「光合成の森」の歩み

本サイト「光合成の森」は、もともと研究室ホームページの中の研究内容紹介サイトとして始まりました。ここでは、その歴史を簡単に振り返ってみると共に、アクセスのパターンなどについても見てみましょう。

サイトの変遷

1997年5月 サイトの開設大昔の光合成の森

東京大学の理学部植物学教室生態学研究室で助手をしていたころ、研究室ホームページの一角に僕自身のサイトを開設したのは1997年の5月でした。研究紹介と業績目録、それに当時図書委員をしていた関係で論文検索の方法を解説したページを作っていました。当時のトップページは右のような感じでした。載せている写真はその2年前(1995年)のモンペリエでの国際光合成会議の時のもので、顔の若さが昔をしのばせます。その後、1999年の4月に東京大学・大学院新領域創成科学研究科・先端生命科学専攻の助教授になったのですが、サーバーなどは理学部のものを使い続けたこともあり、基本的な構造はそのままでした。

2002年7月 クロロフィル蛍光測定方法のオンライン教科書を公開少し昔の光合成の森

光合成の測定方法の一つにクロロフィル蛍光測定があります。光合成研究会のワークショップとして、この測定方法の講習会をオーガナイズすることになりました。講習会を開催するにあたって、測定法のオンライン教科書を作成し、それを2002年にこのサイトで公開しました。この測定方法は、光合成研究者以外にも植物の研究者に広く使われているにもかかわらず、それまで日本語のよい教科書がなかったこともあり、多くの研究者の方々に利用されたようです。2002年8月時点でのトップページは右のようなものです。写真が、2001年の国際光合成会議のサテライト会議で行ったヘロン島(グレートバリアリーフの中の島です)で撮影したものに変わっています。また、蛍光と光合成のページへのリンクが大きなボタンになっていて、ここに力を入れていたのがわかります。

2002年11月 光合成に関する公開実験をサイトに掲載

2002年から2004年まで、11月に開催されるキャンパスの一般公開に合わせ、光合成に関する公開実験を行ない、その結果をサイトで公開しました。普段簡単には使えない測定装置を利用して、光合成の素朴な疑問に答える実験だったため、なかなか好評だったようです。特に2004年に行なった、紅葉した葉っぱが光合成をするかどうかを確かめた実験は、いろいろなサイトからリンクが張られています。

2003年5月 光合成質問箱を設置

サイトを見て、光合成に関する質問を寄せる方が多くなったので、思い切って、光合成質問箱を設置し、積極的に質問を募集することにしました。こののち、半年ぐらいして植物生理学会のサイトでも質問コーナーを設けますが、おそらく植物関係では初めての質問コーナーだったのではないでしょうか。多い年には年に200を超える質問が寄せられていますから、本サイトの中でも良く活用されているコーナーの一つだと言ってよいでしょう。

2007年8月 「光合成の森」スタート

Fluoromeと名付けたクロロフィル蛍光に関するデータベースをサイトに開設するのに合わせて、従来のホームページを大幅に書き換え、新しいサーバー上に「光合成の森」として新しくスタートを切りました。これに合わせて、「光合成の教室」として、いろいろな解説記事も充実させました。「光合成の森」の始まりです。

2009年9月 独自のドメイン名を取得

早稲田に異動するのを機にphotosynthesis.jpというドメイン名を取得しました。大学のドメイン名ではなくなりましたが、もともと大学のサイトという性格は薄かったので大きな影響はなかったようです。

サイトのアクセスの記録

ページビューの記録

光合成の森のページビュー数初期のサイトのアクセス記録は残っていないのですが、2000年の6月からトップページのページビューを調べ始めました。右の図がそのグラフです。

初期のころの月間ページビューは300程度ですから、一日十人の人が見ればよい方だったことになります。翌2001年には月間ページビューが1000ぐらいになり、2002年7月には2000を越します。これは上記のオンライン教科書を公開したせいでしょう。2003年もほぼ同じレベルですが、3月だけポンと跳ね上がっています。これはある週の週末の3日間だけに当時の1月分のアクセスがあったことが原因でした。驚いて調べてみると、味の素の光合成関連遺伝子研究についての記事がYahoo!のサイエンス欄に転載されて、その下に僕のホームページが関連ページとして紹介されていました。4日目にこの記事がなくなると、アクセスはぴたっと元のレベルに戻りました。やはり大手のポータルサイトの威力はすごいですね。ちなみに味の素の研究は、僕の昔のテニス仲間が関わっていて、僕もほんのちょっぴりお手伝いはしているので、確かに関連なくはありません。その後2011年の初めにノーベル化学賞がらみで人工光合成が話題になった時にも数日間だけのアクセス集中がありましたが、このころになるともともとのアクセス数がかなりになっているので全体としての影響はあまり大きくありませんでした。

その後、ページビュー数は徐々に増え、2005年からは、一番アクセスが少ない3月でも2000、一番多い7月は4000を越すようになりました。2007年の8月に「光合成の森」がスタートして直後は、昔のサイトの各ページからトップページに転送していたので、2007年の後半と、おそらく2008年の前半ぐらいまでのアクセス数は、過大評価されていると考えられます。それでも、2008年6月、7月のページビュー数が8000ぐらいになっているのは、サイトのリニューアルに合わせて光合成の解説記事を充実したせいのように思います。

サイト全体のページビューは多い時で月に8万ページ近く、つまりだいたいトップページのページビューの10倍ぐらいあります。このサイトでは一人の人が見るページ数は10ページにはなりませんから、サイトには来たけれどもトップページを見ない人がほとんどだということになります。「光合成の森」を訪れる人は、大学経由のリンクなどをたどってトップページに来るのではなく、検索エンジンなどによって直接個々のページに来ているのでしょう。知りたい情報を仕入れると、トップページなどは見もしないで去っていく人が9割方だということですね。

光合成の森のユニークユーザー数では、見られたページ数ではなく、実際に何人の人がサイトを訪れたかを見ると、右のようになります。ページビューの場合もそうなのですが、一年を通してみると決まった増減のパターンがあり、3月、9月に低くなり、6月、7月に高くなります。これは、どうも学校の学年暦を反映しているようです。「光合成の森」を訪れる人は、やはり、中学・高校・大学の学校で光合成を習ってそれに関して疑問を持った人が多いようです。そうすると、学年の切り替わりの3月や、夏休みの宿題が一段落した9月に訪問者が減るようです。増減はありますが、訪れる人は月にだいたい1−2万人のようです。大きな講演会場で光合成の話をしても、聴衆はせいぜい200-300人でしょうから、月に1万人以上が訪れるWEBの威力は侮れませんね。これからも魅力あるサイト作りを続けていきたいと思います。