植物生理生化学特論 第2回講義

吸収測定の方法

第2回の講義では、吸収測定の原理と分光器の仕組み、そして様々な分光測定の手法について解説しました。


Q:地球で朝焼けや夕焼け空が赤く染まって見えるのは、観測者と太陽の位置が代わり両者の間の大気層が昼間よりも厚くなるため、昼の間よりも波長の長い光を拡散させ、観測者に長波長の赤色光のみが届くからである。そして、夕焼け空を西から東へと真上を経由して視線を移していくと、赤から紺色へと虹のようにグラデーションがかかっているように見える。では、大気の厚さによって空が緑色に(つまりナメック星のような空に)見えることはあるのだろうか。長波長である赤色の波長は700nm前後、昼の空の色である青色は500弱、緑色530nm前後であり、波長の長さが赤と青の間にある。大気の厚さによって空の色が青から赤に変化していくのなら、大気の条件によっては緑色の空にもなり得るようにも思える。しかし、赤と青、そして緑は光の三原色として数えられ、その色の組み合わせは加法混合である。つまり光の場合、青あるいは赤に何色を加えても緑色にはなりえない。そのため、緑色の光となるには白色光から短波長と長波長の光を取り除かなければならないが、光は大気を通るとき短波長のものから拡散していくため、それも不可能であると考えられる。結論として、ナメック星のような緑色の空はありえない、ということになる。

A:面白いと思います。このような問題は視覚の側も考えなくてはいけないので、本当は難しいですね。人間の目の感度は緑色の領域が高いですし、太陽光でエネルギーの大きいのも緑色の領域ですから、全体に光が弱くなる領域では赤や青への感度が落ちて、緑色に見えても不思議はないように思います。ただ、人間の目の場合は、色覚のためのオプシンの他に低照度条件で働くためのオプシンがありますから、さらに状況は複雑になります。


Q:DNAの濃度を分光光度計で測定する場合、そのサンプル中に含まれるDNAの構造や分子量、塩基配列によって吸収スペクトルに差が生じるのではないかと思った。そのため、もし測定したいサンプル中のDNAの塩基配列が既知で、極端に特定の塩基に偏りがある場合等には概算の各塩基の比に応じて補正を施す必要があるのではないかと考えた。

A:「考えた」まではよいのですが、そのあと、ちょっと調べればいろいろな面白い話が見つかると思いますよ。


Q:初め分光光度計とは色素の違いを測定することで、物質を同定するものであると考えていたが、実際は吸収速度を測定することで、物質を同定するものであるということがわかって、よかったです。血液測定などで、分光光度計を使う機会があれば、使用してみたいと思います。

A:「使う機会があれば」ではなく、どのように使うのかを考えてみる姿勢が必要です。例えば、血液だったらヘムと酸素の相互作用により吸収は変化するはずです。講義の内容と自分の知識を組み合わせてレポートにしてください。


Q:分光器について学んだ。細菌は透過率からOD(光学濃度)を測定できることが勉強になった。では他の濃度測定はどうだろうか。細菌の濃度測定には主にコロニーカウント法と濁度法がある。共に菌量を測定できるが簡便さや測定する標的に違いがある。コロニーカウント法は希釈の行程があり、生菌しかカウントできない。対して濁度法は簡便であり、生菌と死滅菌の両方を測定する。仮に下水道の大腸菌数を測定する場合は、濁度法を用いると考える。抗原反応などで大腸菌を選別後、分光光度計で測定を行えば簡便であり、多数のサンプルを測定できると考えたからだ。参考URL http://micro.fhw.oka-pu.ac.jp/microbiology/metabolism/counting.html

A:濁度を測定する場合のもう一つの特徴は、細胞数だけでなく、細胞の大きさにも依存して変化する点です。例えば、変異体などを用いている場合、その変異によって細胞の大きさが変化すると、細胞数が同じでも濁度が変化してしまいます。


Q:日ごろ実験で使っている吸光度計の仕組みを初めて知りました. 普段RNA濃度やタンパク濃度を測定するときに吸光度計を使っていますが,吸光度によって濃度を測定する仕組みを初めて知りました.授業内容に興味を持つ以前に初めて聞く話ばかりだったので,実験そのものだけでなく,実験に使用する機器の原理も知らなくてはと考えさせられました.

A:感想としてはよいのですが、レポートとしてはもう一息。


Q:授業で得た知識をふまえ、研究に利用している分光器の利用について考えてみたい。その機器は赤外線ガス濃度計と呼ばれるもので、赤外線がCO2に吸収されることを利用し、大気中のCO2濃度を測定する機器である。野外で測定を行うため気圧及び温度の補正が重要になる。また、照射するスペクトルの幅が重要になる。なぜなら他の赤外線を吸収する気体の吸収スペクトルとCO2の吸収スペクトルが重複してしまう可能性があるからである。もちろんCO2の吸収スペクトルに合わせて設定されているはずだが、他の赤外線を吸収する気体の濃度が大きい場合は無視できなくなる可能性がある。例えば沼などCH4が多く発生する場所でCO2濃度の測定を行う場合はCH4の影響の有無を確認する必要があるのではないだろうか。そのためには実験室で赤外線を吸収しない気体で測定を行った場合と、既知の濃度のCH4で測定を行った場合を比較すればよいと考えられる。

A:光合成の測定の話は、今後の講義の中で取り上げるつもりです。