生物学通論 第8回講義

DNAの複製・修復

第8回の講義では、DNAの複製や修復のメカニズムについて紹介しました。


Q:今回の講義で気になったのはDNAの複製の正確さである。DNAポリメラーゼによる新生鎖の伸長における誤りの確率は極めて低く、さらに自身に校正機能が携わっているために誤る確率は非常に薄いが、分裂する細胞が多すぎるためにいくつかは誤った複製が行われる可能性が高いという話だった。細胞は短い周期で入れ替わっているので体細胞に誤りがあってもあまり問題はないが、生殖細胞に誤りがあるとその間違いが子孫すべてに受け継がれてしまう。ここからは私の推測だが、具体的には生殖細胞でのDNA複製の誤りがダウン症や発達障害などの原因の一つとなっているのではないかと思う。先週の内容にも戻るが、人の遺伝子の解明が進めば将来的には障害を持った子どもが生まれる状況の解明ができるのではないかと考えられる。

A:ダウン症などでは、複製の際に異なる塩基が入るのではなく、染色体のレベルで違いが生じています。しかし、基本的な認識は正しいと思います。現代では、出生前の診断によって遺伝的な疾患がわかる、もしくは推定できるようになったため、むしろその倫理的な側面が問題となっています。


Q:今回の講義では"DNAの複製と修復"について学んだ。その中で私が一番興味をひかれた内容は、"DNA複製の正確さ"である。生物の体にはDNAポリメラーゼというDNAの新生鎖を作り、DNAを修復する役割をもつ物質が存在する。しかし、このDNAの新生鎖には伸長の際に、10-6から10-4の確率で誤りが生じてしまうと言われている。しかし、このDNAポリメラーゼには校正機能が備わっており、また塩基対のミスマッチ修復機構などが複数あるため、誤った新生鎖の確率は10-11から10-10程度のまで抑えることができる。ここで私が疑問に思ったことは、普段生活していて自分の皮膚が垢として落ち、新しい皮膚ができたことを意識することはあまりない。しかし、スポーツをしていれば理解できることであるが、野球の素振りなどでできた手のマメも上記と同様で、皮膚の再生であり、これは再生したことがあからさまに確認できる現象であるということである。つまり、状況によってヒトはDNA複製の正確さを変化させているのではないかと考えたのである。どういうことかというと、上記の両者では明らかに異なる要素が存在する。それは、皮膚のかたさである。腕や腰などの皮膚は新たな皮膚が再生してもかたさの変化はあまり感じられない上に見た目の変化も特にない。しかし、マメとして切れた皮膚が再生するときは、決まって前よりもかたく丈夫な皮膚ができているように感じ取れる。この原因として考えたのが、複製の正確さである。垢としておちた皮膚は、皮膚の寿命を迎えたのと同様に考えられるため、複製の正確さも通常どおりであるが、素振りのような外部からの衝撃などで破壊された皮膚のDNAは、具体的な数値などはわからないが、意識的に正確さを低くして、前よりも丈夫な皮膚になるようDNAの複製を行い、環境に対応しようとするのではないかと考えた。その結果、かたさや色などが前と異なる皮膚ができるのだと考えた。

A:面白いですね。状況によって複製の正確さを変化させることによって環境の変化に馴化する例は、細菌で知られています。ただ、手の豆が同じメカニズムで起こっているようには思えませんけど。


Q:今回はDNAについて学びました。DNA複製の正確さを知り驚きました。そして、誤りの確率がほぼ無いに等しいDNA複製は、どのような時に誤りを起こし、どのような結果をもたらすのかが気になりました。まずDNAが傷ついていると、複製は正確に行いづらいのではないだろうか。しかし、校正機能などによりミスを正すので、その校正機能も本来作用するものでは無いものに作用してしまった時にはじめて複製の誤りにとなると思う。つまり、その可能性が低いから、誤りがほぼ無いということも納得がいく。誤りが起きたら、遺伝子異常となり癌の原因になったりするのではないだろうか。

A:少し論理に深みがないような。「誤りの可能性が低い」から「誤りがほぼない」というのは、循環論法のように思えます。


Q:DNAの受精卵の半保存複製や細胞分裂の過程で何らかのダメージを受けることにより一卵性双生児が生まれることがある。一卵性双生児は一般的に成長するとほとんど同じ容姿を持つだけでなく、性格や好みさえも似ることがある。ただ、そもそもDNAの欠陥による偶然の現象で生まれる生命が各々で生きていけることは、変異が起きた後も何らかの修復機構が働いていると考えられる。逆に、一卵性双生児は完全には一致しない、ということもDNAの欠陥に由来する変化が積み重なった結果である。

A:冒頭の「DNAの受精卵の半保存複製や細胞分裂の過程」というのは、ちょっと意味不明です。半保存的複製はDNAの話ですし、細胞分裂は細胞レベルの話ですから、同じ土俵に乗る話ではありません。最初も、少なくとも「受精卵のDNA」ならまだわかります。


Q:本日の講義は遺伝子の複製と発現に関するものでした。その中でDNA複製の正確さについて扱い、いかにDNAが優秀な複製技術を持っているのか知りました。また、個体にある塩基対の数は極めて多いため、確率上、変異が起きることもあるが、さほどの心配はいらないものだとありました。変異の起きるDNAの箇所が皮膚など、修復できるところであるか、生殖機能にかかわる精子や卵子など、子孫に影響を与える可能性のあるところであるかは大きな問題だと思います。受け継がれる遺伝子に異常があることにより、子に何らかの障害をきたす例もあります。確率上はほとんど心配のいらない数値ではありますが他の要因もここに絡み、生殖系の器官に異常を生じることもあるということを覚えていたいです。また、本日の講義、後半ではDNAのメカニズムなどについて詳細に扱いましたが、少々難しく、理解に戸惑うところがあったのでもっと知識を入れたいと考えてます。

A:確かに、後半はちょっと専門的になりました。とは言っても、細菌の高校の教科書には、この程度は載っていますので侮れません。


Q:ヒトは紫外線を浴びて日焼けをする。日焼けの仕方はそれぞれで違い、すぐに日焼けして肌が茶色になる人、茶色にならないが真っ赤になる人がいる。これは皮膚の細胞の分裂の仕方の違いによるものではないかと考えた。茶色になるヒトの肌は色が元に戻るまで時間がかかる。真っ赤になるヒトは何日か経てば元の白さに戻る。色がすぐに戻ることから真っ赤になるヒトの方が皮膚のDNAの修復機能は優れているのではないかと考えられる。しかし白人の方が黄色人種に比べて皮膚がんになりやすい。肌が茶色になる原因はメラニンであるということをよく耳にする。これらのことから、メラニンはDNAを傷つけるのを防ぐ物質であり紫外線で真っ赤になってしまう人はメラニンの分泌が少ないのであるとわかる。すぐ肌の色が戻るというのが必ずしも修復機能ではないということが分かったが、メラニンの分泌自体を修復機能というならば、肌が茶色になるヒトの方が修復機能は優れているのではないかと考えた。老化によってメラニンの分泌機能が低下し、若いころは茶色に日焼けしていたヒトが年をとって日焼けすると真っ赤になることなどはあるのか疑問に思った。

A:ユニークな考察で面白いと思います。加齢でメラニンの合成能が変化するかどうかについては、僕も知りません。


Q:今週の授業で疑問に思ったことは、なぜDNAは5`→3`の一方向にしか合成されないのかということである。逆方向にも合成されれば効率がよくなりそうな気がするにもかかわらずである。もちろん、単純な理由としてはDNAを合成している酵素はDNAポリメラーゼという酵素が3`→5`の方向に合成する機能をもってないからと言われればその通りなのだが、問題はなぜそのような機能しかもっていないのかということである。調べてみると、現在の学説では、遺伝情報の複製の始まりはDNAよりRNAが先だったという説が有力であり、RNAは化学的に非常に分解されやすい性質をもっているから、より安定なDNAが代わりに遺伝情報の担い手として選ばれたと考えられていることがわかった。そうすると、RNAは一本鎖の構造をしているから、それを合成する場合は一方向の合成で事足りることになる。しかし、現在の遺伝情報の担い手はDNAであり、しかも大部分は一本鎖ではなく二重らせん構造をしている。その時のなごりがそのままであるといえばそうだが、それはあまりにも非科学的すぎる。おそらく、そのように酵素を変化させたり新たな酵素を合成させるよりも、その一方向性の合成の機能をもった酵素とDNAの断片(生物学では岡崎フラグメントという名前がついている)をつなぎ合わせていく方法のほうが、進化の過程として自然(必要なエネルギーが少ない?)だったのではないかと考えられる。日常生活でも、新しい道具を買うより元あった道具を工夫して使うほうがコストが安いように、自然界もそのようなしくみが働いているのかなとも思った。

A:よく考えていると思います。何か全然別の場面では、逆向きにDNAを合成する酵素があったりすると、その利害得失を比べることができますが、一つだけだといま使っているシステムが「自然」かどうかを判断するのは難しいですね。


Q:メセルソンとスタールの大腸菌と窒素の同位体、窒素14、窒素15を利用したDNAの半保存的複製を発見した実験において、実験を二回繰り返し行った意義について考察する。授業では、DNAの複製パターンの予想として二本鎖が窒素15でできた親DNAから二本鎖がそれぞれ窒素14でできた娘DNAが複製されるパターンと、親DNAから受け継いだN15鎖と新たに作ったN14鎖の二本でできた娘DNAが複製されるパターンを扱った。この2パターンのみを考えるなら、メセルソンらは実験を二回行う必要はないはずである。なぜなら前者の予想は一回目の実験結果により否定されるからである。それではなぜ実験を二回繰り返す必要があったのだろうか。それは親DNAの二本鎖が一か所で切れ、その切れた部分を補う様にN14の鎖がN15の鎖を鋳型として複製されつながり、一つのDNA鎖のなかにN15でできた部分とN14でできた部分が共存し、そのそれぞれの部分の長さが等しくなるようなパターンが考えられるからではないだろうか。この仮説に従うと、一回目の実験では二つの娘DNAの質量は等しくなる。しかし、二回目の実験を行うと、四つの娘DNAの質量はバラバラになり、実験結果と合致せず、この仮説は否定される。よって、メセルソンとスタールは実験を二回繰り返したのではないだろうか。

A:これも、面白いところに注目していますね。このように、話をうのみにせずに、一回だけで十分じゃないか、と考えてみる姿勢は非常に重要です。


Q:今回の授業ではDNAの複製について習いました。その中のDNAの合成に関して、なぜ一方向にしか進まないのか、はじめは疑問に思っていました。塩基配列が二本鎖だと、もう1つの方に開始コドンがあったとしても、対応する方は塩基が反転(AならTにTならAに、またCならGにGならCに対応)しているので、開始コドンの場所が異なり、違う場所で複製が開始されるのからなのかと、思ったのですが、コドンは塩基配列をタンパク質に翻訳する際の3つの塩基配列に対応するアミノ酸だと気がついたので、誤りだと気が付きました。DNAの5´や3´は五炭糖の塩基に連なる炭素の位置を示していると思います。なので、複製に関わるRNAプライマーが五炭糖の5´のようなものの位置にくっ付くためにそこからしか、複製ができないのではないかと思いました。途中の話で二本鎖の反転とコドンについて考えていましたが、そこで、新たな疑問が生じました。それは、DNAをRNAにしてタンパク質の翻訳を開始する際は、DNAの複製のときと同様にDNAの鋳型を用いて対応する塩基配列のRNAを作っていると思うので、二本鎖からは別々の情報を持ったRNAが複製されるのではないかということです。あるDNAの塩基配列がD①(TACACCTCTGATGCTATT)というのがあったとすると、対応するもう一方の鎖はD②(TAGTGGAGACTACGATAA)となります。D①を鋳型とした時のRNAはR①(AUGUGGAGACUACGAUAA)となり、これはコドン表より左から順にR①(開始コドン→トリプトファン→アルギニン→ロイシン→アルギニン→終始コドン)となります。それに対して、D②を鋳型としたときのR②は(UACACCUCUGAUGCUAUU)となり、これはコドン表より右からR②(ヒスチジン←プロリン←セリン←終始コドン←セリン←ロイシン)と、全く異なるアミノ酸になりました。以上のことより、二本鎖DNAからはそれぞれ別の情報が得られるものだと考えます。その時その時、必要な鎖の方から情報を抜き出しているのだと思います。二本鎖DNAは複製も簡単なうえに両方から情報をえられ情報量も安定しているので、生物が遺伝情報をDNAに残すようになったのではないでしょうか。

A:これもよく考えていますね。ただ、鎖が1本から2本になっても情報量が増えない、ということと、2本の鎖が別々の産物を生みだすということは、矛盾しないので、その点は注意する必要があります。2本の鎖が別々の産物を生みだしたとしても、一つが決まると、自動的にもうひとつも決まる場合には、情報量としては1本の鎖と同じになるわけです。


Q:ある臓器の細胞が他の臓器の細胞として働いたり、他の臓器になったりすることを疑問に思っていました。今回のDNAの勉強で、全ての細胞は同じDNAを持っていて、ほとんどの確率で同じように複製され、細胞の存在場所によって働き方が違うためそれぞれの特徴をもった臓器になるとわかったので、他の臓器になる理由もわかりました。がんなどの細胞をとって他の細胞をその場所にいれても、同じように細胞分裂やDNAの複製は行われ、細胞の働きが違うのでその場所にあった働きをするため、このようなことが可能なのだとわかりました。将来、がんなどを自分の細胞だけで治せるようになったらいいと思いました。

A:ちょっと感想っぽいですね。もう少しレポートに論理展開が欲しいところです。


Q:原核生物は環状二本鎖のDNAをもち、真核生物は核内に直鎖状二本鎖をもつという説明があった。なぜ、原核生物は環状で、真核生物は直鎖なのか。例えば、原核生物である大腸菌の細胞の長さを1μm、DNAの長さを2mm、ヒトの細胞の長さを10μm、DNA1本あたりの長さを2m/46=40mmとすると、DNA分子自体の大きさが同じであれば、細胞の長さ当たりのDNAの長さはヒトの方が約2倍しか大きいことにならず、細胞内におけるDNAの占める割合は大腸菌もヒトもあまり変わらない。よって、原核生物はDNAの細胞内に占める空間的大きさを小さくして、効率的に配置できるため、環状にしたものと考えられる。しかし、それならばなぜ、真核生物は原核生物からの進化の過程でわざわざなぜ直鎖にしたのかという疑問が残る。これは、DNA自体が環状であることは存在する形が限定されてしまうため、直鎖にした方がどんな形にも変化しやすく、複数のDNAに分割したりしやすいため、より多くの情報をもたせることができるためであると推測している。

A:これも面白い点に注目しています。強いて言うと、環状でも複数に分割できるのではないかな、とちょっと思いました。