生物学通論 第7回講義

光合成の初期反応

第7回の講義では、光合成の初期反応について反応中心複合体の構造や2つの光化学系の役割などについて解説しました。なお、光化学系の1,2についてはきちんと正しくローマ数字でレポートを書いてくれた人が多かったのですが、ローマ数字は機種依存文字なのでここでは算用数字に改めました。WEB上では文字化けすると困るというだけの理由です。


Q:酸素は本来生物にとって毒であるというが、生物はどのようにそれを克服したのか?また、克服しきったのか?葉緑体が酸素を作り出してから、その酸素を利用できるミトコンドリアの基となる生物が誕生し、活発に行動できるようになったため勢力を拡大し、また他の生物と共生することで各生物の細胞はミトコンドリアのおかげで酸素が利用できるようになったと考えられる。これが真核細胞であると言える。また、ミトコンドリアを得ることができなかった生物は、ミトコンドリアを用いずに酸素をエネルギーとする方法、或は酸素を使わずに解糖系のみでエネルギーを得る方法などをとっていると考えられる。また、ミトコンドリアを持つ生物が酸素の毒性を克服しきったのかを調べるために酸素濃度を高めた空間で生物を活動させることで調べることができると考えられる。それから、生物にとって濃度ではなく量が問題であることも考えられるため、呼吸数を上昇させた状況で活動させ、寿命を計るなどの実験を行うことも必要だと考えられる。結果によっては、酸素カプセルやスポーツは有害と考えられる。

A:身体機能が十分に発達していない未熟児で生まれると、それを補うために酸素濃度を高めた環境におくことがあります。昔は酸素濃度の制御が十分ではなかったため、高すぎる濃度の酸素によって網膜に障害を生じてしまうことがありました。これなどは酸素の毒性を示していると言ってよいでしょう。スポーツの害については、普段から一定のスポーツをすることと、普段は全くスポーツをしない人が突然ハードなスポーツをやることを、区別した方がよいでしょうね。


Q:光合成系1では酸化剤と還元剤の度合が小さいためさらに光合成系2によって強い還元剤NADPHをつくってエネルギーを得るということだ。ここでいう度合とは還元剤と酸化剤の強さの相対的な開きのことを指す。この度合が大きい方が電子の受け渡しがスムーズにおこなわれる、つまりエネルギーが作りやすいと考えた。そこでなぜさらに光合成系を作らなかったのか考えてみた。第一に光合成系をさらに作ってNADPHよりも強い還元剤ができても一回の電子の受け渡しにかかる時間が遅くなれば効率が悪くなるということ。第二に生体内で還元剤の役割を果たす物質がNADPHの代わりがない。NADPHは身近な物質から作りやすいのでは。最後に強い還元剤ができたとしても生体に害を及ぼす可能性がある。

A:光合成生物にとって還元剤の主な使い道は二酸化炭素の還元ですから、二酸化炭素を還元するに十分な強さの還元剤が手に入れば、それで十分だということがあるかもしれません。還元力が強ければ、NADPHでは還元できないような物質も還元できるでしょうけれども、別に還元できる二酸化炭素の分子の数は増えないでしょうから。


Q:光合成の過程では、膜中の光化学系1と2やシトクロムなどを電子が伝わり、酸化還元反応の一部を担っている。これは、とても小さな世界で電流が流れていると見ることができる。この電流を取り出すことができれば、光合成のような仕組みを使って太陽光発電ができるのではないか、と考えた。光合成の反応で必要な”消耗品”は、化学式より二酸化炭素と水と光エネルギーであり、これらのようなものが用意でき、電子を受け取り続けることさえできれば、電子の取り出しを続けることができるはずだからだ。もちろん、膜中のタンパク質と似たような働きをする物質が必要になるのは言うまでも無いが、ここでは電子を受け取り続けるにはどうすればよいのかを考える。光合成ではプロトンの濃度勾配を利用しているため、まず安定的にプロトンを供給し続ける機構が必要である。材料として手に入りやすいのはやはり水であり、分解すればプロトンと電子が手に入る。しかし、水を分解するためにもたくさんのエネルギーが必要であり、例えば電気分解をするために電気をたくさん使うようでは発電の意味が無くなる。ここで、水に換わる材料が何か無いかと考えた。プロトンの濃度勾配を利用しているのが光合成なら、他のイオンの濃度勾配を利用してもよいと考えられるので、水よりも容易に電子とイオンに分解され、かつ手に入りやすい物質があれば効率を上げることができるはずだ。植物ならば比較的どこにでもある水でなければならないかもしれないが、人間ならばある程度は人工的に水溶液等という形で作りだすことができる。塩酸や塩化銅水溶液などは水と同じように電気分解できるが、メリットが見当たらない。条件の合うものが見つかれば、新しい太陽光発電の仕組みを作ることができるかもしれない。

A:「水を分解するためにもたくさんのエネルギーが必要」とありますが、光合成ではそのエネルギーとして光を使っています。ですから、光エネルギーの利用に関しても光合成を模倣することができたら、その問題も解決します。人工光合成というのはいま話題のトピックの一つです。


Q:前回の授業の酸素発生の量子収率のグラフについて考察した。グラフでは波長において単調減少をしている箇所が2か所あった。目測であったから誤差はあると思われるが500nm付近と680nm付近が最小値のピークであった。授業ではこの理由をエネルギー変換と光学系の問題といって述べられていた。それが主な理由ではあると思うが、自分は他にも要因はないかどうかについて考えてみた。自分は光の反射に伴うエネルギーロスも関係しているのではないかと考えた。1つ目の最小値のピークは緑色を呈する色素であるクロロフィルの波長と同じ領域である。クロロフィルがこの領域の波長を反射したと考えれば光合成効率が悪くなったと考えても不思議ではないのではないか。また、680nm付近についても同じことが言える。赤色の色素であるカロテノイドは植物の葉に含まれている。一般に葉は緑色で赤色は目視では観察しにくいが、カロテノイドがこの領域の光を反射していると考えれなくはないのではないか。次に、光合成について調べていたときに載っていたエマーソン効果について考えたいと思う。簡単な説明しか読んでいないのであるが、エマーソン効果とは、赤外線と共に可視光線を照射すると、光合成効率が上がるというものである。これは、単に波の合成によるものが理由なのであろうか。もしそうであるとすれば、低波長の波に対して組み合わせる赤外線量を調節することで効率よい光合成、エネルギー吸収を行えるということになる。光合成を行うのによい波長のいろは一般的に赤と青色と言われているが、他の可視光線でその色ではないものを赤外線と合成することで赤、青色に近づけ、エネルギー吸収効率を高めるということは可能なのではないだろうか。最後に1つ思ったのは紫外線による光合成というのは将来的にも不可能なのであろうかということである。波長のエネルギー式からも明白なように、紫外線などのエネルギーは可視光線のそれよりもはるかに高い。もし紫外線による光合成が行えればとても効率がよくなる。現在では紫外線は植物はおろか生物全てにとってDNAを破壊する有害なものであるが、将来的に植物、生物に紫外線に強い構造ができることも過去の歴史から考えてみればありえなくはないのではないかと思った。

A:2つの話題について述べられていますが、この講義のレポートとしてはどちらかだけでも十分ですので。さて、量子収率についてですが、これは吸収された光あたりの反応です。つまり、反射や透過してしまった光はカウントされないので、特定の波長の光が葉の表面で反射された場合にも、その部分は量子収率には反映されません。その点が作用スペクトルとは異なります。


Q:光合成を行う際に光子一つ一つのエネルギー量は関係なく光子の数によって効果が変わってくる。光エネルギーを吸収して化学エネルギーに変換して光合成を行っていているが、光子一つ一つのエネルギー量が違うため余計に吸収したエネルギーは捨てられている。普通に考えればエネルギーを捨ててしまうことは効率が悪いはずなのにわざわざそれを行うことについて考えてみる。光合成では作られる物質は決まっているため毎回同じ化学反応を起こしていることになる。つまりは毎回同じ物質、同じエネルギーを必要とする。毎回同じエネルギーを用意するとしたとき光合成に必要な光エネルギーの基準を高いものにしてしまうとその基準に達しない光子が来た時には光合成ができなくなってしまう。光合成で使われる光は太陽光であり、太陽のスペクトル分布図は可視光の部分で大きくなっていて、可視光の部分の分布はほぼ横ばいになっている。このため光合成では可視光が使われ、その中でも波長の長く光子一つ当たりのエネルギー量の小さいものを光合成で使われる光エネルギーの基準とし、それ以上の大きさのエネルギーが来た場合余計なエネルギーを捨てているため、太陽光の様々な波長の光を利用することができ、全体で見たときに効率的になっていると考えられる。

A:そうですね。基本的には光のスペクトルのうち、一番量の多い部分を使うことがまずは大事だと考えてよいのだと思います。


Q:光合成と光の波長についての話題があったので調べてみた。授業では酸素発生量は波長よりも光子の個数によるということだったが、照明を使う水耕栽培では波長を気にしているのではと思い興味を持った。まず照明などを作っている岩崎電気のホームページによると、吸収が最大なのは赤色光、緑色光は寄与せず、青色光は抑制気味の成長を・・とある。しかしなぜ緑色光を使わないのかと思ったら、”緑色光を吸収しにくいが、まったく吸収しないわけではないと分かった。なぜかというと柵状組織で光を通し海綿状組織で光を散乱させ葉緑体に当たる頻度を増やす。つまり葉緑素は赤、続いて青と吸収しやすく緑色は構造でカバーするということだろう。しかし、せっかく光をとらえて散乱させる構造を持つのだから緑色光を吸収する色素がメインの方がよいのではないか。再現実験は無理かもしれないが、構造でカバーしているとはいえ植物が緑に見えないくらい緑色光を利用できればいいと思った。実際そうなっていないということは何か不都合があるのだろうか。

A:「緑に見えない」と何色に見えるかと言えば、黒になるわけです。陸上植物では黒い葉を持つ植物はあまり見ませんが、紅藻は緑色の光も吸収できるフィコビリン色素を持つので、アサクサノリなどはほとんど黒く見えます。


Q:講義でアルコールの分解と糖新生について学習し、アミノ酸を摂取すると2ピルビン酸によるグルコースへの糖新生が促進されるかもしれないということを理解した。そこでアルコールを大量に摂取した時のことについて考えてみた。運動した時に、骨格筋でBCAAから生成されるグルタミン酸は、ALT(GPT)によってピルビン酸に、アミノ基を転移し糖原性アミノ酸であるアラニンが生成される。アラニンは血液中を肝臓に輸送され、ALT(GPT)によってピルビン酸に戻り、グルコースに糖新生される。要するに運動すると、BCAAは骨格筋で異化され、生成されるグルタミン酸からアラニンが生成され、肝臓での糖新生を促進させると考えられているのだ。しかし、アルコール摂取後にお風呂にはいるとアルコールが全身によく回るから危険という話を聞くので、同じようにアルコール摂取後に運動をすると血の流れがよくなって危険な状態になるかと思っていたが、アラニンの生成によって糖新生が促進されるのなら、アルコール摂取後に運動をした方が良いという結論になると考えられる。
菊池方利:肝における糖調節機構について 日本醫事新報 No.4184(2004年7月3日)

A:おそらくグルタミン酸がたくさん生成するような条件というのは、ものすごく激しい運動をしたときの話ではないでしょうか。非常に面白いとは思いますが、アルコールの分解と結び付けて考えるのは若干危険かもしれません。


Q:光合成と呼吸の電子伝達系は似ていて、それではどちらが最初に獲得されたシステムであるかということについて、関連して嫌気呼吸と好気呼吸の話が思い出された。地球の大気に初めて酸素をもたらしたのはシアノバクテリアであったが、生み出された酸素は好気呼吸生物でなければ致死毒であった。これにより嫌気呼吸生物は追いやられ、代わりに好気呼吸生物がどうかしたわけであるが、仮にもシアノバクテリアそのものが嫌気呼吸であったならば、自らが作り出した酸素と言う毒で死に絶えることになるわけであり、当然そんな自殺行為をすることはありえないことになる。すなわち、光合成というシステムができたときにはすでに好気呼吸のシステムが確立されていないと、シアノバクテリアは絶滅してしまったはずである。しかし、シアノバクテリアは現生に存在するわけで、これは好気呼吸の電子伝達系が光合成よりも先にできていたことを意味するのではないだろうか。

A:そうですね。ただし、好気呼吸をするかどうかと、酸素耐性があるかどうかは、必ずしも対応するとは限らないと思います。酸素耐性がないのに好気呼吸をするのは難しいでしょうけれども、好気呼吸はしないけれども酸素耐性はある、という生物はいてもおかしくはないですよね。


Q:授業で見たスライドの光合成系の酸化還元電位が直角の階段状になっているのに疑問を抱いた。実際のスライドでは横軸が示されていなかったため、定かではないが、あくまで自分の見たスライドで意見を述べたい。ある一定値をすぎると電位が垂直的に下がるのは、物理の最大静止摩擦力と相関があるのかもしれない。静止摩擦力は一定以上の力が働くと垂直的に摩擦力がさがり物体が動くため、光合成還元電位のスライドにおける電位の下がり方と同様である。私がこの考えに至ったのは論理的思考ではなく、経験的思考である。このため私の考えを立証するためには、葉に光を照らし、光合成電位値をそれぞれ測るなど具体的な実験を行うことで示すことができる。

A:説明が不足していたかもしれません。あの図は、X-Yグラフというよりは、棒グラフとみてください。それぞれの電子伝達体の酸化還元電位を表している図であって、何か、時間的、もしくは距離的な変動を示しているわけではないのです。それにしても、摩擦力と結び付けて考えるというのはユニークですね。