植物はどのような貯蔵物質をどこで合成してどこに貯めますか?

まず、貯蔵場所ですが、炭水化物はデンプンの形で葉緑体などに、タンパク質は貯蔵の目的に特化した液胞の一種に、脂質はオイルボディーという細胞内小器官に貯蔵されます。ただし、植物が順調に生育している場合は、タンパク質や脂質を機能しない状態で多量に蓄積することはありません。タンパク質や脂質の蓄積が一番見られるのは種子の場合です。植物は、葉以外の場所の細胞にも葉緑体に相当する細胞内小器官を持っており、色素体と総称されます。デンプンの蓄積は植物が順調に生育しているときにも見られ、葉緑体にデンプンが存在するほか、根には、デンプンの蓄積に特化した色素体が存在します。デンプンは分子が大きいので、色素体を包んでいる膜を通り抜けることができません。従って、分解も色素体の中で起こり、分解されてできた糖を色素体から細胞質に出してショ糖の形に変換した後、必要な場所に輸送します。タンパク質の合成は、細胞質でも起こりますし、葉緑体やミトコンドリアでは独自の遺伝子を持っていてやはりタンパク質の合成を行なっています。脂質は脂肪酸とグリセロールを材料として合成されますが、脂肪酸の合成と一部の脂質の合成が色素体で行なわれ、残りの脂質の合成は小胞体で行なわれます。葉緑体は、光合成以外にも脂質の合成や窒素の代謝に重要な働きをしていますが、葉緑体が存在しない葉以外の細胞にも、何らかの色素体は存在するので、冬に葉を落とした植物が生育できなくなるということはありません。