読書記録2019

最近、一度読んだ本でも忘れていることが出てきて年を感じます。ひどいときは、新しく読む本だと思って、面白く読み進めていくうちに、何だか知っている気がしはじめて、読み終わる頃に、そういえば昔読んだことがあったと思い出すこともありました。「常に新鮮な喜びが味わえてうらやましいこと」などと言われる状態です。そこで、新しく読んだ本を忘備録としてここに書いておくことにしました(平成14年3月開始)。「新しく読んだ」というだけで、別に新刊の本とは限りません。


「古典和歌解読」 小松英雄著、笠間書院 平成31年9月読了
 古今和歌集に載る歌のいわば構造からその作者の意図を読み解く営みが主題です。断定口調で下される新しいものの見方は素人には非常に面白いのですが、補章に組み入れられたこれまでの著書に対する批判への反論は、批判の意図をよく読みとれていないとしか思えないので、本体の議論についても、もしかしたら独善的な読み方に基づくものではないかとの疑念が生じます。

「知らないと恥をかく最新科学の話」 中村幸司著、角川新書 平成31年9月読了
 NHKで解説委員をなさっている中村さんから頂いて読了。いろいろな分野の科学の進展を手軽に追えます。医学、物理、地学、工学、生物と幅広くカバーされているけれども化学がないのが少し不思議でした。

「宮中五十年」 坊城俊良著、講談社学術文庫 平成31年7月読了
 明治天皇の側に仕えた公家の少年の回想録。後々まで皇太后宮大夫などとしてお仕えしていますから、別に少年時代だけの回想ではないのですが、やはり初期のエピソードにひかれます。

「ハーバードの人生が変わる東洋哲学」 マイケル・ピュエット、クリスティーン・グロス=ロー著、早川書房 平成31年6月読了
 副題に「悩めるエリートを熱狂させた超人気講義」とありますが、日本人には「ふーん」という程度の感じ。成果主義を刷り込まれたアメリカの学生には新鮮なのかもしれませんね。ハーバードの学生の人生は変わっても、東大生の人生は変わらないでしょう。

「森鴎外」 今野寿美著、笠間書院 平成31年5月読了
 しばらく前に頂いた本をようやく読破。森鴎外を歌人として考えることなどなかったので新鮮。素晴らしい歌もあるけれども、それほどでもない歌もあるような気がしました。いずれにしても、歌の背景に強い自意識が感じられます。

「愛なき世界」 三浦しをん著、中央公論新社 平成31年5月読了
 植物の研究者の世界を外からのぞいたらどのように見えるかを小説にした感じ。中にいる人間には非常に面白く読めましたが、一般的にも面白いのでしょうかね。

「歌神と古今伝授」 鶴﨑裕雄、小髙道子編著、和泉書院 平成31年4月読了
 しばらく前に頂いた本をようやく読破。やはり興味があるのは古今伝授の部分。古今伝授というのは、何やらいかめしく重要なものという意識はあったけど、少なくとも残された資料を見る限り、和歌の本質とはかけ離れたものになっていったようですね。

「書 筆蝕の宇宙を読み解く」 石川九楊著、中公文庫 平成31年3月読了
 書体の変化を、「彫る」「書く」などの視点から丁寧にたどった本。一つの漢字がどのようなバランスの上に成り立っているのかが論理的に説明されていて参考になります。一方で、このような本が面白いと感じられるようになったことに、自分でも驚きます。