシアノバクテリアと出会い、細胞内に取り込んだ結果共生が始まったのです。しかし、シアノバクテリアが広く分布し生息していることから非光合成植物もシアノバクテリアと接触して食作用を起こすことは大いにあり得るはずであるのに、なぜ共生した種と共生しなかった種がいるのか疑問を持ちました。理由は2つ考えられます。1つは食胞内で消化されず、排出もされないで細胞内に留まる理由がシアノバクテリアにあるとすると、系統樹ではバラバラに分類してある種が実は特定のシアノバクテリアが生息する地域から発生した種であるということ。2つめとしてはシアノバクテリアを取り込む植物自体に、それを細胞内に留めるなんらかの仕組みが存在することである。1つめの理由は系統学的に考えて生息地が同じであったものが異なる種や属にグルーピングされるとは考えにくいので2つめの理由が有力であると考える。シアノバクテリアを共生させる仕組みが発見できれば非光合成植物も光合成植物に変えることができるかもしれないと考えました。

A:あと3番目の可能性として、非常に起こりづらいことなので、偶然が重なった1回だけうまくいったけれども、確率的には何回もおこる現象ではない、という可能性もあるのではないでしょうか。同じ共生でも、真核生物同士の共生は何度もおこっています。原核生物の真核生物への共生は、その異種間の共生の難しさに原因があると考えることもできそうです。


Q:今回の授業で気になったのは渦鞭毛藻についてです。葉緑体の膜は2次共生が起こったとすると4枚になるはずですが、何故渦鞭毛藻は3枚なのでしょうか? 考えられる可能性は、何らかの出来事で膜が破壊されたということです。あくまで仮説の領域ですが、私は二次共生が起こる際、取り込む細胞が取り込まれる細胞より低張で、結果膜が破裂してしまって消滅、膜が3枚の葉緑体ができるというわけです。これを確かめる方法として、この渦鞭毛藻が紅藻起源であることに注目します。すると同じ紅藻起源でありながら葉緑体の膜が4枚あるクリプト藻という存在に気づくはずです。もしこの仮説が正しいとするならば、渦鞭毛藻の中には破裂した紅藻の成分の名残が残されているかもしれません。なのでその成分をクリプト藻の葉緑体の成分を調べることで確かめ、それと同じ成分が渦鞭毛藻の中から発見できればこの仮説が正しかったと結論付けることができると考えます。

A:名残を調べるというより、クリプト藻と渦鞭毛藻の膜の成分を調べてどの膜とどの膜が対応しているのかを明らかにするのが先かもしれませんね。欠落している部分の膜があれば、その部分に注目して「名残り」を調べることができますから。